【Veeam Backup & Replication編】VMwareからAzure Stack HCIへのVM移行!
この記事の内容
- Veeam Backup & Replicationを使ってVMware環境の仮想マシンをAzure Stack HCIクラスターへ移行する手順を紹介します
- インスタントリカバリー機能を利用してHyper-VへのリストアをVMware側のバックアップから行う方法を解説します
- リストアウィザードの操作における注意点(スタート地点の選び方)を共有します
- クラスターリソースへの登録方法やストレージパスの設定についても触れます
- 現時点での制限事項(レプリケーション非対応・ダウンタイム発生)についてもまとめます
概要:今回の検証シナリオ
今回はVeeam Backup & Replicationを使って、vCenter経由で動作しているVMware環境の仮想マシンをバックアップし、Azure Stack HCIのHyper-Vクラスターにリストアするという検証を行いました。
このバックアップ&リストアのアプローチにより、VMwareからAzure Stack HCIへのVM移行が実現できます。レプリケーション(ライブマイグレーション)ではなく、バックアップ&リストアという形での移行になります。
バックアップの実施
まずはVMwareの仮想マシンを通常どおりバックアップします。対象のVMを右クリックしてバックアップジョブを作成し、バックアップを実行します。この部分は通常のバックアップ操作と変わりません。
ウィザードの操作:注意すべきスタート地点
Veeam上でHyper-Vへのインスタントリカバリーを行う際、ウィザードのスタート地点に癖があります。ここが今回最も注意が必要なポイントです。
誤りやすいパターン
ホーム画面の「Restore」から「Microsoft Hyper-Vにリストアする」という入口を選んだ場合、「From Backup」でバックアップを選ぶ際にHyper-Vで取得したバックアップしか選択肢に表示されません。VMware側のバックアップはここでは選べないため、この入口からは移行できません。
正しい操作手順
インベントリーからVMwareのVMを選択してリストアを開始するのが正解です。手順は以下の通りです。
- インベントリーからVMwareのVM(バックアップ済みのVM)を選択
- 右クリックまたはメニューから「Restore」を選択
- 「Restore from Backup」→「Entire VM」→「Instant Recovery」を選択
- リストア先として「Instant Recovery to Microsoft Hyper-V」を選択
この順番で進めることで、VMware側のバックアップからHyper-Vへのインスタントリカバリーが実行できます。インスタントリカバリーの起点をVMware側のVMから開始することが重要です。
ターゲットホストとクラスターの設定
リストア先の指定にも注意点があります。
ノードを直接指定する
Azure Stack HCIのクラスターそのものは選択肢として表示されません。クラスター内の特定のノード(Hyper-Vホスト)を選択する形になります。「どのノードで最初に起動させるか」を選ぶイメージです。
クラスターリソースへの登録
ノードを選択した後、クラスターリソースとして登録するかどうかをウィザード内で選択できます。
- 「Register VM as a Cluster Resource」を選択すると、クラスターのVMリソースとして登録されます
- この設定を行わない場合、選択したノード上で個別のVMとして起動します
なお、クラスターリソースへの登録はフェールオーバークラスターマネージャーからでも後から実施できますが、ウィザード内で設定するほうが手軽です。
ストレージパスの設定
デフォルトのストレージパスが C:\Users\... などのローカルパスになっている場合があります。クラスターリソースとして扱う場合は、クラスターストレージのボリューム(CSV)配下に変更する必要があります。
パスの設定例としては、Hyper-Vの仮想マシン用フォルダ(例:C:\ClusterStorage\Volume1\Hyper-V\)配下にVMの名前でフォルダを作成し、そこを指定するのが適切です。
インスタントリカバリーの仕組み
インスタントリカバリーは非常に興味深い機能です。通常のリストアとは異なり、以下のような動作をします。
- 仮の(空の)VHDXを作成して、VMをすぐに起動できる状態にする
- VMへのディスクアクセスが発生した際に、バックアップ領域へフックしてデータを読み出す
- バックアップからの完全なリストアは後から非同期で実施する
これにより、完全なデータコピーが完了する前にVMを起動・確認できます。動作確認後に本格的なリストアを実施するという流れです。
現時点での制限事項
VMwareからAzure Stack HCIへの移行においては、現時点でいくつかの制限があります。
レプリケーションは非対応
VeeamのReplication(レプリケーション)機能でAzure Stack HCIクラスターを直接ターゲットとして指定することは現時点ではできません。VMwareとHyper-Vはアーキテクチャーがことなるためです。そのため以下の機能も利用できません。
- ライブマイグレーション
- フェールオーバー
ダウンタイムが発生する
バックアップ&リストアによる移行のため、ダウンタイムが発生します。おおよその手順と所要時間のイメージは以下の通りです。
- VMware側でVMを停止
- 最後のバックアップを取得
- Azure Stack HCI側にリストア
VMのサイズにもよりますが、5分程度のダウンタイムは想定しておく必要があります。
まとめ
Veeam Backup & Replicationを使うことで、VMware環境の仮想マシンをAzure Stack HCIクラスターへバックアップ&リストアの形で移行できることを確認しました。
最大のポイントはウィザードのスタート地点です。VMware側のVMをインベントリーから選択し、そこからインスタントリカバリー(to Microsoft Hyper-V)を開始することで、VMware側のバックアップをHyper-Vへリストアできます。
現時点ではレプリケーションによるリアルタイムな移行やフェールオーバーには対応していませんが、バックアップ&リストアという形であれば問題なく移行が実現できます。ダウンタイムを許容できるシナリオであれば、実用的な移行手段として十分に活用できます。