【WVD環境作成 Part1】認証基盤を準備する — Azure AD Domain Services のセットアップ
この記事の内容
- Windows Virtual Desktop(WVD)は、クラウド上に構築できるVDI環境です
- WVDには「Azure Active Directory」と「Active Directory」の2つの認証基盤が必要です
- Azure AD Domain Services(AADDS)を使うと、2つの認証基盤の構築と同期を自動化できます
- この記事では、AADDSのリソース作成から展開完了までの手順を解説します
- 本シリーズの第1弾として、ID基盤の準備を完了させます
Windows Virtual Desktop とは
Windows Virtual Desktop(WVD)は、クラウド上に構築できるVDI(仮想デスクトップインフラ)環境です。物理的なWindowsパソコンを大量に用意しなくても、クラウド側に仮想のWindowsデスクトップをまとめて用意できる仕組みです。
利用者はクラウド上の仮想デスクトップに接続して業務を行うため、端末の調達・管理コストを削減しながら柔軟なリモートワーク環境を実現できます。
WVDに必要な認証基盤
WVDを構築するには、次の2つの認証基盤が必要です。
- Azure Active Directory(Azure AD) — クラウドベースのIDシステム
- Active Directory(AD) — オンプレミス型のドメイン認証システム
将来的にはAzure ADだけで完結できるようになる見込みですが、現時点ではこの2つを用意し、互いに同期させる必要があります。
この同期設定は手作業で行うと手間がかかりますが、Azure AD Domain Services(AADDS) を使うことで自動化できます。AADDSは、Azure ADとActive Directoryの両方を自動で構築し、同期まで行ってくれるマネージドサービスです。
Azure AD Domain Services を作成する
Azureポータルにアクセスする
まずAzureポータルにアクセスします。対象のサブスクリプションが選択されていることを確認してください。
リソースを新規作成する
「リソースの作成」から「Azure AD Domain Services」を検索して選択します。
基本設定を入力する
| 項目 | 設定値 |
|---|---|
| リソースグループ | 新規作成(任意の名前) |
| DNS ドメイン名 | 任意のドメイン名(世界で一意の名前) |
| リージョン | 東日本(Japan East) |
| SKU | Standard |
| フォレストの種類 | ユーザー |
SKU について: 検証環境であればStandardで十分です。月額は概ね1万数千円程度になります。
フォレストの種類について: 今回は「ユーザー フォレスト」を選択します。リソースフォレストは別の要件がある場合に選択するものであり、通常の検証環境ではユーザーフォレストを使用します。
仮想ネットワークを設定する
AADDSが使用する仮想ネットワークとサブネットを設定します。特別な要件がなければ、デフォルトで自動生成される設定のまま「次へ」で進んで構いません。
管理者グループにメンバーを追加する
次に「管理」の設定画面が表示されます。ここでは AAD DC Administrators グループにメンバーを追加します。
このグループに追加されたユーザーが、作成されたAD環境の管理者となります。管理者として登録したいAzure ADユーザーを検索して選択し、「選択」ボタンを押してメンバーに追加します。
同期の範囲を設定する
同期の設定では「すべて」を選択します。これにより、Azure AD上のすべてのユーザーとグループがAADDSに同期されます。
確認および作成
設定内容を確認の上、「作成」ボタンをクリックします。展開が開始されるまで少し待ちます。
展開完了まで待つ
AADDSの展開には 30〜40分程度 かかります。
展開が完了すると、以下のリソースが自動的に作成されます。
- 仮想ネットワークおよびサブネット
- ドメインコントローラーロールが設定された仮想マシン(マネージドサービスとして管理されます)
- DNSの構成
これらはすべてマネージドサービスとして提供されるため、ユーザーが個別に構築・管理する必要はありません。展開後は、Azure ADとActive Directoryの同期が自動的に構成された状態になっています。
まとめ
この記事では、WVD環境構築シリーズの第1弾として、認証基盤の準備手順を解説しました。
- WVDにはAzure ADとActive Directoryの2つの認証基盤が必要です
- Azure AD Domain Services(AADDS) を使うことで、2つの認証基盤の構築と同期を自動化できます
- 設定項目は「リソースグループ」「ドメイン名」「リージョン」「SKU」「管理者グループ」「同期範囲」です
- 展開には30〜40分程度かかります
次回以降のシリーズでは、この認証基盤をベースとして、WVDのホストプールや各種アプリケーション登録など、実際の仮想デスクトップ環境の構築手順を解説していきます。