この記事の内容
- チャンネル登録者数5000人突破を記念し、2023年時点から見た「10年後のIT環境」を予想した内容をまとめています
- LLM(大規模言語モデル)を中心としたAIが社会のあらゆる場面に浸透すると予測しています
- ロボット・自動運転・デバイスの進化など、身近な生活環境の変化についても触れています
- システムインテグレーターの仕事や、個人が活躍できる環境の変化についても考察しています
- Windowsのライセンス形態やクラウドの勢力図など、IT業界の構造的な変化も予想しています
はじめに:5000人突破記念、10年後の予想
このチャンネルのチャンネル登録者数が5000人に到達しました。5000人というのはなかなかの数です。そこで今回は、5000人突破を記念した特別企画として、10年後——2033年前後——のIT業界・IT環境の景色を今の時点で予想し、記録しておこうと思います。
10年後に見返した時に「当たっていたか、外れていたか」を笑いながら確認するための動画です。
AIとLLMが社会のあらゆる場面に入り込む
10年後に最も大きく変わっていることとして、やはりAI——特にLLM(大規模言語モデル)を軸としたブームの影響——が挙げられます。
AIは過去にも何度かブームがありましたが、今回のLLM周りの流れは本当に世の中を大きく変えてしまうインパクトがあります。お店での買い物、レストランでの食事、インターネットサービス、スマートフォンでの操作など、ほとんどのものが「LLMを一部使っている」「LLMによって生み出されたもの」「LLMと一緒に人間が作ったもの」になっているでしょう。
現時点でもすでに、GitHub Copilotと一緒にプログラミングしているエンジニアはかなり多くいます。この流れが加速していくのは間違いなく、10年後には「昔は人間が一から考えてコードを書いていましたね」と言われるくらいの状況になっているかもしれません。
プログラミングの姿が大きく変わる
コーディングという行為そのものが変わっていくと考えられます。
かつて、ハンドアセンブルやマシン語を人間が直接書く時代がありました。それが高級言語へと移り、コンパイラが機械語に翻訳するのが当たり前になりました。人間がやる作業の領域が、少しずつ「ハイレベル」な方向にシフトし続けてきたわけです。
10年後には、コードを書くという行為そのものが「AIが基本的にやること」という領域にまで到達していてもおかしくありません。もちろん全ての領域で完全に置き換わるわけではないですが、大部分はそうなっているのではないでしょうか。
AIとペアでやるのはもはや常識——というより、やっていない方がダメというくらいの状況に、現時点でもなりつつあります。
家庭用ロボットが普及する
AI関連のもう一つの大きな変化として、ロボットが一般家庭にも入ってくることが予想されます。
現在はGoogle HomeやAlexaのような「声だけで操作するデバイス」が家庭に入ってきています。10年後には、自律的に動き、話しかければ話ができ、声で指示した作業を自分でこなせるようなロボットが家庭に普及していてもおかしくありません。
用途も多様です。
- 日常作業を自律的にこなすロボット
- 一人暮らしや高齢者の話し相手になる人間型ロボット
- 介護・見守り用のロボット
- 人が立ち入れない場所(例:原発廃炉作業)での活用
自立的な動作の実現には、映像などから自ら学習してトライアンドエラーを繰り返す仕組みが重要です。インターフェイスはやはり自然言語——つまり言葉で頼む形——になるでしょう。
自動運転が日常に溶け込む
自動運転についても、国やエリアによっては10年後に日常的なレベルまで普及している可能性があります。
2023年時点でも、アメリカの一部エリアでは自動運転タクシーがすでに走り回っています。技術的な問題よりも、法律や社会的な整備の問題の方が残っている状況です。それを先行して整備していく国(アメリカなど)では、社会への実装がどんどん進んでいくでしょう。
日本でも、高齢化・地方過疎化が進む中で、AIを活用した自動運転のコミュニティバスやタクシーアプリが実用化されることが期待されます。スマートフォンでお願いすると、高齢者を乗せて買い物に連れて行ってくれる——そういったサービスが実現されているといいですね。
システムインテグレーターの仕事はどう変わるか
システムインテグレーターという職業自体は、10年後も引き続き存在するでしょう。
ただし、メインの仕事の重みは変化してきます。数十年前から動き続けているメインフレームや基幹システムは、そう簡単に置き換えられるものではありません。昔作ったシステムの面倒を見続けるという仕事の比重は、むしろ高まっていくかもしれません。
一方で、新しいシステムを作る際に「複数社に見積もりを依頼して安いところに丸投げ」というやり方は、徐々に減っていくでしょう。事業会社が自社でエンジニアを抱えて継続的に開発・改善するスタイル、いわゆる内製化の流れは今後も緩やかに続いていきます。
個人が活躍できる範囲が広がる
クラウドサービスの普及に続き、AIの助けを借りることで、個人でできることの範囲が飛躍的に広がっています。
かつては絶対に組織でないと無理だったようなことが、個人でもできるようになってきています。AIに頼むことで、大きな仕事を一人でこなせる時代が来るでしょう。その結果、個人レベルで活躍するプレイヤーがより活躍できる社会になっていくと思われます。
活躍するために必要なスキルセットとして考えられるのは、以下のようなものです。
- CPUやメモリ、ネットワーク、OSといった低レイヤーの動作原理の理解
- クラウドサービスの幅広い知識
- LLMやAIツールをうまく活用するスキル
- これらを組み合わせて自分のアイデアを形にする力
企業に勤めながら副業・サイドビジネスを行うスタイルも増えていくでしょう。
Windowsはサブスクリプション型に移行するか
Windows自体は10年後も存在しているでしょう。ただし、ライセンス形態はサブスクリプション型への移行が進んでいると予想されます。
「月額いくらでWindowsが使えます、AIサービスもバンドルされています」という形が公式の主要ライセンスになっているかもしれません。一方で、買い切り型を好む層の反発もあり、違法コピーに近い形のものが黙認される状況も起こりえます。過去にWindowsが普及期に違法コピーを黙認していたとも言われているように、移行期には一定の「逃げ道」が残されることもあるのではないでしょうか。
クラウドの勢力図はほぼ変わらない
クラウドコンピューティング周りは、10年後でも景色がそれほど変わっていない可能性が高いと考えます。
今まったく名前の知られていないサービスがトップになるといったことは起こりにくいでしょう。AzureがAWSを追い抜くといった変化はあり得ますが、全体の構造は大きく変わらないでしょう。中国系クラウドのシェア拡大も可能性としてはありますが、米中の経済競争の行方に左右されるところが大きいです。
デバイスの進化が景色を変えるカギ
AI・ソフトウェアの進化に対して、デバイス側の進化がやや遅れているのが現状です。
理想的なデバイスは、普通のメガネと同じくらいのサイズで、インターネットに高速接続でき、バッテリーも長持ちし、現実の映像を見ながらリアルタイム翻訳や情報表示ができるスマートグラスです。しかし現時点では、VRヘッドセットのようなごつい機器が中心です。
スマートグラスが「みんなが普通にかけているもの」になるかどうかは、10年以内だとまだ難しいかもしれません。ただ、デバイス側に何らかのブレークスルーが起きれば、世界の景色は一気に変わるでしょう。
英語の重要性は相対的に下がる
英語は引き続き重要なスキルではありますが、AI翻訳技術の発達により、10年後・20年後という視点では以前ほどの投資対効果は得られなくなっていくと思われます。
リアルタイムの音声翻訳・同時通訳をAIがこなせる時代は、技術的にはもうほぼ実現可能な状態にあります。あとはレスポンス速度や料金面の改善だけという状況です。ビジネスの会議でAIによるリアルタイム翻訳を使うのが当たり前になる世界が来てもおかしくありません。
とはいえ、同じ言語で直接コミュニケーションできることの安心感や信頼感は人間の本能的なものとして残るでしょうし、通信インフラが整っていない場面での対応力としても、英語スキル自体の価値がゼロになるわけではありません。
テレビの衰退・YouTubeの継続
テレビの衰退はすでに当たり前の流れです。10年後にはさらにその傾向が進み、映像メディアはスマートフォンやインターネット接続デバイスで見るのが主流になっているでしょう。広告費もそちらに流れ続けます。
一方でYouTubeは、10年後も主要なプラットフォームとして存在し続けると予想されます。
教育現場へのIT活用
ITを活用した教育への変化についても期待があります。
- ChatGPTのような生成AIを家庭教師代わりに使う
- 生徒一人ひとりの理解度・進捗に合わせた自動カスタマイズ学習
- 継続的な学習記録・実績をITで蓄積し、一発試験に頼らない評価
- 電子書籍の活用による教科書の軽量化
人間の先生は、心のケアや個別対応など、ITが代替しにくい部分に集中できる形になると理想的です。
まとめ
2023年時点から見た2033年前後のIT環境予想をまとめると、以下のようになります。
- LLM/AIがあらゆるサービス・プロダクトに組み込まれ、コーディングをはじめ多くの作業がAI主導になる
- 家庭用ロボットが普及し、介護・家事・対話など多様な用途で使われる
- 自動運転が一部の国・地域では日常的な交通手段として定着する
- 個人の活躍範囲が広がり、個人とAIの組み合わせで大きな仕事ができる時代になる
- Windowsのサブスクリプション化が進む可能性がある
- クラウドの勢力図は大きくは変わらない
- 英語の相対的価値はAI翻訳の発達により徐々に下がる
- スマートグラスなどのデバイス側の進化が世界を変えるカギになる
10年後に見返した時に「当たっていたか、外れていたか」——そのための記録として、今この予想を残しておきます。