Windows Server 2025の登場でホットパッチの状況が大きく変化します

この記事の内容

  • ホットパッチとは何か、従来のパッチ適用との違いを解説します
  • これまでのホットパッチはAzure上のAzure Editionでしか利用できませんでした
  • Windows Server 2025とAzure Arc連携により、オンプレミスや他クラウドのVMにも対応が拡大します
  • ホットパッチを利用しても再起動が完全になくなるわけではなく、3ヶ月に1回の再起動は引き続き必要です
  • Azure Arc対応のホットパッチは月額サブスクリプション形式で提供されます

ホットパッチとは

ホットパッチとは、Windowsサーバーにパッチを適用する際に再起動を不要にする仕組みです。従来のパッチ適用と比べると、その速度差は圧倒的です。

Microsoft Ignite 2024のセッションで紹介されたデモ動画では、同じパッチを従来の方法とホットパッチの2つの方法で同時に適用した様子が比較されています。ホットパッチではパッチ適用がほぼ瞬時に完了したのに対し、従来の方法では6〜7分かかった上に、完了後に再起動が必要でした。

ホットパッチを使えば、2つのパッチを適用しても1分かからず、再起動も不要です。「Operation Complete. Success.」と表示されるだけで処理が終わります。毎月のパッチ適用作業の負担を大幅に軽減できる、非常に強力な機能です。


これまでのホットパッチの制約

従来、ホットパッチはWindowsサーバーのAzure Editionでしか利用できませんでした。Azure Editionとは、Azure上で動作するためのエディションです。

つまり、ホットパッチを使うには以下のどちらかの環境が必要でした。

  • Azure上にAzure EditionのWindowsサーバーを展開する
  • Azure Stack HCI上にAzure EditionのWindowsサーバーを展開する

オンプレミスの通常環境や、他のクラウド上のVMには対応していなかったため、「Azure Stackなんてうちには関係ない」という組織にとっては縁遠い機能でした。


Windows Server 2025で何が変わるのか

Windows Server 2025の登場により、ホットパッチの利用範囲が大きく広がります。Microsoft Igniteのセッション「What’s new in Windows Server NEXT」でも、この変化が紹介されました。

Azure Arc対応による対象の拡大

**Azure Arc対応サーバー(Arc-enabled servers)**であれば、どこにあるWindowsサーバーでもホットパッチが利用できるようになります。具体的には以下がすべて対象になります。

  • Standard EditionでもDatacenter Editionでも対象
  • 物理サーバーでも仮想マシンでも対象
  • オンプレミスのサーバーでも対象
  • 他のクラウド上のVMでも対象

Azure Arcを使って既存のWindowsサーバーをAzureのリソースとして管理対象に加えることで、ホットパッチが利用可能になります。


費用について

ホットパッチがどこでも無償で使えるわけではありません。利用形態によって以下のように費用が異なります。

環境費用
Azure上でAzure Editionを使用追加費用なし(従来通り)
Azure Stack HCI上でAzure Editionを使用追加費用なし
Arc対応サーバー(上記以外)月額サブスクリプションが必要

Azure Arc対応サーバーとして接続し、Azureポータル経由で月額の課金を行うことで、オンプレミスや他クラウドのサーバーにもホットパッチが適用できるようになります。


よくある誤解:再起動は完全になくなるわけではない

ホットパッチに関してよくある誤解が「パッチ適用時の再起動が完全に不要になる」というものです。これは正しくありません。

実際の動作は以下のようなサイクルになります。

  • 3ヶ月に1回:累積パッチ(ベースライン)を適用し、再起動が必要
  • 残りの2ヶ月:ホットパッチを適用し、再起動不要

つまり、3ヶ月のうち2ヶ月はホットパッチで素早く終わらせられますが、残り1ヶ月は従来どおりの再起動を伴うパッチ適用が発生します。また、Microsoft側の事情によりこのサイクルが変わることもあるため、「3ヶ月に1回を絶対に保証する」ものではない点もご注意ください。

とはいえ、毎月再起動が必要だった状況から、3ヶ月に1回で済むようになるというのは、サーバー管理者にとって大きなメリットです。


まとめ

Windows Server 2025の登場により、ホットパッチの利用範囲が大幅に拡大されます。

  • これまではAzure上またはAzure Stack HCI上のAzure Editionのみが対象でしたが、Azure Arc対応サーバーであればどこでも利用可能になります
  • オンプレミス・他クラウドへの対応は月額サブスクリプションが必要です
  • 再起動が完全になくなるわけではなく、3ヶ月に1回の再起動は引き続き発生します
  • ただし月次の再起動が大幅に減るため、サーバー管理の負荷軽減に大きく貢献します

Windows Server 2025への移行を検討している方は、ホットパッチの活用も視野に入れておくとよいでしょう。