Active Directoryの構造を理解する【入門 Part2】
この記事の内容
- Active Directoryの全体的な構造(フォレスト・ドメイン・コンテナ・OU・サイト)を解説します
- 管理ツール3種(ドメインと信頼関係・ユーザーとコンピューター・サイトとサービス)の役割を説明します
- コンテナとOU(組織単位)の違いと使い分けを整理します
- サイト・サブネット・サイトリンクの概念と、ドメインコントローラーのレプリケーション制御について解説します
- シングルフォレスト・シングルドメイン環境を例に、構造の確認方法を紹介します
Active Directory管理ツールの概要
Active Directoryの構造を確認するには、サーバーマネージャーからではなく、ツールメニューから専用の管理ツールを使います。主に使用するツールは以下の3つです。
- Active Directoryドメインと信頼関係 — フォレストとドメインの構成を確認する
- Active Directoryユーザーとコンピューター — ドメイン内のコンテナ・OU・ユーザー・コンピューターを管理する
- Active Directoryサイトとサービス — サイト構成とドメインコントローラーのレプリケーションを管理する
サーバーマネージャーでADDSのタイルをクリックすると情報は表示されますが、実際の管理作業はこれらの専用ツールから行います。
フォレストとドメインの確認
「Active Directoryドメインと信頼関係」ツールを開くと、フォレストとドメインの全体像を把握できます。
ドメインのプロパティを確認すると、以下の情報が確認できます。
- ドメイン名(NetBIOS名) — ダウンレベルドメイン名とも呼ばれ、フルドメイン名の先頭部分が使われます(例:
ad.localであればAD) - ドメインの機能レベル — Windows Server 2016が現時点での最新です。Active Directoryは事実上完成された技術とされており、2016以降は機能追加がほとんどないため、最新がWindows Server 2016となっています
ここでは信頼関係の有無も確認できます。信頼関係が設定されていない場合、シングルフォレスト・シングルドメイン構成であることがわかります。
コンテナとOU(組織単位)の違い
「Active Directoryユーザーとコンピューター」ツールを開くと、ドメインの内部構造を確認できます。ドメインを展開すると、いくつかのオブジェクトが並んでいます。
コンテナ
ドメイン作成時から自動的に存在するオブジェクトの格納場所です。代表的なものは以下の通りです。
| コンテナ名 | 用途 |
|---|---|
| Builtin | 既定のセキュリティグループ |
| Computers | ドメイン参加済みコンピューター |
| Users | ユーザーアカウントやセキュリティグループ |
コンテナはアイコンがフォルダ型で、プロパティを開いてもタブがほとんどありません。
OU(組織単位)
管理者が新規作成する構造化の単位です。「DomainControllers」がOUの代表例で、アイコンの見た目がコンテナと若干異なります。プロパティを開くと複数のタブが表示される点もコンテナとの違いです。
新規作成時は「組織単位」として作成します。
OUにはコンテナにはない機能として、制御の委任が行えます。これにより、特定の管理権限を別のユーザーやグループに委任することができます。
実際の運用では、新しく作成するオブジェクトの格納先はOUを使います。コンテナはシステムが自動で利用するものと理解しておくとよいでしょう。
サイトの概念
「Active Directoryサイトとサービス」ツールでは、ネットワークトポロジーに基づいたAD構成を管理します。
サイトとは
サイトとは、ネットワーク的に近い場所(高速な回線でつながっている範囲)をひとまとめにした論理的な単位です。Active Directoryをインストールすると、Default-First-Site-Name という名前のサイトが自動的に作成されます。
サイトのプロパティでオブジェクトクラスを確認すると site と表示されます。
サブネットによるサイトの割り当て
クライアントPCはIPアドレスのネットワーク部分を見て、自分がどのサイトに所属するかを判断します。これを設定するのがサブネットです。
サブネットとサイトを対応付けることで、クライアントが自動的に最寄りのドメインコントローラーを利用するようになります。
サイトリンクとレプリケーション制御
サイトが複数ある場合、サイト間の接続設定としてサイトリンクを構成します。サイトリンクでは以下の設定が可能です。
- コスト — 回線の優先度(低いほど優先される)
- レプリケーション間隔 — 何分ごとに複製するか(例:60分ごと)
- スケジュール — 業務時間外のみレプリケーションするなどの時間帯制御
ドメインコントローラーが増えた場合、レプリケーションの順序や負荷分散も重要になります。Active Directoryはサイトリンクの設定をもとに自動的にレプリケーションの経路を計算します。
なお、サイト・サービスの設定はフォレストレベルの設定です。ドメインではなくフォレスト全体に影響する点に注意してください。
シンプルな環境での推奨設定
拠点が1か所でネットワークが高速な場合は、サイトを1つだけにしておくのがシンプルで管理しやすい構成です。
- サイトは
Default-First-Site-Name1つのみ使用 - サブネットの設定は省略(または全IPアドレスをそのサイトに紐付け)
- 全ドメインコントローラーを同一サイト内に配置
このような構成であれば、クライアントはどのドメインコントローラーも気にせず利用でき、構成のトラブルも起きにくくなります。
一方、地理的に離れた拠点があり、拠点間がWAN回線(低速・高遅延)でのみつながっている場合は、複数サイトを作成してサブネットとサイトリンクを適切に設定することが必要です。
まとめ
Active Directoryの全体構造を理解するうえで重要なキーワードは以下の通りです。
| キーワード | 概要 |
|---|---|
| フォレスト | Active Directoryの最上位の論理境界 |
| ドメイン | フォレスト内の管理単位 |
| コンテナ | ドメイン内の既定の格納場所(自動作成) |
| OU(組織単位) | 管理者が作成する構造化の単位。制御の委任が可能 |
| サイト | ネットワーク的な近さに基づく論理グループ |
| サブネット | IPアドレスとサイトの対応付け |
| サイトリンク | サイト間の接続とレプリケーションの制御 |
管理ツールはそれぞれ確認できる情報が異なります。ドメインの全体像は「ドメインと信頼関係」、内部のオブジェクト構成は「ユーザーとコンピューター」、サイト構成は「サイトとサービス」と使い分けることで、Active Directoryの構造を体系的に把握できます。
次回は、Active Directoryと密接に関係するDNSについて掘り下げていく予定です。