Azure 更新情報まとめ ─ 2023年3月18日更新分
この記事の内容
- 2023年3月18日時点のAzure更新情報を幅広くカバーします
- バックアップ・ネットワーク・AI/ML・データベースなど多岐にわたるアップデートを紹介します
- GA(一般提供)・パブリックプレビュー・廃止予定をそれぞれ整理しています
- 今回は更新件数が特に多いため、各項目をコンパクトにまとめています
- 廃止予定の機能も複数含まれているため、該当サービスを利用中の方は要確認です
バックアップ関連
Azure Backup ─ Azure Files の保護(プライベートプレビュー)
Azure Backup にて、Azure Files をバックアップ対象として保護できるようになりました。これまでのディスクやVM単位のバックアップに加え、ファイル共有もバックアップできるようになっています。
イミュータブルボルト for Azure Backup(GA)
Azure Backup のイミュータブルボルト(Immutable Vault)が一般提供(GA)されました。「イミュータブル」とは変化しない・不変であるという意味で、バックアップしたデータを有効期限内に削除できないよう保護します。ランサムウェアによる攻撃や、悪意ある管理者権限を持つユーザーによる削除から、バックアップデータを守ることができます。
Azure VM バックアップ ─ データディスクの選択(パブリックプレビュー)
Azure VM バックアップにおいて、エンハンスドポリシーを使用した際にバックアップ対象のデータディスクを選択できるようになりました。ポータルから簡単に選択でき、選択したディスクのみが課金対象となります。
ネットワーク関連
Network Virtual Appliance ─ Accelerated Connections(プレビュー)
ネットワークバーチャルアプライアンス(NVA)のパフォーマンスが大幅に強化されました。「Accelerated Connections(アクセラレーテッドコネクション)」という機能で、仮想NICの性能向上を実現しています。
主なポイントは次のとおりです。
- CPS(Connections Per Second:1秒あたりの接続数) がベアメタルレベルのパフォーマンスで動作
- 以前と比較して最大 10倍のパフォーマンス を実現
- アクティブなコネクション数は最大 2倍 に拡張
- NVA側でパフォーマンスレベルを選択可能
- リージョンごとにオプトインで提供
Azureマーケットプレイスから展開したネットワークアプライアンスVM(ルーター・ファイアウォール・ロードバランサー等として利用するVM)のスループットが純粋に向上するアップデートです。現時点ではプレビューのためサインアップフォームへの登録が必要で、サインアップ後に作成したリソースグループ・VM が対象となります。
Azure Firewall Basic(GA)
Azure Firewall の「Basic」SKU が一般提供(GA)されました。他のSKUよりも低コストで利用できるため、規模の小さい環境でもAzure Firewallを導入しやすくなりました。
Azure Firewall ─ Illumio 連携(パブリックプレビュー)
MicrosoftとIllumio(ゼロトラストセグメンテーションのベンダー)が連携し、Azure Firewall向けのソリューションがパブリックプレビューで公開されました。主な特徴は以下のとおりです。
- Azure Firewallのデータフローをもとに一元的なビューで可視化
- リスク低減と環境全体の把握が可能
- アプリケーションベースのポリシーを簡単にデプロイ
- 自動スケーリングに対応したポリシーの展開
- Azure Firewall の Basic / Standard / Premium の3 SKU に対応
セキュリティ関連
一時的なOSディスクの顧客管理キーによる暗号化(GA)
一時的なOS(Ephemeral OS)ディスクにおいて、顧客管理キー(CMK)による暗号化がサポートされ、一般提供(GA)となりました。
AI・機械学習関連
Azure Cognitive Services for Vision(パブリックプレビュー)
Azure Cognitive Services の新しいコンピュータービジョンサービスがパブリックプレビューとして提供されました。大きな改善点はモデルのカスタマイズにかかるコストです。
- 以前:カスタムモデルの学習に数百枚の画像が必要
- 現在:数百万オブジェクトのカテゴリーを事前に認識できるよう性能が向上しており、数枚の画像でトレーニングしても高品質なカスタムモデルが作成可能
画像や動画コンテンツから情報を抽出したい場合に活用できます。
Azure Chaos Studio ─ East Asia リージョン(プレビュー)
Azure Chaos Studio がEast Asiaリージョンでプレビュー利用可能になりました。
Azure Machine Learning ─ 2023年3月アップデート(プレビュー)
Azure Machine Learning に複数の新機能が追加されています。
環境構築エラーのトラブルシューティング改善 環境定義に関する警告・エラーが分かりやすく表示されるようになりました。
パイプラインジョブ送信ウィザードの改善
- UIが大きくなり操作しやすくなった
- パイプライン入力の有効化、乱数設定の変更、再実行の可否などが操作しやすくなった
ACPT(Azure Container for PyTorch)による高速チェックポイント Nebula を含むようになり、チェックポイントのライフサイクル管理が可能になりました。大規模なジョブでも高速にチェックポイントを保存できるため、トレーニング全体の時間短縮が期待できます。
UAE West リージョンへの展開 Azure Machine Learning が UAE West リージョンで利用できるようになりました。
Azure Machine Learning ─ 2023年3月 GA アップデート
- AutoML の予測値ビジュアライズ機能(GA):予測値と実際の値の関係をグラフで表示できるようになりました
- コンピューターインスタンスのパブリックIP無しプロビジョニング(GA):インターネットからの直接アクセスを遮断した環境でも利用可能に
- バッチエンドポイントのサポート(GA)
- マネージドIDを使用したコンピューターインスタンス作成(GA):データアクセス権限をマネージドIDで管理可能に
データベース関連
Azure Database for PostgreSQL Flexible Server ─ 新しいエクステンション(プレビュー)
2つの新しいエクステンションが追加されました。
pg_hint_plan エクステンション
PostgreSQLはデータ統計情報をもとに実行計画のコストを推定し、最もコストの低いものを選択して実行します。pg_hint_plan を使うと、SQLコメントにヒントを記述することで実行計画を開発者が直接コントロールできます。データベースの内部構造をよく理解している開発者が、より高いパフォーマンスを引き出したい場面で活用できます。
semver エクステンション
セマンティックバージョニング(1.2.3 のような形式のバージョン番号)を型として扱えるようになります。バージョン番号のルールに従った管理が必要なデータを扱う場合に便利です。
Azure Database for PostgreSQL Flexible Server ─ パフォーマンスワークブック(GA)
Azure Workbooks を使用してAzure Database for PostgreSQL の状態を可視化・分析できるパフォーマンスワークブックが一般提供(GA)されました。
Azure Database for PostgreSQL Flexible Server ─ PgBouncer 監視メトリクス(プレビュー)
PgBouncer(データベースへの接続を管理するコネクションプーラー)のプロセスに関するメトリクスが監視できるようになりました。アクティブな接続・アイドル接続・プールされた接続などを把握できます。
Azure SQL ─ 2023年3月中旬アップデート
Azure SQL Managed Instance にて、プライベートエンドポイントを使用したアプリケーションとの内部接続がパブリックプレビューで利用可能になりました。また、パフォーマンスへの影響なしにデータベースファイルを縮小できる機能も追加されています。
Azure Cosmos DB Analytical Store ─ 変更データキャプチャ(プレビュー)
Cosmos DB の分析ストアで変更データキャプチャ(CDC)がサポートされました。Cosmos DB のパフォーマンスやコストに影響を与えることなく、分析ストアへの変更データをData Lake・SQL Database・Synapse・Azure Data Explorer などに書き込めます。
Data API Builder(パブリックプレビュー)
データベース向けにREST/GraphQL APIのエンドポイントを数分で構築できる「Data API Builder」がパブリックプレビューで登場しました。
対応しているデータベースは以下のとおりです。
- オンプレミス SQL Server
- Azure Database for PostgreSQL
- Azure Database for MySQL
- Azure Cosmos DB
Data API Builder はオープンソースプロジェクトとして公開されています。バックエンドAPIを素早く構築したい場合に非常に有用です。
Azure Cache for Redis ─ JSON サポート(プレビュー)
Azure Cache for Redis にて、JSONスタイルのドキュメントを複数リージョン間でレプリケーションできるようになりました。
コンテナ・Kubernetes 関連
AKS バックアップ・リストア(プレビュー)
AKS(Azure Kubernetes Service)クラスターのバックアップおよびリストア機能がプレビューで利用可能になりました。
Azure Kubernetes Service Essentials(GA)
Microsoftがサポートする軽量なKubernetesディストリビューション「Azure Kubernetes Service Essentials」が一般提供(GA)となりました。Linux・Windows両対応で、PowerShellのコマンドで簡単にインストールできます。エッジ環境でも動作します。
Azure Container Apps ─ Azure Monitor 連携(GA)
Azure Container Apps のログ送信先を選択できるようになりました。Azure Storage・Event Hubs・パートナーソリューションに加え、Log Analytics ワークスペースに送信してAzure Monitor で監視・分析することが可能です。
Azure Monitor Container Insights ─ ContainerLogV2 スキーマ(GA)
Azure Monitor Container Insights にて、新しい軽量スキーマ「ContainerLogV2」が一般提供(GA)されました。コンテナのログ監視がより効率的に行えます。
Azure Monitor Container Insights ─ AKS ノードのsyslog収集(プレビュー)
Azure Monitor Container Insights を使用して、AKSノードのsyslogを収集できるようになりました。
Azure Red Hat OpenShift ─ 3月アップデート(GA)
Azure Red Hat OpenShift に複数の強化が加わりました。
- 新しいリージョンへの展開
- 新しいインスタンスタイプのサポート
- プロビジョニング時のレビューノード追加
- インツリードライバーの代わりにCSI経由でAzure Filesを利用可能
- Ultra SSD のサポート
- Accelerated Networkingの利用可能
- ANFのサポート
Azure Red Hat OpenShift 4.11(GA)
Azure Red Hat OpenShift バージョン4.11が一般提供されました。Kubernetes 1.24 をベースとしています。
Webアプリ・ストレージ関連
Azure Static Web Apps ─ APEXドメイン向けAレコードサポート(プレビュー)
Azure Static Web Apps にて、APEXドメイン(ホスト部分のないドメイン)に対してAレコードでの登録がサポートされました。グローバルディストリビューションの恩恵は受けられなくなる点は注意が必要ですが、利用場所が限定される場合の選択肢として有効です。
Azure Static Web Apps ─ データベース接続サポート(プレビュー)
Azure Static Web Apps から直接データベースを利用できる「データベースコネクション」機能がプレビューで提供されました。組み込みの「Data API」エンドポイントにREST/GraphQLでリクエストを送ることで、接続したデータベースのデータを取得・変更できます。
監視・管理関連
Azure Monitor ─ メトリックチャートの多次元スプリット(GA)
Azure Monitor のメトリックチャートで、複数のディメンションを同時にスプリット(分割)できるようになりました。
例えば、アプリケーションのエラー数を「リージョン」と「ステータスコード」の両方で同時に分割して表示できます。以前は1つのディメンションでしか分割できませんでしたが、これにより「どのリージョンでどのステータスコードが多いか」を一度に把握できるようになります。
Azure Digital Twins ─ データヒストリーのグラフ更新サポート(GA)
Azure Digital Twins のデータヒストリー機能が強化され、プロパティ更新・ライフサイクルイベント・リレーションシップライフサイクルの履歴を保存できるようになりました。
ライセンス・ハイブリッド関連
Azure Hybrid Benefit for SQL Server on Azure VMware Solution(AVS)
オンプレミスで保有しているSQL Serverライセンスを活用できるAzure Hybrid Benefitが、Azure VMware Solution(AVS)上のSQL Serverにも対応しました。Azureポータルから VMのホスト配置ポリシー(プレイスメントポリシー)を設定しつつ、Azure Hybrid Benefitを適用できます。
その他のアップデート
Durable Functions ─ マネージドIDによるAzure Storageサポート(GA)
Durable Functions がマネージドIDを使用してAzure Storageと連携できるようになりました。
Logic Apps ─ Azure Database for MySQL コネクター(プレビュー)
Azure Database for MySQL に接続するLogic Appsコネクターがプレビューで提供されました。
Azure SQL Migration ─ オフラインマイグレーション(GA)
Azure Data Studio の Azure SQL Migration 拡張機能を使用して、オンプレミスのSQL ServerをAzure SQLへオフラインでマイグレーションする機能が一般提供(GA)となりました。
Azure Load Testing ─ JMeter 5.5 サポート
Azure Load Testing がJMeter 5.5をサポートしました。Javaのバージョンも更新されています。
Premium SSD v2(プレビュー)
IOPSとスループットをブーストできるPremium SSD v2がプレビューで提供されています。より高いディスクパフォーマンスが必要なワークロードで活用できます。
Application Gateway ─ TLS証明書管理のポータル対応(プレビュー)
Application Gatewayのリスナー向けTLS証明書の管理が、Azureポータルから行えるようになりました。これまではAzure PowerShellやAzure CLIのみの対応でしたが、ポータルでも操作できるようになっています。
Azure Ultra Disk Storage ─ 新リージョン展開
Azure Ultra Disk Storage が以下のリージョンで利用可能になりました。
- Brazil South
- South Africa North
- UAE North
廃止・リタイア予定
今回の更新では複数の廃止予定(Retirement)が含まれています。該当サービスを利用中の方はご注意ください。
| サービス・機能 | 廃止予定日 |
|---|---|
| Azure Database Migration Service Classic(MySQL シナリオ) | 近日廃止 |
| Azure Storage PHP クライアントライブラリ | 2024年3月17日 |
| Container Insights 推奨アラート(Prometheus 移行) | 2026年 |
| Azure Arc 対応 Kubernetes クラスター構成(Flux v1) | 近日廃止 |
| Azure Batch クラシックコンピュートノード通信モデル | 2026年4月1日 |
| Microsoft Sentinel アナリティクスルールへのプレイブック割り当て | 2026年3月15日 |
| Azure Batch ノードタスク変数の参照 | 2024年3月31日(または2026年、情報が錯綜しているため要確認) |
まとめ
2023年3月18日時点のAzure更新情報は、非常に多くのアップデートが一度に公開された週でした。特に注目すべき点は以下のとおりです。
- ネットワーク面:Network Virtual Appliance の Accelerated Connections により最大10倍のパフォーマンス向上が期待できます
- バックアップ面:Azure Files のバックアップ対応やイミュータブルボルトのGA化でデータ保護が強化されました
- 開発者向け:Data API Builder のプレビュー登場により、データベース向けAPIの構築が大幅に簡略化されます
- AI/ML面:Azure Machine Learning やAzure Cognitive Services for Vision の各種強化により、機械学習ワークフローがより使いやすくなっています
- 廃止予定:複数のサービス・機能が廃止予定となっており、移行計画の確認が必要です
今回は更新件数が特に多いため、各サービスの詳細は公式ブログや更新情報ページにて最新情報をご確認ください。