Azure AI Foundry Agent ServiceにDeep Research登場!

この記事の内容

  • Azure AI Foundryのエージェントサービスに「Deep Research」機能が追加されました
  • 従来のDeep Researchと異なり、SDK/API経由で自社アプリへの組み込みが可能になりました
  • O3-DeepResearchモデルとBing Searchを組み合わせたマルチステップパイプラインで動作します
  • Logic AppsやAzure Functionsと連携したマルチエージェントシステムの構築に活用できます
  • 2025年7月時点でリミテッドパブリックプレビューとして提供中です

Azure AI FoundryとエージェントサービスとDeep Research

Azure AI Foundryは、Azure上のさまざまなAIサービスを統合的に扱えるハブのようなサービスです。その中には、プログラミングによってAIエージェントを簡単に作成できる「エージェントサービス」が含まれています。

これまで、OpenAIのモデルを直接利用してRAG(Retrieval-Augmented Generation)の仕組みを自作したり、Bing Searchと連携させたりするには、開発者が自分で連携コードを記述する必要がありました。Azure AI Foundryのエージェントサービスを使えば、そうした機能が初めから組み込まれており、より簡単に高度なエージェントを構築できます。

今回、このエージェントサービスに「Deep Research」機能が加わったことで、その能力がさらに強力になりました。


従来のDeep Researchとの違い:SDKとAPIとしての提供

Copilot for Microsoft 365の「リサーチャー」など、すでに同様の機能を利用している方もいるかもしれません。しかし今回の発表で最も重要な点は、SDKとAPIを通じて提供されるという点です。

これは、開発者が自身のアプリケーションや既存の社内システムに、Deep Researchの機能を直接組み込めることを意味します。「自動運転できる車」そのものではなく、その中核となる「自動運転エンジン」という部品が提供されるイメージです。このエンジンを使えば、既存の車はもちろん、バイクや三輪車にさえ自動運転機能を搭載しようと試みることができます。

Deep Researchが「部品」として提供されることで、以下のような環境への統合が可能になります。

  • CLIツールや日々の自動化タスク
  • インターネットに接続されていない社内システム
  • 既存のWebアプリケーションやバックエンドサービス

Deep Researchエージェントの仕組みとアーキテクチャ

Deep Researchエージェントは、主に以下の要素で構成されています。

要素役割
O3-DeepResearchモデルリサーチ処理の中核を担う専用モデル
Bing Search最新かつ高品質な情報を取得するためのグラウンディング
マルチステップパイプライン段階的なプロセスで精度の高い回答を生成

処理の流れは以下のとおりです。

1. クエリの意図解釈

ユーザーからの検索クエリに対し、GPT-4やGPT-4oモデルを利用して質問の意図を明確化し、リサーチの範囲を定義します。

2. Bing SearchによるWebグラウンディング

最新のWebから関連情報を幅広く収集します。この際、古かったり無関係だったりするコンテンツは除外され、高品質な情報源のみが選別されます。

3. O3-DeepResearchモデルによる横断的な分析

収集したすべての情報源を横断的に思考・分析・統合します。単なる要約ではなく、段階的な推論を行い、新たな発見があれば方向転換も行いながら、より深い洞察を導き出します。

4. 監査可能な最終出力

生成された回答だけでなく、推論の過程や引用した情報源、意図を明確化するまでの対話なども含めたレポートが提供されます。出力結果がどのように導き出されたかを検証でき、ハルシネーションのリスクを懸念するユーザーも安心して利用できます。


開発者が得られるメリットとユースケース

この機能がAPIとして提供されることの真価は、その柔軟な組み込み能力にあります。

複雑なワークフローの自動化

Logic Appsで取得したデータをベースに、Azure Functionsで特定の処理を実行し、その結果を含めてレポートを自動生成するといった、既存のロジックと連携した複雑なワークフローを自動化できます。

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マルチエージェントシステムの構築

複数のエージェントを連携させ、プロダクションレベルの高度なタスクを実行するシステムを構築できます。

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Deep Researchはもはや、人間が都度手動で実行する一回限りのタスクではありません。企業のデジタルトランスフォーメーションや継続的インテリジェンスを実現するための、強力な基盤要素となっています。


気になる価格設定

価格は以下のとおりです(2025年7月時点)。

種別価格(100万トークンあたり)
入力$10.00
キャッシュされた入力$2.50
出力$40.00

たとえば原稿用紙3,000枚分(約120万文字)の情報を入力・出力した場合、合計で約50ドル(7,000〜8,000円程度)となります。同等の作業を人間に依頼した場合のコストと時間を考えれば、非常に費用対効果の高い選択肢と言えるでしょう。


まとめ

Azure AI FoundryのエージェントサービスにDeep Research機能が部品として加わったことで、AIの活用は新たなステージに進みました。

社内にチャットボットを導入して社内文書に回答を得るという段階から一歩進み、ビジネスプロセスそのものに高度なAIリサーチ能力を組み込み、自動化していくことが可能になります。

この機能は現在、リミテッドパブリックプレビューとして提供されており、サインアップすることで利用を開始できます。ドキュメントや学習モジュールもすでに公開されていますので、AIを「使う」だけでなく「作り込む」可能性をぜひ体験してみてください。