Teams会議をそのままYouTubeライブに配信する方法 ── RTMPを使ったシンプルな新方式
この記事の内容
- Teams会議をYouTubeライブに直接配信する新機能(RTMPブロードキャスト)を紹介します
- 従来のOBS+NDI方式の課題と、なぜ新方式に移行したかを解説します
- Teams管理センターでのポリシー設定手順を説明します
- カスタムストリーミングアプリを使ったURLとストリームキーの設定手順を紹介します
- 新方式のメリット・デメリット・向いているシーン・向いていないシーンを整理します
従来の配信方式とその問題点
Teams会議をYouTubeライブで配信する方法として、これまで長らく使われてきたのが OBS(Open Broadcaster Software)を介した方式です。
最初の構成はシンプルで、PCにOBSをインストールし、Teamsクライアントで会議の画面をキャプチャしてYouTubeに送り出すというものでした。ただし、この方法では発言者が切り替わるたびに画面レイアウトを手動で調整する必要があり、運用の手間がかかる点が課題でした。
そこで次に採用したのが NDI(ネットワーク経由の映像・音声転送プロトコル)を使った方式です。TeamsクライアントがNDIで現在の発言者の映像や音声を個別に配信できるようになっており、OBS側でNDIプラグインを使ってこれを受信し、自動的に画面を構成することで、発言者のアップ表示なども全自動で行えるようになりました。
さらに安定性を高めるため、OBSとTeamsクライアントを AzureのVM上で動作させる構成に移行しました。自宅やイベント会場の回線状況に左右されず、Azure環境の安定したインターネット接続を使ってYouTubeへ配信できるため、年単位で安定稼働していました。
なぜ新方式への移行が必要になったか
安定していたAzure VM+OBS+NDI方式が、ここ数ヶ月で突然不安定になりました。具体的な症状としては以下のようなものが発生しました。
- 音声が途切れる
- 音声が割れる・ループする
- 一部の音声がまったく届かない
- PCやRDPセッションの再起動後は改善するが、しばらくするとまた不安定になる
原因として考えられるのは、TeamsのVDI(仮想デスクトップ)対応の新アーキテクチャ導入の影響です。AzureのVMにRDP(mstsc)でリモートデスクトップ接続し、その上でTeamsを起動するという構成は、VDI環境上でのTeams利用と見なされます。TeamsクライアントやWindows Appがバージョンアップし、VDI向けの最適化が行われる中で、配信用途には不要な最適化処理が干渉している可能性があります。
こうした問題を根本的に解決するには、間に挟んでいる複雑な構成をすべて取り除き、TeamsからYouTubeライブへ直接配信する方式に移行することが最善と判断しました。
新方式の概要 ── RTMPによる直接配信
新方式では RTMP(Real-Time Messaging Protocol) というプロトコルを使います。
RTMPは映像・音声をリアルタイムに転送するためのプロトコルで、YouTubeライブをはじめ多くのライブ配信サービスが対応しています。TeamsがRTMPで映像・音声を送り出し、YouTubeがRTMPで受け取って配信するという仕組みです。
この方式であれば、OBS、NDI、Azure VMといった中間の構成要素がすべて不要になります。PCスペックへの依存もなくなり、配信の安定性はTeamsとYouTubeのインフラに委ねられるため、ワンオペでの運用が格段に楽になります。
設定手順
1. Teams管理センターでライブストリーミングポリシーを有効化する
まずIT管理者が、配信を行うユーザーのアカウントに対してライブストリーミングを許可する設定を行います。
- Microsoft 365管理センターにアクセスします
- 左メニューから Teams管理センター を開きます
- [会議] → [会議ポリシー] に移動します
- 対象のポリシー(既定はグローバル)を選択して編集します
- [オーディオとビデオ] セクションにある [ライブストリーミング] をオンに設定します
- [保存] をクリックします
PowerShellで設定する場合は以下のコマンドで同等の操作が可能です。
Set-CsTeamsMeetingPolicy -Identity Global -LiveStreamingMode Enabled
注意: グローバルポリシー以外のカスタムポリシーがユーザーに割り当たっている場合は、そちらのポリシーも合わせて編集する必要があります。
2. YouTubeライブのストリームURLとストリームキーを取得する
YouTubeStudioの配信管理画面を開き、配信設定の中から以下の2つの値を取得します。
- ストリームURL(例:
rtmp://...で始まるURL) - ストリームキー(配信ごとに発行されるキー文字列)
3. Teams会議にカスタムストリーミングアプリを追加する
重要:「今すぐ会議」ではなくスケジュールされた会議から実行する必要があります。
- Teams上で会議を事前にスケジュールして開始します(即席の「今すぐ会議」では利用不可)
- 会議画面上部のツールバーにある [アプリ] をクリックします
- アプリ一覧から [カスタムストリーミング] を検索して追加します
- カスタムストリーミングアプリが開いたら、以下を入力します
- ストリームURL:手順2で取得したYouTubeのRTMP URL
- ストリームキー:手順2で取得したストリームキー
- [ストリーミングを開始] をクリックします
- 確認ダイアログが表示されるので [許可] をクリックします
設定完了後、しばらくするとYouTubeライブの配信プレビューに映像と音声が届きます。
実際に試してみた結果
設定後、YouTubeの配信プレビューに映像・音声が正常に届くことを確認できました。画面共有を開始すると共有した画面も配信に反映され、発言者の顔映像も同時に表示されます。
一方で、現時点での制限事項として以下が確認されています。
- レイアウトのカスタマイズが不可:OBSのようにロゴ・テロップ・下部テキストなどのオーバーレイは追加できません
- レイアウトは自動:Teamsが自動的に配信レイアウトを決定します。「スタンドアウト」などTeams内の表示モード変更は会議参加者の見え方には影響しますが、配信側のレイアウトには反映されません
- 配信がすぐに始まる点に注意:ストリーミングを開始した瞬間に配信が始まります。テスト中に本番チャンネルで配信が開始してしまうケースがあるため、事前に確認しておきましょう
向いているシーン・向いていないシーン
向いているシーン
- コミュニティイベントや社内勉強会をワンオペで配信する場合
- OBSや専用PCの管理コストを削減したい場合
- とにかく安定した配信を優先したい場合
- Teams会議の内容をそのままYouTubeでアーカイブしたい場合
向いていないシーン
- ロゴ・テロップ・休憩画面など、凝った演出が必要な場合
- 複数カメラのスイッチングや独自の画面構成が必要な場合
- OBSの複数シーン切り替えによる本格的な絵作りが求められる場合
まとめ
TeamsのRTMPブロードキャスト機能を使うことで、Teams会議をYouTubeライブに直接配信できます。設定はTeams管理センターでのポリシー有効化と、会議内へのカスタムストリーミングアプリ追加のみで、URLとストリームキーを入力するだけで完了します。
OBS+NDI+Azure VMという複雑な構成が不要になるため、運用の手間と障害リスクが大幅に減ります。ワンオペでコミュニティ配信を行っている方や、手軽にTeams会議を配信したい方にとって非常に有効な選択肢です。
現時点ではレイアウトのカスタマイズができないという制限がありますが、今後のアップデートで改善される可能性もあります。凝った演出が必要なケースではOBSを活用した従来方式が依然として有効ですが、安定性とシンプルさを重視するシーンでは、この新方式が大いに役立ちます。