Microsoftの文書作成アプリ「Word」を、Windows 11搭載のSurface LaptopやDell XPS 13で起動すると、同価格帯のMacBookに比べて約2倍の時間がかかることが、YouTubeチャンネルPhoneBuffによるロボット制御の比較検証で明らかになった。ハードウェアの世代やチップの種類を変えた2組の対決で、いずれもWindows機がMacBookに後れを取る結果となっている。

500ページのWord文書で2倍の差

PhoneBuffは、同一の500ページのWord文書を開く速度を、人手のストップウォッチではなくロボットアームで計測する手法で複数のノートPCを比較した。

1組目は、Apple M5チップ搭載のMacBook AirとQualcomm Snapdragon X2 Plus搭載のSurface Laptopの対決。MacBook Airが7秒で文書を開いたのに対し、Surface Laptopは12秒を要した。

2組目は、MacBook NeoとDell XPS 13の対決。興味深いのは、MacBook NeoはApple Siliconの正規チップではなく、iPhone向けに設計されたA18 Proを転用している点だ。対するDell XPS 13は、IntelのCore 5 320(Wildcat Lake世代)にメモリ8GBという、MacBook Neoの価格帯に合わせたエントリー構成だった。結果はここでも7秒対12秒となり、iPhone用チップの転用品がIntelの新世代CPUを上回った。

Windowsの問題かチップの問題か、断定はできない

この結果を額面通りに受け取るには注意が要る。検証元のWindows Latest記者が自身の(それほど高性能ではない)PCで同じテストを試したところ、画像入りの文書であったにもかかわらず3秒未満で開いたと報告している。これはPhoneBuffが検証した4台のどのマシンよりも速い。

つまり、今回の結果がWindows全体やチップアーキテクチャの構造的な弱点なのか、特定の文書ファイルや個体のハードウェア構成、初期設定に起因するものなのかは、現時点では判然としない。とはいえ、Word自体の起動速度は本来Microsoftが30年以上かけて自社OS向けに最適化してきたはずの領域であり、ホームグラウンドで正面から勝負できる力があるはずなのに、この結果はもったいない。

バッテリーは実務ワークロードで逆転

一方で朗報もある。PhoneBuffの検証では、WordとExcelを切り替えながら使う実務的な作業パターンでのバッテリー持続時間について、Snapdragon X2 Plus搭載のSurface LaptopとIntel Panther Lake世代のチップを積んだ機種が、いずれもMacBookを上回った。

AppleのM系チップは登場当初からバッテリー持続時間の高さで評価を築いてきた分野であり、Windows機がここで優位に立つのは近年珍しい構図だ。Qualcomm陣営とIntelの新世代モバイルチップが、実利用に近いシナリオで着実に地力をつけてきていることを示している。

実務への影響

日本のIT管理者やエンジニアがPC選定・検証を行う際、今回の結果は「単発のマイクロベンチマーク」を鵜呑みにする危険性を示す好例といえる。

  • 自社のファイルで検証する: 500ページのWord文書という特殊な条件での結果であり、日常業務で扱う文書サイズや構成(画像の有無など)次第で結果は変わりうる。調達前には自社で実際に使うファイルでの起動・保存速度を確認したい
  • メモリ構成に注意する: 今回比較劣位だったDell XPS 13はメモリ8GBのエントリー構成だった。同じCPUでもメモリ構成次第でOfficeアプリの体感速度は大きく変わるため、価格だけでなくスペック表の細部まで確認する必要がある
  • 単一指標より実利用シナリオを重視する: 文書を開く速度だけでなく、WordとExcelを行き来する実務パターンでのバッテリー持続時間のように、実際の業務フローに近い評価軸で機種を比較する方が調達判断としては合理的だ
  • Windows機の選定は世代・チップで差が大きい: Snapdragon X2 PlusやIntel Panther Lakeなど新世代チップは、少なくとも実務バッテリー面でMacBookに対抗できる水準に達している。型落ちチップとの単純比較で「Windowsは遅い」と結論づけず、最新世代同士で比較することが重要だ

出典: この記事は MS Word opens twice as slow on Windows 11 PCs as on MacBooks, and Microsoft has no excuse の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。