【AZ-900対策】第1回:クラウドコンピューティングを説明できるようになる!
この記事の内容
- クラウドコンピューティングとは「買う」のではなく「サービスとして受け取る」モデルであることを解説します
- スケーラビリティ・弾力性・アジリティという重要キーワードを理解します
- クラウドの責任分担を定義する「共有責任モデル」を学びます
- パブリック・プライベート・ハイブリッド・マルチクラウドの違いを整理します
- 従量課金(OpEx)の考え方とそのメリットを理解します
クラウドコンピューティングとは何か
クラウドコンピューティングを一言で表すと、「買うのではなく、サービスとして提供してもらう」モデルです。
たとえば、電気屋さんに行ってパソコンを購入して所有するのはクラウドコンピューティングではありません。一方、インターネット越しに仮想マシンのサービスを利用するのがクラウドコンピューティングです。
わかりやすい例として「電気」が挙げられます。皆さんは自宅に発電機を置いて自分で発電しているわけではなく、電力会社からサービスとして電気を受け取り、使った分だけ料金を支払っています。クラウドコンピューティングも同じ考え方です。自分たちで物理的なサーバーを所有・管理するのではなく、インターネットの先にあるリソースをサービスとして利用します。
クラウドコンピューティングでは、主に次の3つのカテゴリのサービスが提供されます。
- コンピュート:計算処理を行うサービス(プログラムを動かす、仮想マシンを動かすなど)
- ストレージ:データを保管するサービス
- ネットワーク:データを伝達・制御するサービス
これら3つがあらゆるクラウドサービスの基盤となっています。
重要キーワード1:スケーラビリティ
スケーラビリティとは、リソースの規模を変化させられる性質のことです。クラウドでは以下の4種類のスケーリングが可能です。
| 操作 | 内容 |
|---|---|
| スケールアップ | 仮想マシンのスペックを強化する(より高性能なサイズに変更) |
| スケールダウン | 仮想マシンのスペックを下げる(コストを抑えたいときなど) |
| スケールアウト | 仮想マシンの台数を増やす(並列処理したいとき) |
| スケールイン | 仮想マシンの台数を減らす(不要になった台数を返す) |
自分でパソコンを購入した場合、一時的に2倍の性能にして使うといったことはできません。しかしクラウドであれば、ネットワークの先で動いているリソースを借りているだけなので、必要に応じて簡単にスペックや台数を変更できます。
重要キーワード2:弾力性(エラスティシティ)
弾力性とは、ユーザー数や負荷の変動に応じて、リソースを自動的に増減させる能力のことです。
たとえば、あるWebサービスでユーザーアクセスが増加した場合、仮想マシンの台数を手動で増やすことも可能ですが、あらかじめルールを設定しておくことで自動的にスケールアウト・スケールインさせることができます。この仕組みをオートスケールと呼びます。
オートスケールを活用すると、ユーザーの負荷に応じてシステムの台数が自動的に増減し、パフォーマンスを維持しながら無駄なコストを抑えることができます。これがクラウドの「弾力性がある」状態です。
重要キーワード3:アジリティ
アジリティとは、俊敏性・柔軟性のことです。クラウドでは、リソースを素早く作成・削除できることを指します。
たとえばサーバーを1台追加しようとした場合、オンプレミス(自社で機器を管理する環境)では次のような時間がかかります。
- サーバーの注文・納品:数週間〜数ヶ月
- 設置場所や電源の確保:さらに時間がかかる場合も
一方、クラウドであれば、数分以内(場合によっては数十秒)でサーバー1台を追加できます。さらに、ブラウザから手動で操作するだけでなく、自動化も可能です。
| 環境 | かかる時間の目安 |
|---|---|
| オンプレミス(数日かかる作業) | クラウドなら数秒 |
| オンプレミス(数週間かかる作業) | クラウドなら数分 |
| オンプレミス(数ヶ月かかる作業) | クラウドなら数時間 |
この圧倒的な速さと柔軟性がアジリティです。
共有責任モデルを理解する
クラウドだからといって、すべてをクラウドプロバイダーに任せられるわけではありません。責任の範囲はクラウドプロバイダーと顧客で分担されます。これを共有責任モデルと呼びます。
責任の分担
クラウドプロバイダー(Azureなど)が責任を持つ領域:
- 物理的なデータセンター(建物・空調・電源など)
- 物理ネットワーク
- 物理ホスト(サーバーのハードウェア)
顧客が責任を持つ領域:
- データの管理
- アクセス制御(誰がどのデバイスからアクセスできるかの設定)
- アカウントとIDの管理
サービスの種類によって責任範囲が変わる
クラウドサービスには主に3つの種類があり、種類によって顧客の責任範囲が異なります。
| サービス種別 | 略称 | 顧客の責任範囲 |
|---|---|---|
| Infrastructure as a Service | IaaS | OSより上のすべてを顧客が管理(OSのパッチ適用、ファイアウォール設定なども含む) |
| Platform as a Service | PaaS | アプリケーションのコードやデータ、アクセス制御など |
| Software as a Service | SaaS | データ、デバイス、アカウント・IDの管理のみ |
IaaSは最も自由度が高い分、顧客の責任も大きくなります。SaaSはアプリケーション自体の管理はプロバイダーが行い、顧客はデータとアクセス管理に集中できます。
注意: クラウドのセキュリティは一般的に非常に高水準ですが、顧客自身が管理すべき領域を放置すると、重大なセキュリティインシデントにつながります。「クラウドだからすべて守ってくれる」という思い込みは禁物です。
クラウドモデルの種類
クラウドには「1種類だけ」ではなく、いくつかのモデルがあります。
プライベートクラウド
企業が自社専用で利用するクラウドです。企業のデータセンターに機器を置く場合と、外部のデータセンターの場所だけを借りて自社機器を持ち込む場合があります。
- 特徴:高い制御性・セキュリティ
- デメリット:コストが高い、初期投資が必要
パブリッククラウド
AzureやAWS、GCPなど、サードパーティのプロバイダーが提供し、一般ユーザーが利用できるクラウドです。
- 特徴:設備投資不要、高いスケーラビリティ、利用した分だけ支払う
ハイブリッドクラウド
プライベートクラウドとパブリッククラウドを組み合わせて利用するモデルです。
- 特徴:柔軟性が高い、重要データはプライベートに置き、その他はパブリックを活用するなど使い分けが可能
マルチクラウド
複数のパブリッククラウドプロバイダーを同時に利用するモデルです(例:AzureとAWSとGCPを併用)。各クラウドのいいとこ取りができますが、複数のクラウドの知識や管理が必要になります。
なお、マルチクラウド・ハイブリッドクラウド環境全体をAzureから統合管理できるサービスとして「Azure Arc」があります。また、オンプレミスでVMwareを利用している組織がAzureへ移行・連携するための「Azure VMware Solution」も提供されています。
従量課金モデル(CapEx vs OpEx)
クラウドのコスト構造を理解するうえで、2つの概念が重要です。
| 用語 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| CapEx(資本的支出) | 設備の購入など、初期に大きな費用がかかる | サーバーの購入、データセンターの建設 |
| OpEx(運用費) | サービス利用に応じた継続的な費用 | クラウドの月額利用料 |
クラウドは**従量課金モデル(OpEx)**です。初期投資が不要で、使った分だけ支払います。
従量課金モデルの主なメリットは以下のとおりです。
- 初期費用がゼロ:サーバーや機器を購入する必要がない
- リソースの無駄を削減:使わないときはリソースを停止・削除してコストをゼロにできる
- 需要に応じたスケーリング:オートスケールと組み合わせることで、コスト効率を最大化できる
- 運用管理の負担軽減:物理インフラの管理はプロバイダーが担当するため、自社の運用負担が大幅に減る
知識チェック
以下の問題で理解度を確認してみましょう。
Q1. 共有責任モデルによると、顧客が最も責任を負うクラウドサービスの種類はどれですか?
- IaaS(Infrastructure as a Service)
- PaaS(Platform as a Service)
- SaaS(Software as a Service)
答え:1番(IaaS) OSより上のすべての管理が顧客の責任となるため、最も責任範囲が広くなります。
まとめ
この記事では、AZ-900試験の第1回として「クラウドコンピューティング」の基礎を解説しました。
- クラウドコンピューティングとは、インターネット越しにサービスとしてITリソースを利用するモデルです
- スケーラビリティ(スケールアップ/ダウン/アウト/イン)、弾力性(オートスケール)、アジリティ(俊敏な展開)がクラウドの重要な特徴です
- 共有責任モデルにより、クラウドプロバイダーと顧客の責任範囲が明確に分かれており、サービスの種類(IaaS/PaaS/SaaS)によって顧客の責任範囲が変化します
- クラウドモデルにはプライベート・パブリック・ハイブリッド・マルチクラウドの4種類があり、それぞれに特徴があります
- クラウドは**従量課金(OpEx)**モデルであり、初期投資不要でコスト効率が高いという大きなメリットがあります
これらのキーワードを自分の言葉で説明できるようになることが、AZ-900合格への第一歩です。