⚠️ 時間がない!Exchange Serverのサポート終了前に今すぐ移行計画を!
この記事の内容
- Exchange Server 2019のCU15が2024年後半にリリースされ、これが最後の累積アップデートとなります
- Exchange Server Subscription Edition(SE)のRTMが2025年後半、CU1がさらにその後にリリース予定です
- Exchange Server 2016・2019のサポート期限は2025年10月14日で終了します
- SE CU1の適用前に、組織内のExchange 2013・2016・2019をすべて削除する必要があります
- 対応期間が非常に短く、今すぐ移行計画を開始しなければ間に合わない可能性があります
用語の整理
この記事を読み進める前に、Microsoftのドキュメントでよく使われる略語を確認しておきましょう。
| 略語 | 意味 |
|---|---|
| CU | Cumulative Update(累積更新プログラム) |
| SU | Security Update(セキュリティ更新プログラム) |
| CY | Calendar Year(カレンダー年) |
| H1 / H2 | 前半(1〜6月) / 後半(7〜12月) |
| RTM | Release to Manufacturing(正式リリース版) |
| SE | Subscription Edition(サブスクリプション版) |
| 共存 | 同一組織内での複数バージョンの混在運用 |
今回の変更が影響する組織
今回のロードマップは、すべてのExchange Serverを利用している組織に影響します。具体的には以下が対象です。
- 完全オンプレミス構成:オンプレミスにのみExchange Serverを導入している組織
- ハイブリッド構成:Exchange OnlineとオンプレミスのExchange Serverを並行運用している組織
- 管理ツールのみオンプレミス利用:メールボックスはExchange Onlineに移行済みでも、受信者管理のためにオンプレミスの管理ツールだけを利用している組織
Exchange Onlineへの移行が完了していても、管理ツールをオンプレで使い続けている場合は影響を受けることに注意が必要です。
リリースロードマップ
Exchange Server 2019 CU15(2024年H2リリース)
Exchange Server 2019の累積更新プログラムとしてCU15が2024年後半にリリースされます。これが2019系の最後のCUとなり、以降は機能更新が行われません。
また、このCU15はExchange Server SEのRTMとコードパリティ(同一コードベース)を持ちます。ただし、SE RTMリリース以前に提供されたセキュリティ更新については、わずかな差異が生じる可能性があります。
重要な共存制限:
- Exchange Server 2013との共存はブロックされます
- CU15のセットアップ中に2013が検出された場合、インストールが中断されます
Exchange Server SE RTM(2025年H2リリース)
Exchange Server Subscription Edition(SE)の正式リリース版が2025年後半にリリース予定です。
- Exchange Server 2019 CU14またはCU15からのインプレースアップグレード(上書きインストール)が可能です
- コードベースはExchange 2019と同一です
- Exchange Server 2013との共存はブロックされます
Exchange Server SE CU1(2025年H2後半リリース)
SE CU1は2025年後半の遅い時期(年末頃)にリリース予定です。このバージョンからSEとしての新機能が追加されはじめます。
重要な共存制限(これが最大のポイントです):
SE CU1以降、すべてのサポート対象外バージョンのExchange Serverの共存がブロックされます。具体的には以下がすべてブロック対象となります。
- Exchange Server 2013
- Exchange Server 2016
- Exchange Server 2019
つまり、SE CU1を適用する前に、組織内の旧バージョンExchangeをすべて撤去しておく必要があります。
各バージョンのサポート期限
| バージョン | サポート終了日 | 状況 |
|---|---|---|
| Exchange Server 2013 | 2023年4月11日 | すでにサポート切れ |
| Exchange Server 2016 CU23 | 2025年10月14日 | SE CU1リリース時には終了 |
| Exchange Server 2019 CU14/15 | 2025年10月14日 | SE CU1リリース時には終了 |
Exchange Server 2016と2019のサポート終了日が同じ2025年10月14日であることは注目すべき点です。3年のバージョン差がありながら同じ日付になっているのは、2016のユーザーに対してサポート期限が延長されてきた経緯があるためです。
SE CU1がリリースされるまでの期間を考えると、現在使用しているバージョンのサポート切れと移行作業がほぼ同時期に重なることになります。対応時間は非常に限られています。
推奨される移行アップグレードパス
現在の状況の確認
まず、組織内で稼働しているExchange Serverのバージョンを確認し、以下の最低限のバージョンを満たしているか確認します。
- Exchange 2019を使用中であれば:CU14(最新推奨)またはCU13(サポート対象)
- 2013など旧バージョンが残っている場合:即座に廃止・移行が必要です
アップグレード方法は2種類
① レガシーアップグレード(従来の方法)
新しいサーバーに新しいバージョンのExchangeをインストールし、メールボックスを移動させてから旧サーバーをアンインストールする方法です。
- Exchange 2016 → 2019への移行はこの方法が必要です
- Exchange 2016 → SEへの移行もこの方法を使います
- 一般的には新しいハードウェアと新しいWindows Serverを用意して行います
② インプレースアップグレード(新しい方法)
既存のサーバーに対して上書きインストールを行う方法です。CUの適用と同様の手順で適用できます。
- Exchange 2019 CU14またはCU15からSE RTMへのアップグレードで利用可能です
バージョン別の対応フロー
| 現在のバージョン | 必要な対応 |
|---|---|
| Exchange 2013 | 今すぐ2019 CU14へレガシーアップグレード → CU15適用 → SE RTMにインプレースアップグレード |
| Exchange 2016 | 2019へレガシーアップグレード後、SEへ移行 または 2016から直接SEへレガシーアップグレード |
| Exchange 2019 CU14/15 | SE RTMリリース時にインプレースアップグレード可能 |
推奨される段階的な移行手順
SE CU1を適用するまでの流れを整理すると、以下の手順が推奨されます。
- SE RTMを組織に導入する
- Exchange 2016・2019と一時的に共存させながらメールボックス移行を進める
- 旧バージョン(2016・2019)を廃止・組織から削除する
- SE RTMが安定したらSE CU1を適用する
SE CU1の適用前にすべての旧バージョンを除去しておく必要があるため、この順番通りに作業を進めることが重要です。
なくなる機能(SE CU1時点)
Exchange Server SE CU1のタイミングで、以下の機能が廃止されます。
- UM(Unified Messaging)4.0のサポート
- Outlook on the web(OWA)のインスタントメッセージング機能
- Outlook for Macのサポート(Outlook for Macの旧バージョン)
ライセンスについて
Exchange Server SEを使用するには、以下のいずれか1つのライセンスが必要です。
| オプション | 内容 |
|---|---|
| クラウドサブスクリプションライセンス | Microsoft 365 E3、E5など(Exchange Server SEへのアクセス権が含まれる) |
| サーバーライセンス+CAL(SA付き) | Exchange Server 2016/2019/SEのサーバーライセンスとCALをソフトウェアアシュアランス付きで購入 |
なお、ライセンスのみを単独で購入することはできない仕様に変更されています。
Exchange Server SEのプロダクトキーの取得先は、以前のボリュームライセンスサービスセンター(VLSC)ではなく、Microsoft 365管理センターに変更されています。
ライセンス周りは複雑なため、詳細はMicrosoftのライセンス専門家への相談を推奨します。
よくある質問(FAQ)
インターネット接続によるライセンス確認は必要ですか?
不要です。プロダクトキーを入力して導入すれば、定期的なオンラインライセンス検証なしに継続利用できます。
ハイブリッド用の無償ライセンスはありますか?
はい。以前のバージョンと同様に、ハイブリッド構成ウィザード(HCW)用の無償ハイブリッドライセンスは引き続き提供されます。ただし、このハイブリッドライセンスは受信者管理のみを目的としたものです。メールボックスのホスティングやトランスポートサーバーをオンプレミスで運用する場合には、通常のExchange Serverライセンスが必要です。
サポート期限の延長やESU(拡張セキュリティ更新)の提供はありますか?
現時点では予定はないとのことです。ただし、過去にも同様の場面でサポート延長やESU提供が後から発表されたケースがあることは事実です。
WindowsサーバーのインプレースアップグレードはSEインストール後に可能ですか?
現時点では不可です。Exchange Serverを導入する前に最新バージョンのWindows Serverに更新しておく必要があります。Exchangeインストール後にWindows Serverをアップグレードすることはサポートされていません(現在評価中とのアナウンスあり)。
SE RTMのコードはExchange 2019と同じですか?
はい。SE RTMはExchange 2019 CU15とコードパリティを持ちます。そのため、Exchange 2019 CU15を導入することは、SE RTMを導入するのと実質的に同等です。サーバーロール、前提条件、アーキテクチャに変更はありません。
まとめ
Exchange Serverのオンプレミス運用を継続している組織は、今後約1年間で複数の重要なマイルストーンが集中するため、早急な移行計画の立案と実行が求められます。
- Exchange Server 2013はすでにサポート切れであり、今すぐ移行が必要です
- Exchange Server 2016・2019のサポートは2025年10月14日に終了します
- Exchange Server SE CU1の適用前には、組織内の旧バージョンをすべて撤去する必要があります
- インプレースアップグレードが使えるのはExchange 2019 CU14/CU15からのみです
数千〜数万規模のメールボックスを抱える組織にとっては、このスケジュールでの対応は容易ではありません。管理者は今すぐ現状の棚卸しと移行プロジェクトの立ち上げを開始することをお勧めします。