Microsoftは、長期サービスブランチ版の「Windows 10 Enterprise 2016 LTSB」および「Windows 10 IoT Enterprise 2016 LTSB」について、サポート終了日を2026年10月13日と正式に発表した。同時に、終了後も更新を継続利用できる延長セキュリティ更新プログラム(Extended Security Updates、ESU)の価格体系も公開している。

Windows 10 LTSBとは何か、なぜ2026年まで残っていたのか

一般に「Windows 10のサポートは2025年10月14日に終わった」と認識している読者は多いはずだ。それは正しいが、対象はHome/Pro/Enterprise(一般channel向け)の話であり、LTSC(Long-Term Servicing Channel、2016年当時はLTSB=Long-Term Servicing Branchと呼ばれていた)は別系統のライフサイクルを持つ。

LTSC版は新機能や半期更新プログラム(Feature Update)を配信しない代わりに、10年間という長い保守期間を確保できるエディションで、POSレジ、医療機器、産業用制御システム、キオスク端末、ATMなど「頻繁な変更を避けたい組込み用途」に広く使われてきた。2016年にリリースされたEnterprise 2016 LTSBは、その10年サイクルの満了として2026年10月13日にサポートが終了する。一般channelの終了から約1年遅れて区切りを迎える形だ。

ESUの価格は初年度61ドル、Intune/Autopatch管理なら45ドルに

サポート終了後も更新を継続したい組織向けに、MicrosoftはESUプログラムを用意する。価格体系は以下の通り。

  • 1年目: 1デバイスあたり61ドル(Microsoft IntuneまたはWindows Autopatchで管理している場合は45ドルに割引)
  • 2年目: 122ドル(1年目の倍額)
  • 3年目: 244ドル(2年目の倍額)
  • 購入は累積制で、3年目だけを単独購入することはできず、1・2年目分もまとめて支払う必要がある
  • 購入はボリュームライセンスまたはMicrosoft Cloud Solution Provider(CSP)経由
  • 最大3年間、つまり2029年秋頃までが更新継続の上限となる

この価格構造は、2025年10月に終了した一般channel向けWindows 10のESU(初年度61ドル)とほぼ同じ枠組みで、Microsoftが恒常的な移行猶予策としてESUプログラムを標準化しつつあることがうかがえる。

Windows Server 2016も同時に区切りを迎える

同じ2016年世代のWindows Server 2016は、これより少し遅い2027年1月12日にサポートが終了する予定だ。サーバー向けESUの価格は現時点で未発表となっている。Microsoftは移行先として、Windows Server 2025、Windows 11 Enterprise LTSC 2024、Windows 11 IoT Enterprise LTSC 2024を推奨している。

実務への影響

日本国内でもLTSB/LTSC版のWindows 10は、工場の生産ライン端末、医療機器、店舗POS、公共インフラの制御端末など「めったに触らないが止められない」システムに数多く採用されてきた。一般channel向けWindows 10の終了時に一度棚卸しを終えた企業でも、LTSB/LTSC搭載機は対象外として見落とされているケースが少なくない。まずは資産管理台帳を確認し、Enterprise 2016 LTSBが稼働している端末を洗い出すところから着手したい。

コスト面では、3年間ESUを使い切ると1デバイスあたり61+122+244=427ドルの累積コストになる。これは新しいLTSC 2024世代への移行コストと比較検討すべき水準であり、単純延命がいつも安いとは限らない。一方でIntuneやWindows Autopatchによる管理は初年度16ドルの割引が効くため、組込み端末であってもクラウド管理基盤に載せておくメリットは今回のような価格設計にも表れている。判断を急ぐ必要はないが、2026年10月13日という具体的な期限から逆算して、今年度中に移行計画を固めておく価値はあるだろう。


出典: この記事は Microsoft shares Windows 10 LTSC end of support date, and extended security update details の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。