Azure更新情報まとめ 2022年12月10日〜16日
この記事の内容
- Azure Stream AnalyticsのGA:組み込み関数の強化とDelta Lakeフォーマットのサポート
- Azure Event Hubs(プレビュー):キーベースのログコンパクション機能
- Azure Cost Management(プレビュー):タグの継承機能でコスト管理を効率化
- Azure Service Busプレミアム(プレビュー):パーティショニングとインフラ改善によるパフォーマンス向上
- Azure SQL Managed InstanceのデータバーチャライゼーションGA、Azure SQL Databaseのゾーン冗長GA、AKSのKubernetes 1.25サポートGA
Azure Stream Analytics:組み込み関数の強化(GA)
Azure Stream Analyticsにて、複数のパラメーターを持つ組み込み関数のサポートが強化されました。今回のアップデートでは、以下の3カテゴリの関数が更新されています。
- Windowing(ウィンドウ)関数
- 文字列操作関数(String Functions)
- 数学関数(Math Functions):
ROUND、POWERなど - 日付・時間関数(DateTime Functions)
また、ADLS Gen2の出力シンクにおいて、Delta Lakeフォーマットがサポートされました。データレイク上の最新フォーマットに対してStream Analyticsから直接出力できるようになり、パイプライン構築の柔軟性が向上しています。
Azure Event Hubs:ログコンパクション機能(プレビュー)
Azure Event Hubsに、ログコンパクション機能がパブリックプレビューとして追加されました。
従来のイベント保持は時間ベースでしたが、このコンパクション機能はキーベースでの圧縮を行います。同じキーに対して複数のイベントが存在する場合、最新の値だけを保持し、古いイベントは削除されます。
具体的な動作イメージとしては次のとおりです。
- キー
K7に対してバージョン1〜9のイベントが存在する場合、コンパクション後は最新のV9だけが残ります - 値が明示的に
nullに設定されているキーは、コンパクション時に削除されます - 同一キーの古いイベントはすべて除去され、最新状態のみが維持されます
これにより、イベントストリームのストレージ効率が大幅に改善されることが期待されます。なお、現時点ではプレビューのため本番環境での利用には注意が必要です。
Azure Cost Management:タグの継承機能(プレビュー)
Azure Cost Managementにおいて、タグの継承機能がプレビューとして登場しました。
この機能を使うと、サブスクリプションやリソースグループに設定したタグを、配下の子リソースへ自動的に継承・反映できます。これまでは個々のリソースにタグを個別付与する必要がありましたが、この機能により一元管理が可能になります。
有効化方法
Azure Portalのコスト管理設定画面にあるチェックボックスを有効にするだけで機能が使えます。
タグ競合時の動作オプション
同じ名前のタグがリソース側にも親側にも存在する場合、2つの挙動オプションを選択できます。
| オプション | 挙動 |
|---|---|
| リソースのタグを優先(Keep Resource Tags) | リソース自身に付いたタグ値を維持する |
| 親のタグを優先 | サブスクリプションまたはリソースグループのタグ値で上書きする |
コスト管理ダッシュボードでタグによるフィルタリングや集計を行う際に、この継承設定が非常に効果的です。
Azure Service Bus プレミアム:パフォーマンス改善(プレビュー)
Azure Service Busのプレミアムティア向けに、パフォーマンスを向上させる2つの新機能がプレビュー公開されました。
機能1:スケーリングパーティショニング
メッセージを複数のパーティション(メッセージブローカー)に分割することで、単一ブローカーの上限を超えたスケールアウトが可能になります。
- アップグレード中など、あるパーティションが一時的に使用不可になった場合でも、メッセージは別のパーティションへ自動移行されます
- 現在、最大64メッセージングユニットまでスケール可能です
- ネームスペース作成時にパーティション数とメッセージゲートウェイ数を指定できます
Azure Portalでの新規ネームスペース作成画面では、「Scalability」セクションからパーティショニングを有効化し、パーティション数を選択できます。
なお、プレミアムSKUではパーティション化されていないエンティティは許可されない点に注意が必要です。
機能2:インフラストラクチャの改善
バックエンドのインフラが更新され、ローカルストアと呼ばれるストレージを使用するように変更されました。これにより、常時レイテンシーを低減できるとのことです。パブリックプレビュー中は複数のネームスペースで段階的に展開し、GA時にはすべてのネームスペースでローカルストアを利用する計画とのことです。
Azure SQL Managed Instance:データバーチャライゼーション(GA)
Azure SQL Managed Instanceのデータバーチャライゼーション機能がGAになりました。
この機能により、ADLS Gen2またはAzure Blob Storage上にある外部データに対して、マネージドインスタンスから直接T-SQLクエリを実行できます。データをマネージドインスタンスにインポートすることなく、外部データとインスタンス内データを論理的にJOINして分析できるようになります。
対応ファイルフォーマット
- Parquet
- CSV
- JSON
主な特徴
- 新しく作成したインスタンスでは、この機能がデフォルトで有効になっています
- 認証には**マネージドID(Managed Identity)**が利用可能なため、別途クレデンシャルを準備する必要がありません
- サブフォルダーに分散したデータセットに対するクエリパフォーマンスが特に向上しています
利用が想定されるシナリオ
- 常に最新のデータを扱いたい場合
- マネージドインスタンスのストレージ消費を抑えたい場合
- 一般的なファイル形式のデータを直接分析したい場合
クエリ方式
2種類のクエリ方式が提供されています。
| クエリ方式 | 用途 |
|---|---|
OPENROWSET | アドホックなクエリに適している |
| External Tables | 繰り返し実行する定型クエリに適している |
SQL Serverのポリベース(PolyBase)を知っている方にとっては、同じコンセプトで利用できます。既存のPolyBaseクエリはそのまま、あるいは最小限の変更でマネージドインスタンス上でも動作する設計になっています。
Azure SQL Database:ジェネラルパーパスティアのゾーン冗長(GA)
Azure SQL Databaseのジェネラルパーパスティアにおいて、ゾーン冗長構成がGAになりました。
対応リージョン(GA)
- East US 2
- East US
- Southeast Asia
可用性・RPO
- 可用性SLA:99.995%
- RPO(Recovery Point Objective):ゼロ
有効化方法
Azure Portalのデータベース設定画面から、「Zone Redundant」を「Yes」に設定するだけで有効化できます。CLIやARMテンプレートからも設定可能です。
# Azure CLI でゾーン冗長を有効化する例
az sql db create \
--resource-group <resource-group> \
--server <server-name> \
--name <database-name> \
--zone-redundant true
新規データベースだけでなく、既存データベースの変更にも対応しています。サーバーレスとプロビジョニング済みの両方で利用可能です。
なお、Australia East、Japan East、UK Southについては引き続きプレビューとなっています。
AKS:Kubernetes 1.25 サポート(GA)
Azure Kubernetes Service(AKS)にて、Kubernetes 1.25 のサポートがGAになりました。Kubernetes 1.25では40のエンハンスメントが含まれており、多数の改善が提供されています。
まとめ
2022年12月10日〜16日の週には、以下の更新が行われました。
- GA(一般提供開始):Azure Stream Analytics の組み込み関数強化・Delta Lakeサポート、Azure SQL Managed Instance のデータバーチャライゼーション、Azure SQL Database ジェネラルパーパスティアのゾーン冗長、AKS Kubernetes 1.25 サポート
- プレビュー:Azure Event Hubs のログコンパクション、Azure Cost Management のタグ継承、Azure Service Bus プレミアムのパフォーマンス向上機能
特にAzure SQL関連のアップデートが充実した週となりました。データバーチャライゼーションによる外部データとの連携強化、ゾーン冗長によるジェネラルパーパスティアの可用性向上は、実運用に直結する重要な機能です。プレビュー機能についても、今後のGAに向けて積極的に評価を進めてみてください。