Windows 365 アップデート情報まとめ(2022年4月)
この記事の内容
- Windows 365 Bootにより、PC起動時にクラウドPCへシームレスにサインインできるようになります
- Windows 11とWindows 365クラウドPCの統合が進み、どちらを使っているか意識しない体験を目指しています
- Azure AD Direct Joinのサポート追加により、オンプレミスADへの依存なく管理できるようになります
- ポイントインタイムリストア機能により、スナップショットからの復元が可能になります
- オフライン作業の継続とオンライン復帰時の同期機能が追加される予定です
Windows 11とWindows 365の統合という大きな方向性
2022年4月に開催されたMicrosoftのイベント「Windows Powers the Future of Hybrid Work」において、Windows 365に関する複数の新機能・新コンセプトが発表されました。
全体を通じて読み取れるのは、Windows 11(ローカルPC)とWindows 365(クラウドPC)をシームレスに統合していくという方向性です。どちらを使っているか意識せずに行き来できる体験を実現しようとしており、Windows 11のシェル(OSの核となる部分)にクラウドPCへのアクセス機能を組み込んでいく取り組みが進んでいます。
Windows 365 Boot
機能の概要
Windows 365 Bootは、PCを起動してWindows 11にサインインすると、そのままシームレスにWindows 365のクラウドPCに接続できるようにする機能です。
仕組みの理解
この機能は誤解されやすい名前ですが、動作の実態は次のとおりです。
- ローカルPCにはWindows 11がインストールされており、通常どおり起動します
- Windows 11のサインイン処理がAzure Active Directoryと連携し、認証後にクラウドPCへ直接接続します
- クラウドPC側は常時起動しており、前回の作業状態が保持されています
- 接続にはRDPなど従来の仕組みが使われます
つまり「電源ボタンを押すとクラウドPCが起動する」という意味ではなく、「Windows 11のサインインフローとクラウドPCへの接続がシームレスに統合される」という機能です。
対象デバイス
この機能は会社が支給するデバイスでの利用を前提としています。個人デバイス(BYOD)で使う場合は後述の別のアプローチが適用されます。
BYODシナリオへの対応
個人のPCで会社のWindows 365クラウドPCを使うBYOD(Bring Your Own Device)シナリオでは、Windows 365のアプリケーションを経由して接続する方法が引き続き使えます。
このシナリオに対しては、アプリケーションのUI改善が進められており、クラウドPC上の体験とBYOD経由の体験をできるだけ揃えていく方針が示されています。また、管理者側からのトラブルシューティングや、クラウドPCのリネーム・リサイズ・再起動なども管理ポータルから実施できます。
ローカルPCとクラウドPCのシームレス切り替え
Windows 11の仮想デスクトップ機能にクラウドPCが統合されます。これにより、ローカルのWindows 11のデスクトップとクラウドPCのデスクトップを、OS標準の仮想デスクトップ切り替え操作で行き来できるようになります。
専用アプリを使って切り替えるのとジェスチャー・ショートカットで切り替えるのは見た目は似ていますが、OSのシェルに組み込まれていることで、より深いレベルでの統合が実現しています。
Azure AD Direct Joinのサポート
クラウドPCのプロビジョニングポリシー(作成設定)において、Azure AD Direct Joinが新たにサポートされます。
これまでは、オンプレミスのActive DirectoryとAzure ADを組み合わせたHybrid Azure AD Joinが主な選択肢でしたが、これにはオンプレミスとのネットワーク接続やVPN設定など複雑な構成が必要でした。Azure AD Direct Joinに対応することで、これらの要件がなくなり、クラウドネイティブな管理がシンプルに実現できるようになります。
ポイントインタイムリストア
クラウドPCのスナップショットを取得しておき、任意の時点の状態に戻せるポイントインタイムリストア機能が追加されます。
スナップショットの管理方針
- システムが自動で最大10個のリストアポイントを保持します
- 週次で4週間分(約1か月分)はシステムが自動取得します
- 残りの6つは管理者が取得間隔を設定できます
- ユーザー自身がリストアポイントを手動で作成することも可能です(管理者が許可した場合)
ビジネスポータルとMicrosoft 365管理センターの改善
Windows 365のビジネスポータルのUIが改善され、クラウドPCの管理がより行いやすくなっています。また、Microsoft 365管理センターにもWindows 365の管理機能が統合されており、一元的な管理が可能になっています。
デフォルト設定として、組織で新しいクラウドPCを作成するときのスペックや構成を事前に定義しておく機能も提供されています。
Microsoft 365 Lighthouseへの統合
Microsoft 365 Lighthouseはマネージドサービスプロバイダー(MSP)など複数の組織を一括管理するためのサービスです。このLighthouseにWindows 365の管理機能が追加されます。
これにより、パートナー企業が顧客組織のクラウドPCを、自分のアカウントを使ったまま一括管理できるようになります。
Windows 365 オフライン
機能の概要
Windows 365はクラウドPCであるため、インターネット接続が切れると通常は利用できなくなります。この課題に対応するため、オフラインでも作業を継続できる機能が開発中です。
動作の流れ
接続が切断された際に、次の選択肢が提示されます。
- 接続を切断してローカルのWindows 11で作業を続ける
- クラウドPCの作業内容をオフラインで継続し、再接続時に同期する
オフラインで作業を継続した場合、画面上は何も変わらずそのまま作業が続けられます。再接続後は自動的にクラウドPC側と同期されます。
前提条件
この機能を有効活用するには、ローカルPCがクラウドPCと同等の作業をこなせるスペックを持っていることが前提になります。また、同期の対象はドキュメントレベル(OneDriveなど)ではなく、PC全体の状態(アプリや設定を含む)であるため、仕組みとして高度な同期機構が必要です。
現時点ではプレビューまたは将来提供予定の機能として案内されており、すぐに使えるわけではありません。
まとめ
2022年4月に発表されたWindows 365の一連のアップデートは、Windows 11とクラウドPCをシームレスに統合するという大きなビジョンに沿ったものです。
主なポイントを整理します。
- Windows 365 Boot: Windows 11のサインインからクラウドPCへ直接接続
- 仮想デスクトップ統合: OS標準操作でローカルとクラウドを切り替え
- Azure AD Direct Join: オンプレミスAD不要のクラウドネイティブ構成
- ポイントインタイムリストア: スナップショットによる状態復元
- オフライン継続: ネットワーク切断時も作業を中断せず継続
- 管理機能の強化: Microsoft 365管理センター・Lighthouseへの統合
これらの機能により、どのデバイスからでも、オンラインでもオフラインでも、ローカルかクラウドかを意識せずに作業できる環境が整いつつあります。Windows 365を検討している企業にとって、今後のロードマップとして注目しておきたい内容です。