この記事の内容
- MicrosoftがパートナートレーニングのためにAzure Stack HCI検証環境を爆速で構築できるスクリプト・テンプレートをGitHubで公開しています
- Azure上にHyper-Vを使ったAzure Stack HCIクラスターをデプロイボタン1つ+スクリプト実行だけで構築できます
- 完成する環境にはStorage Spaces Direct、SDN(ソフトウェア定義ネットワーク)、AD/DNS、Windows Admin Centerが含まれます
- デプロイ完了まで約50分、その後スクリプト実行で約2時間かかります
- トレーニング・検証専用の環境であり、本番利用は想定されていない点に注意が必要です
はじめに
Microsoftがパートナー向けトレーニングに合わせて、Azure上にAzure Stack HCIの独立した検証環境を簡単に構築できるスクリプトとテンプレートをGitHubリポジトリで公開しました。本記事ではそのリポジトリを使って実際に環境を構築する手順を紹介します。
構築される環境の概要
完成する環境は以下のコンポーネントで構成されています。
- Azure Stack HCIクラスター(2ノード構成、Storage Spaces Direct使用)
- 管理用サーバー(1台)
- 仮想ネットワーク(SDN環境込み)
- AD / DNS
- Windows Admin Center
- BGPルーター(仮想ネットワークとの通信用)
- ネットワークコントローラー
あくまでもトレーニング・検証用の環境であり、本番環境での利用は想定されていません。この点は利用前に必ず確認してください。
前提条件
- 対象のAzureサブスクリプションへの権限を持つアカウント
- リポジトリ内の
azure-deploy.parameters.jsonの内容
手順1: デプロイパラメーターの準備
GitHubリポジトリにアクセスし、リポジトリ内にある以下のファイルを開きます。
このファイルの内容をすべてコピーしておきます。後のステップで「パラメーターの編集」画面に貼り付けます。
手順2: Azureへのデプロイ
リポジトリに用意されている「Deploy to Azure」ボタンをクリックします。Azureポータルのデプロイ画面が開いたら、パラメーターをそのまま使うのではなく、「パラメーターの編集」ボタンを押します。
編集画面で既存の内容をすべて削除し、手順1でコピーした azure-deploy.parameters.json の内容を貼り付けて保存します。
次に以下の項目を設定します。
| 項目 | 設定値の例 |
|---|---|
| リソースグループ | 新規作成(任意の名前) |
| リージョン | Japan East |
| 仮想マシンサイズ | Standard_D32ds_v4(32 vCPU / 128GB RAM) |
| パスワード | 任意(後でRDP接続に使用) |
| 自動シャットダウン タイムゾーン | Tokyo Standard Time |
VMサイズはスペックの高いものが必要です。デフォルトで Standard_D32ds_v4(32 vCPU、128GBメモリ)が選択されていますので、変更せずに進めることを推奨します。
設定が完了したら「作成」をクリックします。
手順3: デプロイ完了を待つ
デプロイが開始されると、Azureポータルのデプロイ状況画面で進行状況を確認できます。内部では以下のような処理が行われています。
- 仮想マシンの展開
- VHDファイルや各種イメージのダウンロード
- 拡張機能による構成(Configuration)の適用
動画内では15分と案内されていましたが、実際には約50分かかりました。デプロイ完了まで待機してください。
デプロイが完了すると、リソースグループに以下のリソースが作成されます。
- 仮想マシン(1台)
- 仮想ネットワーク
- ネットワークインターフェース
- セキュリティグループ
- パブリックIPアドレス
- OS / データディスク
手順4: VMへのRDP接続
デプロイ完了後、作成された仮想マシンのパブリックIPアドレスにRDP接続します。
デスクトップにスクリプトのショートカットが配置されています。
手順5: セットアップスクリプトの実行
デスクトップにあるショートカットをダブルクリックするとPowerShellスクリプトが起動します。スクリプトが実行されると、バックグラウンドで以下の処理が行われます。
- 必要なファイルのダウンロード
- Azure Stack HCI環境の構成
- SDN環境のセットアップ
# デスクトップのショートカットをダブルクリックすることで
# PowerShellスクリプトが自動的に実行されます
スクリプトの完了まで約2時間かかります。そのまま待機してください。
注意: スクリプト実行中にVMが自動シャットダウンされる可能性があります。自動シャットダウンの設定を確認し、完了前にシャットダウンされないように注意してください。
手順6: Windows Admin Centerへの接続
スクリプト完了後、デスクトップにWindows Admin Center(WAC)へのショートカットが作成されます。
VMを再起動後にRDP再接続する場合、Windows Updateが自動的に適用されている場合があります。Updateが完了してから接続を試みてください。
Windows Admin CenterにはVM上のChromeブラウザからアクセスします。
手順7: Windows Admin CenterへのクラスターAの追加
Windows Admin Centerが開いたら、クラスターを追加します。
- 「追加」→「サーバークラスター」を選択
- 以下の情報を入力します
| 項目 | 値 |
|---|---|
| クラスター名 | AzSHCI-Cluster |
| ソフトウェア定義ネットワーク管理 | チェックを入れる |
| ネットワークコントローラーのREST URL | https://nc01.contoso.com(環境に合わせて確認) |
- RSAT(リモートサーバー管理ツール)が見つからないと表示された場合はインストールします
- 検証後、「追加」をクリック
完成した環境の確認
追加完了後、クラスターに接続すると以下の状態を確認できます。
- 2ノードのHCIクラスターが稼働中
- Storage Spaces Direct が構成済み
- SDN(ソフトウェア定義ネットワーク) が利用可能
- BGPルーター が仮想ネットワーク通信用に構成済み
- ネットワークコントローラー が稼働中
- 仮想ネットワークの作成が可能な状態
Hyper-Vマネージャーで確認すると、3台のVMが動作していることを確認できます(HCIノード2台+管理ノード1台)。
まとめ
MicrosoftがGitHubで公開しているAzure Stack HCI検証環境構築テンプレートを使うことで、以下のことが実現できます。
- デプロイボタン1クリック+スクリプト実行だけで、Azure上にフル機能のAzure Stack HCI環境が構築できます
- Storage Spaces Direct、SDN、BGPルーター、Windows Admin Centerまで含む本格的な検証環境が手に入ります
- Azureポータルでのデプロイ約50分、スクリプト実行約2時間という比較的短時間で完成します
- リポジトリはGitHubで公開されており、フィードバックや追加コントリビューションも可能です
本番利用は想定されていませんが、Azure Stack HCIのトレーニングや機能検証には非常に有用な環境です。ぜひ活用してみてください。