Active Directoryへのドメイン参加 — 企業でよくあるWindows/M365環境を構築してみるシリーズ Part6
この記事の内容
- 既存のドメインコントローラー(DC01)の正常性確認方法(
dcdiag/repadmin) - 2台目のWindows Serverを追加してActive Directoryドメインへ参加させる手順
- ドメイン参加時のDNS設定の重要性
- Active Directoryユーザーとコンピューター(ADUC)でのオブジェクト確認
- ドメインユーザーとローカルユーザーの違いと、ドメイン参加後のサインイン方法
はじめに
前回はドメインコントローラー(DC01)を1台構築しました。今回はそのDC01が正常に動作しているかを確認した上で、2台目のドメインコントローラー候補となるWindows Server(DC02)を追加し、Active Directoryドメインへ参加させるまでの手順を解説します。
次回はこのDC02をドメインコントローラーへ昇格させる手順を紹介予定です。
ドメインコントローラーの正常性確認
何か問題が発生したとき、「もともと壊れていたのか、追加したら壊れたのか」を切り分けることは非常に重要です。そのため、新しいサーバーを追加する前には必ず現状の正常性を確認しておきましょう。
dcdiag /v による確認
dcdiagコマンドを使うと、ドメインコントローラーに関する多数のテストを自動実行し、結果を一覧で表示してくれます。
dcdiag /v
実行するとたくさんの出力が流れますが、各テスト項目に対して「合格(passed)」や「失敗(failed)」が表示されます。以下のようなテストが実行されます。
- 接続性テスト(Connectivity)
- 広告テスト(Advertising)
- FRS/KCCイベントのテスト
- システムログの確認
- DNS参照の確認
- など多数
すべて合格であれば、ドメインコントローラーは正常に動作していると判断できます。暇があれば定期的に実行しておくことをおすすめします。
repadmin による複製状況の確認
2台以上のドメインコントローラーがある環境では、repadminコマンドで複製(レプリケーション)の状態も確認します。
repadmin /replsummary
1台構成の今は特に意味はありませんが、エラーが出ないことの確認として実行しておくと安心です。
2台目のWindows Serverの追加
DC01の正常性が確認できたので、次にDC02となる新しいWindows Serverを追加します。
仮想マシンの作成
手動でやる場合は「新規仮想マシン」として作成します。IaC(Infrastructure as Code)を使っている場合は、Ansibleなどのプレイブックを実行するだけで展開できます。
ansible-playbook create_vm.yml
コードによる展開はサーバー追加が非常に手軽になるため、ぜひ活用してみてください。
DNSの設定(重要)
DC02を作成する際、DNSサーバーのアドレスとして既存のDC01を指定することが非常に重要です。
ドメインに参加する際、WindowsはDNSを使ってドメイン名からドメインコントローラーを探します。既存のドメインコントローラー(DC01)がDNSサーバーを兼ねているため、DC02のDNS設定にDC01を指定しておかないと、後のドメイン参加処理が失敗します。
ドメイン参加の仕組みを理解する
ドメイン参加の操作に入る前に、Active Directoryユーザーとコンピューター(ADUC)を使って現在の状態を確認しておきましょう。
ADUCでオブジェクトを確認する
ADUCはActive Directoryのデータベースを視覚的に確認できるツールです。DC01にサインインして確認すると、以下のような構造が見えます。
- Domain Controllers OU:DC01だけが存在している
- Computers コンテナ:現時点では空(まだ参加済みのコンピューターがない)
- Users コンテナ:Administratorなどのユーザーが存在している
DC02がドメインに参加すると、Computersコンテナの中にDC02のコンピューターオブジェクトが作成されます。
なぜコンピューターオブジェクトが必要なのか
Active Directoryの世界では、ドメイン内の各コンピューターがコンピューターオブジェクトとして登録されていることで「仲間のサーバー」として認識されます。コンピューターオブジェクトがなければ、そのサーバーはドメインのリソースを信頼して利用することができません。
ドメイン参加とは、このコンピューターオブジェクトをActive Directoryに作成し、「このサーバーはドメインのメンバーである」という登録を行う操作です。
ドメイン参加の手順
GUI(システムのプロパティ)からの参加
- DC02にサインインし、エクスプローラーで「PC」を右クリックして「プロパティ」を開きます
- 「システムの詳細設定」 → 「コンピューター名」タブ → 「変更」 をクリックします
現在の状態では「ワークグループ: WORKGROUP」に所属しています。ワークグループは家庭内LAN向けの緩やかなグループ管理の仕組みで、Active Directoryに比べると機能的に限定的です。
- 「コンピューター名」を dc02 に変更し、「ドメイン」を選択してドメイン名を入力します
- OK をクリックすると、Windowsがドメインコントローラーの検索を開始します
この検索はDNSを使って行われます。入力したドメイン名でDNSを問い合わせると、DC01が管理するDNSゾーン内にドメインコントローラーの場所を示すSRVレコードが登録されており、そこからドメインコントローラーを特定します。
参加時の認証
ドメインへの参加には、参加させる権限を持つアカウントの資格情報が必要です。ここではドメインの管理者アカウント(Administrator)のユーザー名とパスワードを入力します。
認証が成功すると「ようこそ youtube.ebisuda.com ドメインへ」というメッセージが表示され、ドメイン参加が完了します。
- 再起動を求められるので、再起動を実行します
ドメイン参加後の確認
再起動後、ADUCをDC01側で確認すると、Computersコンテナ内にdc02が表示されていることが確認できます。DC02がドメインメンバーとして登録されたことになります。
DC02のコンピューターオブジェクトのプロパティでは、OSのバージョン(例:Windows Server 2022 Datacenter)なども確認できます。
ドメインユーザーでサインインする
ドメイン参加後は、ドメインのユーザーでDC02にサインインできるようになります。ここで注意が必要なのが、ローカルAdministratorとドメインAdministratorの使い分けです。
ローカルユーザーとドメインユーザーの違い
- ローカルAdministrator:DC02というサーバー内にのみ存在し、そのサーバーにしか権限を持たないアカウントです
- ドメインAdministrator:Active Directory上で管理されており、ドメイン内すべてのコンピューターに対して利用できるアカウントです
サインイン画面で単に「Administrator」と入力すると、ローカルユーザーが優先されることがあります。ドメインユーザーで明示的にサインインするには、以下の形式で入力します。
または
前者の ドメイン名\ユーザー名 という形式は「Windows 2000以前の形式(下位互換形式)」と呼ばれる古い書き方ですが、現在でもサインイン時に広く使われています。
ドメイン参加のメリット
ドメイン参加することで、以下のような利点が得られます。
- ユーザーの一元管理:Active Directory上のユーザーアカウントを、ドメイン内すべてのコンピューターで共通して利用できます
- 認証の集約:個々のサーバーにローカルアカウントを作らなくてよくなります
- グループポリシーの適用:ドメイン全体への設定を一括で配布できます
これはActive Directoryの非常に大きなメリットの1つです。
まとめ
今回は以下の内容を解説しました。
dcdiag /vでドメインコントローラーの正常性を確認する方法- 新しいWindows Serverを追加する際にDNSサーバーとして既存のドメインコントローラーを指定することの重要性
- GUIからドメイン参加を行い、Active DirectoryのComputersコンテナにコンピューターオブジェクトが作成されることの確認
- ドメイン参加後のローカルユーザーとドメインユーザーの使い分け
次回は、今回追加したDC02をドメインコントローラーへ昇格させる手順を紹介します。ぜひチャンネル登録してお待ちください。