【Azure更新情報】2023年1月14日更新分

この記事の内容

  • Azure VM バックアップが SQL Server 環境で Copy-Only Full Snapshot を自動設定するよう改善されました
  • Event Hubs データを Delta Lake 形式で Data Lake Storage Gen2 に保存できるようになりました(パブリックプレビュー)
  • Backup Center が Azure Site Recovery の監視にも対応し、複数サブスクリプション・リージョンを一括管理できるようになりました
  • Azure Data Explorer から Cosmos DB のデータをほぼリアルタイムで分析できる機能がパブリックプレビューになりました
  • Azure Automation の VS Code 拡張機能がパブリックプレビューとして公開されました

一般公開(GA)されたアップデート

Azure Red Hat OpenShift が Brazil Southeast リージョンで GA

Azure Red Hat OpenShift が Brazil Southeast リージョンで一般公開されました。日本のユーザーには直接関係が薄いかもしれませんが、対応リージョンの拡大は着実に進んでいます。


Azure VM バックアップ:SQL Server VM の Copy-Only Full Snapshot が自動適用に

2022年12月のアップデートで、Azure VM バックアップに重要な改善が加えられました。

背景と問題点

Azure VM のバックアップは VSS(Volume Shadow Copy Service)と連動し、一貫性のあるバックアップを取得します。SQL Server がインストールされた VM では、VSS が SQL Server の VSS Writer と連動してアプリケーションレベルの整合性を確保しています。

従来の動作では、SQL Server のフルスナップショットを作成する際に ログシーケンスナンバー(LSN)がリセットされることがありました。このリセットに気づかないままログバックアップを継続すると、フルバックアップとの間に不整合が生じ、リカバリー時に問題が発生するケースがありました。

解決策

この問題を回避するために、従来はレジストリキーを手動で設定し、Copy-Only Full Snapshot を使用するよう構成することが推奨されていました。Copy-Only Full Snapshot を使用することで、LSN がリセットされなくなります。

今回のアップデートの内容

2022年12月12日以降、Azure VM バックアップはこのレジストリキーを自動的に設定するようになりました。

  • 既存の SQL Server VM:バックアップ保護されているものに対して自動的に設定が適用されます
  • 新規の SQL Server VM:バックアップ保護を設定した時点で自動的に構成されます

ユーザー側での対応は不要となり、SQL Server が稼働する VM のバックアップ信頼性が向上しています。


Backup Center が Azure Site Recovery の監視に対応

Azure Backup Center が拡張され、Azure Site Recovery の監視にも対応する形で GA しました。

これまで、Azure Site Recovery を利用している場合は各 Recovery Services コンテナー(Vault)に個別にアクセスして状態を確認する必要がありました。今回のアップデートにより、以下の環境をまたいだ一括監視が可能になっています。

  • 複数のサブスクリプション
  • 複数のリソースグループ
  • 複数のリージョン

Backup Center は Azure ポータル上で、バックアップおよびディザスターリカバリーの統合管理拠点として機能します。エンタープライズ向けに、管理・監視・運用・分析を一か所でまとめて行えるようになっています。

複製されたアイテムのインベントリ確認や、全レプリケーションジョブの監視などを Backup Center 上でシングルビューとして確認できるようになっています。


AzAcSnap(Azure Application Consistent Snapshot Tool)バージョン 7 が GA

Azure Application Consistent Snapshot Tool(AzAcSnap)のバージョン 7 がリリースされました。

AzAcSnap はコマンドラインツールで、Linux 環境上でサードパーティ製データベースのアプリケーション整合性スナップショットを取得するためのツールです。

バージョン 7 の主な変更点は以下のとおりです。

  • Azure Backup との統合が改善
  • Azure NetApp Files Backup のプレビューサポートが追加
  • IBM Db2 データベースへの対応(構成・テスト・スナップショットバックアップ)
  • スナップショット名の短縮対応
  • リストアおよびテスト処理の改善

Azure Ultra Disk Storage がスイスリージョンで GA

Azure Ultra Disk Storage がスイスのリージョンで一般公開されました。Azure AD 認証によるアクセス制御と組み合わせることで、条件付きアクセスや多要素認証と連携した安全なディスクの操作(インポート・エクスポート)が可能になっています。


IoT Edge Metrics Collector 1.1 が GA

IoT Edge の Metrics Collector モジュールがバージョン 1.1 として一般公開されました。機能的な変更はなく、主な変更内容は以下のとおりです。

  • .NET Core 3.1 から .NET 6.0 へのアップグレード
  • Docker イメージサイズの削減
  • IoT デバイス SDK が最新バージョンに更新

バージョン 1.0 からのアップデートは安心して実施できます。なお、バージョン 1.1 以降は Windows 版コンテナーイメージの提供は終了となっています。


パブリックプレビューのアップデート

Event Hubs データを Delta Lake 形式で保存(Stream Analytics ノーコードエディター)

Azure Stream Analytics のノーコードエディターを使用して、Event Hubs のデータを Delta Lake 形式で Azure Data Lake Storage Gen2 に保存できるようになりました。

Delta Lake はオープンソースのソフトウェアで、Parquet 形式のファイルを拡張し、ファイルベースのトランザクションログによって ACID トランザクションやスケーラブルなメタデータ管理をサポートします。

設定はコードを一切書かずにドラッグ&ドロップで行えます。事前定義されたキャンバステンプレートが用意されており、Azure ポータルから Event Hubs にアクセスして「Process data(プロセスデータ)」のキャプチャー機能から利用できます。


Azure Data Explorer から Cosmos DB をほぼリアルタイムで分析

Azure Data Explorer(ADX)が Cosmos DB からのマネージドデータ取り込みをサポートするパブリックプレビューが開始されました。

この機能により、Cosmos DB のデータをほぼリアルタイムで分析できるようになります。ADX は Power BI や KQL もサポートしているため、Cosmos DB のデータをもとにしたリアルタイムレポートを Power BI で構築することも可能です。

現時点では Azure Cosmos DB for NoSQL のみが対象となっています。設定は ADX のデータ接続設定から行うことができます。


Apache Spark 3.3 ランタイムが Azure Synapse で利用可能に

Azure Synapse Analytics 向けに Apache Spark 3.3 のランタイムがパブリックプレビューとして提供されています。Apache Spark 3.3.0 / 3.3.1 の公式リリースノートで変更内容を確認できます。Spark を Synapse 上で利用している場合は、リリースノートを一通り確認しておくとよいでしょう。


Azure Automation の VS Code 拡張機能がパブリックプレビューに

Azure Automation 向けの Visual Studio Code 拡張機能がパブリックプレビューとして公開されました。

この拡張機能を使用することで、VS Code 上で以下の操作が可能になります。

  • Runbook の作成・編集
  • ジョブのトリガー(起動)
  • 直近のジョブ状態のトラッキング
  • スケジュールや Webhook のリンク設定
  • アセットの管理
  • ローカルデバッグ

VS Code は広く使われているエディターであるため、普段の開発環境と同じツールで Automation の管理が行えるようになったのは便利な改善点です。


まとめ

2023年1月14日時点の Azure 更新情報をまとめると、以下のポイントが特に注目されます。

  • SQL Server VM のバックアップ改善:Copy-Only Full Snapshot が自動適用されるようになり、LSN リセットによる復元トラブルを防止できます
  • Backup Center の強化:Azure Site Recovery も対象に加わり、複数環境の DR 状況を一元管理できるようになりました
  • データ分析基盤の強化:Event Hubs → Delta Lake 形式保存、Cosmos DB → ADX リアルタイム連携など、データ基盤周りのアップデートが複数あります
  • 開発ツールの拡充:Azure Automation の VS Code 拡張機能により、ローカル開発環境から直接 Automation の管理が可能になりました

特にバックアップ・DR 周りの改善は運用上の信頼性向上に直結するため、該当環境を利用している場合はアップデート内容を確認しておくとよいでしょう。