Azureが単年で1000億ドル突破、Microsoft全体は3310億ドル
Microsoftは7月29日(現地時間)、FY26(2025年7月~2026年6月期)通期および第4四半期の決算を発表した。通期売上高は3310億ドルで、直近四半期は900億ドル、成長率は前年同期比18%まで加速している。最大のトピックは、Satya Nadella CEOが強調した「Azureが年間売上高1000億ドルを突破した」という事実だ。Microsoft Cloud全体の年間売上高も2140億ドルと過去最高を更新し、四半期換算の年間実行速度(ARR)は2372億ドルに達している。
第4四半期の設備投資は410億ドルで、その約3分の2はCPU・GPUなど「短寿命資産」に充てられた。データセンターは第4四半期だけで5大陸31カ所を新設し、FY26通期では88カ所を追加している。決算説明会では、PowerPointのCopilotなどAI機能ごとのGPUコスト効率化についても言及があった。大規模投資をしてきた以上、消費するAIリソースの効率化に目を向けるタイミングに来ているということだろう。
Microsoft 365 Copilot、3000万有料シートも普及率は7%弱
Microsoft 365部門では、商用製品の売上高が前年比19%増となった一方、有料シート数の具体的な新数値は開示されなかった。座席数の伸び率は「6%」という、ここ数四半期と同じ数字が繰り返されている。2026年1月に公表された「4億5000万シート超」を起点に単純計算すると、現在のMicrosoft 365有料シートはおよそ4億6400万に達していると推定される。
一方でMicrosoft 365 Copilotは「3000万有料シートを突破」し、四半期ごとの純増数は前四半期比で2倍以上になったという。FY26 Q2の1500万シートから、Q3で2000万、Q4でさらに1000万シートを積み増した計算だ。5万シート超の大口顧客数も前年比7倍に伸びている。
ただし、3000万という数字はMicrosoft 365有料シート全体(推定4億6400万)に対してまだ6.47%にとどまる。3年にわたる大規模なプロモーションと、Microsoft 365のあらゆる場所へのCopilot統合という力の入れようを踏まえると、この普及率をどう評価するかは意見が分かれるところだろう。伸びしろが大きいと見ることもできるし、投資規模に対して浸透が遅いと見ることもできる。
決算ではPurviewが「500億件超のCopilotインタラクションを監査し、前年比で360%近く増加した」ことも紹介された。ただしこの数字は「Copilotが使われた回数の記録」であって、その利用がどれだけ業務価値を生んだかを直接示すものではない点には注意が必要だ。
もう一つ気になるのが、Teamsの月間アクティブユーザー数(MAU)が今回も開示されなかったことだ。直近の公表値はFY24 Q1(2023年後半)の3億2000万人で、実に11四半期連続で更新がない。
なぜこれが重要か
日本のIT現場でMicrosoft 365やAzureを使う企業にとって、この決算が示すのは「投資は本物だが、Copilotの定着はまだ発展途上」という現実だ。Azureの成長は旺盛なAI需要とインフラ投資に裏打ちされており、クラウド基盤としての勢いは数字の上でも明確になっている。一方でCopilotのシート普及率が7%弱にとどまっているという事実は、多くの企業が「導入はしたが本格活用はこれから」という段階にあることを示唆している。日本企業でもライセンスを買ったものの使いこなせていないというケースは珍しくなく、Microsoftの決算数字はその実態を裏付けている。
実務での活用ポイント
IT管理者は、Copilotのシートを増やす前に既存シートの利用率を可視化することを優先したい。Microsoft 365 Copilot自体に利用状況ダッシュボードがあり、Teams・Outlook・Word・Excelそれぞれでの活用度を部門別に確認できる。利用が低調な部門には、まず議事録要約や定型メール下書きといった負荷の軽い用途から定着させるのが現実的だ。またE7ライセンスの採用が増えているという言及もあった通り、Copilotを含む上位ライセンスへの移行を検討する際は、自社のセキュリティ・コンプライアンス要件(Purviewでの監査ログ活用など)とセットで設計するのが望ましい。Teams MAUのように開示が止まっている指標もあるため、ベンダーの発表数字を鵜呑みにせず、自社環境でのログや利用統計から実態を把握する姿勢が引き続き重要になる。
出典: この記事は Azure Tops $100 Billion As Microsoft Reports FY26 Q4 Results の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。