Windows 11へ意図せず配信された「OneDrive Photos」に対し、MicrosoftがIT管理者の反発を受けて対応を進めている。Microsoft 365ロードマップには関連する項目が2件登録されており、管理者向けの制御が2026年8月、アプリ単体のアンインストールが2026年9月という順で提供される予定だ。どちらも2026年8月7日に登録され、記事執筆時点のステータスは「開発中(In development)」となっている。

何が起きているか

OneDrive PhotosはWebView2をベースにしたAIフォトビューアで、ローカルとOneDrive上の写真をまとめて扱い、検索やアルバム、「Moments」によるグループ化といった機能を持つ。問題は機能そのものではなく、配信のされ方だった。

このアプリはMicrosoft Storeからの任意インストールではなく、既にインストール済みのOneDrive同期クライアントを経由して配信された。2026年8月1日以降に広く展開され、コンシューマー機だけでなく、Intuneで管理されている法人端末やWindows 11 Enterpriseにも到達した。管理者からは「Intuneで数百台を管理しているが、全台のスタートメニューに OneDrive Photos が並んだ」といった声が上がっている。

管理者にとって厄介だったのは、次の3点が重なったことだ。

  1. 単体で削除できない。Storeの項目もAppXパッケージも独立したインストーラーも無く、消そうとするとOneDrive本体ごとアンインストールすることになる。当然、ファイル同期もエクスプローラー統合も失われる
  2. 法人アカウントでは使えない。OneDrive Photosは個人用Microsoftアカウント向けで、職場・学校アカウントでサインインしている端末では機能しない。つまり業務端末では役に立たないアプリだけが増える
  3. 消しても復活する。WindowsやOneDriveの更新後に再び現れるため、構成を当て直す作業が繰り返し発生する

Microsoftはこの広範な配信が意図的なものではなかったと認め、「OneDriveの新しい写真体験をインキュベート中で、それがWindowsにおいて意図した範囲より広く出てしまった」とコメントしている。

ロードマップは2件ある。8月と9月で中身が違う

ここが実務上いちばん重要な点だ。「アンインストールできるようになる」という話として報じられているが、Microsoft 365ロードマップを引くと、登録されている項目は次の2件に分かれている。

ID内容提供時期
568931OneDrive: Manage access to the OneDrive Photos Desktop experience2026年8月
568934OneDrive: Uninstall OneDrive Photos without affecting file sync2026年9月

先に来る568931は「アンインストール」ではない。説明文にあるのは「Windows上のPhotos体験に対する管理者向けコントロールを追加し、組織はユーザーが個人用Microsoftアカウントでサインインするかどうかを管理できる」という内容で、アクセスとデータガバナンスを揃えるための制御だ。アプリそのものは端末に残る。

実際にアプリを消せるようになるのは翌月の568934で、こちらは「Photos体験を削除してもOneDriveアプリはアンインストールされず、ファイル同期は中断されず、写真やファイルも削除されない」と明記されている。現状の「消すならOneDriveごと」という制約が解けるのは、この項目が来てからということになる。

いずれも対象は Worldwide(Standard Multi-Tenant)のデスクトップで、リリースフェーズは一般提供(GA)。プレビュー期間の記載は無い。

実務への影響

日本企業の情シス視点で、いま決めておくべきことは3つある。

1つ目は、8月に何を期待するかを揃えること。 「8月の更新でアプリが消せる」と社内に説明してしまうと、実際に届く機能とずれる。8月に手に入るのは個人アカウントでのサインインを止める制御であり、スタートメニューからアイコンが消えるわけではない。問い合わせを減らしたいなら、この差を先に伝えておく方が早い。

2つ目は、いま強引に消さないという判断。 OneDrive本体ごと削除する回避策は、ファイル同期とエクスプローラー統合を壊すうえ、更新で復活するため作業が繰り返しになる。9月に正規の削除手段が来ることが分かっている以上、恒久策のつもりで構成をいじると、その構成自体が後で不要な負債になる。個人アカウントの利用を止めたいだけなら8月の制御を待つ方が筋がいい。

3つ目は、ヘルプデスクへの事前周知。 業務端末では動かないアプリが並んでいる状態なので、「これは何か」「クリックしたらサインインを求められた」という問い合わせが発生しうる。個人用Microsoftアカウントでのサインインを促す導線がある点は、シャドーIT・データ持ち出しの観点でも一度確認しておきたい。

なお今回の一件は、配信経路の問題としても見ておく価値がある。Storeでもレジストリでもなく、既に入っている同期クライアントが新しいアプリを持ち込んだという形であり、アプリ配布を管理下に置いているつもりでも、この経路は既存の管理策の外にある。同種の配信が今後も起きうる前提で、OneDriveクライアントの更新チャネルとリリースノートを追う担当を決めておくと、次に慌てずに済む。


出典: この記事は Following backlash, Microsoft rushes to add uninstall option for unwanted OneDrive feature の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。