Anthropicは2026年7月22日、デスクトップ版Claudeアプリに新機能を2つ追加したとPC Watchが報じた。ひとつはmacOS版Claudeデスクトップアプリ向けの「iOSシミュレータ連携機能」、もうひとつはユーザーの操作を録画してスキル化する「Record a skill」機能だ。

iOSシミュレータ連携:生成したアプリをAIが自分でビルド・実行

iOSシミュレータ連携機能はmacOS版Claudeデスクトップアプリで使える。利用にはApple純正のXcodeを別途インストールし、iOSシミュレータ機能を有効にしておく必要がある。連携が済むと、Claude Codeが書いたiOS用アプリのコードをそのままビルドし、サイドバーに呼び出したiOSシミュレータ上で動かせる。生成したアプリがどう動くかをAI自身が確認しながら、コードの修正を重ねられるのが特徴だ。現在はパブリックベータの位置付けで提供されている。

Record a skill:操作の録画を繰り返し使えるスキルに変換

Record a skillは、ユーザーがClaude上で行った操作をClaudeが録画し、同じ手順を繰り返し実行できる「スキル」として保存する機能。複数人で作業する「Claude Cowork」向けの機能で、Claude Pro/Max/Teamプランの契約者がデスクトップアプリから利用できる。

なぜこの機能が注目か

これまでAIコーディングツールが生成したコードは、実際に動くかどうかを人間がビルドして目で確認する必要があった。iOSシミュレータ連携は、この「人間による動作確認」の工程をAI自身のループに組み込んだ点が大きい。Record a skillも同様に、人間が一度手本を見せれば、以降は同じ作業をAIが自律的に繰り返せるようにする仕組みで、単発の指示応答型ツールから、確認・実行・検証を自分で回すエージェント型のワークフローへ踏み出す動きの一つと位置付けられる。

なお現時点ではAnthropicの公式発表とPC Watchの報道が情報源であり、海外メディアによる独自レビューはまだ出そろっていない。macOS限定かつXcode前提という制約もあり、実運用でどこまで安定して動くかは今後の実装評価を待つ必要がある。

日本市場での注目点

Claude Codeおよびデスクトップ版Claudeアプリは日本からも通常どおり利用でき、地域限定の発売時期という概念はない。iOSシミュレータ連携を使うにはmacOS環境とXcodeが前提になるため、iOSアプリ開発を手がける日本のエンジニアがまず恩恵を受けそうだ。料金はClaude Pro(月額20ドル前後)からMax、チーム向けのTeamプランまで用意されており、既存の契約者は追加費用なしでRecord a skillを試せる。GitHub CopilotやCursorなど競合のAIコーディング支援ツールも同様に自動検証・自動化機能の強化を進めており、この分野は各社が横並びで機能追加を競う局面に入っている。

筆者の見解

Microsoft MVPとして長年AI開発ツールを追ってきた立場から見ると、今回の2機能は「AIエージェントが自分で確認まで完結させる」という方向性を素直に体現していて好感が持てる。人間に逐一「これでいいですか」と確認を求めるのではなく、目的を伝えたら自律的にビルド・実行・検証まで回してくれる設計は、AIエージェントの本質的な価値である「人間の認知負荷の削減」に直結する。Record a skillも、人間が一度やって見せた作業をAIが自分のスキルとして獲得し、以降は自律的に繰り返せるようにする発想で、エージェントが判断・実行・検証のループを自分で回す「ハーネスループ」的な設計思想と地続きだ。

ただし現状はパブリックベータかつmacOS・Xcode前提という制約付きで、実際の開発現場でどこまで安定して使えるかはこれからの検証次第だろう。日本のエンジニアがAIエージェントを敬遠する理由の多くは、確認を求められ続けて逆に手間が増える体験に起因している。今回のような「AIが自分で最後まで確認して動かす」設計が広がれば、AIエージェントを一度も本格的に使ったことがない開発者にとっても、導入のハードルが下がっていくはずだ。


出典: この記事は Claude CodeにiOSシミュレータ連携機能追加。画面録画からスキルを作れる機能も の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。