【Q&A】Active Directory のデメリット
この記事の内容
- Active Directory(AD)を運用するにはサーバーのハードウェア・OS・技術知識が必要であり、それ自体がオーバーヘッドになる
- オンプレミス AD はフルクラウド化への移行を難しくする要因になりうる
- Azure AD Domain Services(マネージドサービス)を使うことで、サーバー管理の負担を軽減できる
- プリントサーバー・ファイルサーバーが残っていると、フルクラウド化のボトルネックになる
- Azure Files や Universal Print の活用により、これらのオンプレミス依存を解消できる可能性がある
Active Directory のデメリットとは
Active Directory(以下 AD)を使ったことがない方から「AD にデメリットはあるのか?」という疑問が寄せられました。メリットが多いとされている AD ですが、もちろんデメリットも存在します。この記事では、その観点を整理して解説します。
サーバーの用意・維持が必要
AD を動かすためには、まずサーバーが必要です。これは大きなデメリットのひとつです。
- ハードウェア(物理サーバー)の用意が必要
- OS のインストールと設定が必要
- サーバーを稼働し続けるためのメンテナンスが継続的に必要
- OS のバージョンアップも定期的に対応しなければならない
このように、AD を正常に動かし続けるためには、相応の技術的な知識と運用コスト(オーバーヘッド)が発生します。
技術的な知識が求められる
AD を構成・運用するには、ディレクトリサービスに関する技術知識が必要です。単にサーバーを用意するだけでなく、AD 自体の設計・設定・トラブルシューティングができる人材を確保・育成する必要があります。これが中小規模の組織では特に負担になることがあります。
マネージドサービスという選択肢
こうしたオーバーヘッドを避けるための選択肢として、Azure AD Domain Services(マネージドサービス) があります。サーバーレスなサービスとして AD の機能を利用できるため、ハードウェアや OS の管理が不要になります。
AWS や Google Cloud にも同様のマネージドサービスが存在しており、クラウドプロバイダーの活用が現実的な選択肢になっています。
一方、Windows の環境で Active Directory を中核として使い続ける場合は、やはりオンプレミスの AD が有効という考え方もあります。
フルクラウド化の障壁になりうる
現在クラウド移行を進めている組織にとって、オンプレミスの AD は「フルクラウド化」の妨げになるケースがあります。
AD に依存する形でオンプレミスにサービスを多数構築してしまうと、クラウドへの完全移行が難しくなります。これが「今のタイミングにおけるデメリット」とも言えます。
プリントサーバー・ファイルサーバーがボトルネックに
フルクラウド化を目指す際、特に課題になりやすいのが以下の 2 つです。
- プリントサーバー
- ファイルサーバー
AD 環境ではこれらがオンプレミスで動いていることが多く、クラウド移行のボトルネックになります。
Azure Files によるファイルサーバーの代替
Azure Files が Kerberos 認証や DFS(分散ファイルシステム)のサポートを含む形で進化してきており、オンプレミスのファイルサーバーを Azure Files に置き換えることが現実的になりつつあります。
Universal Print によるプリントサーバーの代替
プリントサーバーについても、Universal Print を活用することで、クラウドベースの集中管理が可能になってきています。クライアントドライバー不要でプリンターを集中管理できる仕組みが整ってきており、Canon などのメーカーも対応を進めています。
これらを組み合わせることで、プリントサーバー・ファイルサーバーをなくしてフルクラウド化できる環境に近づけることが期待されています。ただし、Universal Print の一部機能はプレビュー段階のものもあるため、今後の動向を引き続き注視する必要があります。
まとめ
Active Directory には多くのメリットがある一方、以下のようなデメリットも存在します。
- サーバーのハードウェア・OS・メンテナンスが必要であり、運用コストがかかる
- 技術的な構成・運用知識が必要
- オンプレミスに多くのサービスを構築すると、フルクラウド化が難しくなる
- プリントサーバー・ファイルサーバーがクラウド移行のボトルネックになりやすい
これらのデメリットを踏まえると、Azure AD Domain Services(マネージドサービス) の利用や、Azure Files・Universal Print の活用によるオンプレミス依存の解消が、現代の IT 環境における有効なアプローチと言えます。Windows 環境を中心に使っている場合は依然として AD が有力な選択肢ですが、クラウドシフトを進める組織では、AD への依存度を下げる設計を意識することが重要です。