Azure クイックスタートテンプレートを使ってなんでも簡単にデプロイ!
この記事の内容
- Azure クイックスタートテンプレートとは何か、その概要を解説します
- Azure Resource Manager(ARM)テンプレートの仕組みと役割を説明します
- ポータルからワンクリックでリソースをデプロイする手順を紹介します
- 複数 VM を含む複雑な構成も簡単にデプロイできることを示します
- コミュニティベースのテンプレート共有がもたらすクラウドならではの恩恵を紹介します
Azure クイックスタートテンプレートとは
Azure クイックスタートテンプレートは、Azure Resource Manager(ARM)を通じてリソースをデプロイするためのテンプレート集です。これらのテンプレートはコミュニティベースで提供されており、世界中のエンジニアや Azure パートナーが貢献しています。
テンプレートのギャラリーには 900 以上のテンプレートが公開されており、人気のもの・最近更新されたもの・パートナー提供のものなど、さまざまなカテゴリで検索・利用することができます。
Azure Resource Manager(ARM)とは
Azure Resource Manager は Azure のリソースを管理するための「管理プレーン」です。Azure に対するあらゆる操作はこの ARM を経由して行われており、ポータルからリソースを作成する際も、裏では ARM テンプレートが生成されてパラメーターがセットされています。
ARM の重要な役割のひとつが、JSON 形式のテンプレートからリソースを展開する機能です。テンプレートの中にはリソースの構成が定義されており、仮想ネットワーク・仮想マシン・パブリック IP アドレスなど、必要なインフラをコードとして記述できます。
// ARMテンプレートのイメージ(抜粋)
{
"resources": [
{
"type": "Microsoft.Network/virtualNetworks",
...
},
{
"type": "Microsoft.Compute/virtualMachines",
...
}
]
}
この「インフラをコードで記述する」アプローチが、いわゆる IaC(Infrastructure as Code) の考え方です。
ポータルからのデプロイ手順
Azure クイックスタートテンプレートのギャラリーページから、目的のテンプレートを選択します。ここでは例として「シンプルな Windows VM を 1 台デプロイする」テンプレートを使ってみましょう。
手順
- テンプレートのページを開き、「Azure へのデプロイ」ボタンをクリックします
- Azure 管理ポータルが開き、デプロイの設定画面が表示されます
- 以下のパラメーターを入力します
| パラメーター | 説明 |
|---|---|
| リソースグループ | リソースを格納する入れ物を指定または新規作成 |
| リージョン | デプロイ先のデータセンターを選択 |
| Admin ユーザー名 | VM 管理者のユーザー名 |
| Admin パスワード | VM 管理者のパスワード |
| VM サイズ | 仮想マシンのスペックを選択 |
- 入力が完了したら**「作成」ボタン**を押します
- デプロイが開始され、ネットワークセキュリティグループ → ストレージアカウント → パブリック IP → 仮想ネットワーク → NIC → 仮想マシン の順にリソースが作成されます
デプロイが完了すれば、作成した VM に RDP などで接続できる状態になります。
複雑な環境も同じ手順でデプロイできる
1 台の VM デプロイは手動で作成しても大差ないかもしれませんが、Azure クイックスタートテンプレートの真価は複雑な構成を一発展開できる点にあります。
たとえば、以下のような構成のテンプレートも公開されています。
- Active Directory のドメインコントローラーと新規フォレストを作成
- SQL Server を複数台構成
- Configuration Manager(SCCM)のサイトサーバーや管理ポイントを含む環境
- 計 4〜5 台以上の仮想マシンを含む本格的な検証環境
このような構成を手作業でセットアップしようとすると非常に手間と時間がかかりますが、テンプレートを利用すればパラメーターを数項目入力するだけで展開が始まります。手順の難易度や操作量はシンプルな VM のデプロイとほぼ変わりません。
テンプレートは GitHub で公開・共同開発されている
Azure クイックスタートテンプレートは GitHub 上でオープンに公開されています。テンプレートの JSON ファイルはリポジトリ上で参照でき、Pull Request を通じて誰でも改善に貢献することができます。
これにより、世界中のエンジニアが同じテンプレートを共同で育て上げていくという仕組みが成立しています。世界のどこかの誰かが作った高品質なテンプレートを、自分は何も知らなくてもすぐに活用できる——これがコミュニティの力です。
クラウドらしい使い方:必要な時だけ展開して削除する
ARMテンプレートを使った自動デプロイが真に活きるシナリオのひとつが、検証環境の使い捨て運用です。
- 検証したいときだけテンプレートを展開してリソースを作成する
- 検証が終わったらリソースグループごと削除する
- 次回また検証するときに再展開する
Azure は従量課金制ですので、使っていないリソースに料金を払い続ける必要はありません。オンプレミスの時代は「検証環境をずっと持ち続ける」運用が一般的でしたが、クラウドではテンプレートさえあれば環境を一時的に作り、終わったら消すという運用が現実的かつ経済的な選択肢となります。
ARM が共通基盤であることの重要性
なぜ世界中の人が同じテンプレートを使えるのかというと、Azure Resource Manager という統一された APIが存在するからです。
ARM を通じて操作すれば、どこからでも・誰でも同じ結果が得られます。これが定義されていることで、テンプレートを共有できる・コミュニティでコードを共同開発できる・同じ環境を何度でも再現できる——といった恩恵がすべてつながっています。
まとめ
Azure クイックスタートテンプレートは、ARM テンプレートをベースにしたコミュニティ提供のデプロイテンプレート集です。ポータルの「Azure へのデプロイ」ボタンから、パラメーターを入力するだけで複雑な構成のリソースも短時間で展開できます。
- 1 台の VM から多台数・複数サービスを含む本格的な構成まで対応
- テンプレートは GitHub でオープン公開されており、誰でも利用・貢献可能
- 従量課金と組み合わせることで「検証時だけ展開・削除」という効率的な運用が実現
- Azure Resource Manager という共通 API があるからこそ、世界規模のコミュニティ共有が成立している
まずは興味のあるサービス名や機能名でギャラリーを検索し、気になるテンプレートを気軽に展開してみるところから始めてみてください。