High Volume Email(HVE) for Microsoft 365で大量メール送信!

この記事の内容

  • Microsoft 365向けの大量メール送信機能「High Volume Email(HVE)」のパブリックプレビューが強化されました
  • Exchange Onlineの送信制限を超えた大量メール配信が可能になり、サードパーティサービス不要でMicrosoft 365内で完結できます
  • OAuth認証のサポートが新たに追加され、セキュリティとMicrosoft 365との統合が強化されました
  • PowerShellコマンドレットのパラメーター名が変更されており、新しい名前への移行が推奨されています
  • 一般提供(GA)は2025年9月を目標としており、10月初旬には全テナントへの展開完了を目指しています

High Volume Email(HVE)とは

High Volume Email(HVE)for Microsoft 365は、顧客に対して大量のメールを受信者数の制限なしに送信することを可能にする機能です。

通常、Exchange Onlineには送信制限があります。たとえば1日あたりの受信者数やメッセージ数に上限が設けられており、プランによって異なりますが「1日1万人・1分間に30メッセージ」といった制約があります。これを超えるような大量配信を行いたい場合、これまでは SendGrid などのサードパーティサービスを利用したり、オンプレミスのメールサーバーをハイブリッド構成で維持したりする必要がありました。

HVEはこの課題を解決するものであり、Azure Communication Services の Email 機能をベースとしたMicrosoftネイティブのサービスです。メールマガジンの配信や、大量の顧客へのメール送信など、これまでサードパーティに頼っていたユースケースをMicrosoft 365の世界で完結できるようになります。

パブリックプレビュー時点では1テナントあたり1日10万受信者という制限がありますが、一般提供(GA)後は制限なしでの送信が可能になる予定です。


パブリックプレビューの開始と新機能

パブリックプレビューは2024年4月1日にリリースされました。その後、さらなる機能強化が発表されており、主な追加機能は以下の3点です。

1. OAuth認証のサポート追加

HVEアカウントでOAuth認証が利用できるようになりました。これにより得られる利点は次のとおりです。

  • セキュリティの強化
  • Microsoft 365とのシームレスな統合
  • 委任アクセス許可(Delegated Permission)によるユーザーとしての送信と、アプリケーションアクセス許可によるアプリとしての送信の両方に対応

OAuth認証を有効にする手順については、Microsoft公式の記事に記載されています。

2. アカウントセットアップの簡略化

Exchange 管理センター(EAC)でのHVEアカウント設定が強化されました。新しいHVEアカウントを作成する際に、ドロップダウンメニューから管理対象ドメインを選択できるようになり、送信元のプライマリメールアドレスのドメインをコントロールしやすくなっています。

3. PowerShellコマンドレットのパラメーター名変更

New-MailUser コマンドを使ってHVEアカウントを作成する際のパラメーター名が変更されました。

変更前:

New-MailUser ... -ExoAccount

変更後:

New-MailUser ... -HveAccount

以前のパラメーター名はしばらくの間は引き続き使用できますが、将来的には廃止される予定です。新しいパラメーター名への移行を早めに行うことを推奨します。


フェデレーションドメインのサポート

HVEアカウントのプライマリSMTPアドレスとして、フェデレーションされたドメインを設定できるようになりました。これにより、組織で管理しているドメインをHVEアカウントの送信元として柔軟に指定できます。


オンプレミス環境の廃止にも活用可能

これまで、Exchange Onlineの送信制限を超える必要があったためにハイブリッド構成を維持し、オンプレミス側のメールサーバーから大量送信を行っていた組織も存在していました。HVEを活用することで、そのようなオンプレミスのメールサーバーを廃止できる可能性があります。

また、管理者がHVEアカウントごとに独自の送信制限を設けるといったユースケースも想定されています。


一般提供(GA)のスケジュール

現在のパブリックプレビューフェーズでは、安定性・信頼性の確保が主な目標とされています。今後は課金機能やレポーティング機能の追加も予定されています。

  • 2025年9月:一般提供(GA)開始を目標
  • 2025年10月初旬:全テナントへの展開完了を目指す

まとめ

High Volume Email(HVE)for Microsoft 365は、Exchange Onlineの送信制限を超えた大量メール配信をMicrosoft 365内で完結させるための機能です。2024年4月のパブリックプレビュー開始以降、OAuth認証のサポート、アカウント設定の改善、PowerShellパラメーターの正式名称決定、フェデレーションドメインへの対応など、着実に機能が強化されています。

センドグリッドなどのサードパーティサービスを利用して大量メール送信を行っている場合や、オンプレミスのメールサーバーをハイブリッド構成で維持している場合は、HVEへの移行を検討する価値があります。現在すでにパブリックプレビューとして利用可能ですので、ぜひ試してみてください。