MicrosoftはWindows 11 Insider Programのベータチャネル向けに新ビルド(26220.8925および28020.2539)を公開し、Startメニューのサイズを利用者が自由に変更できる機能と、新しいタッチパッド操作ジェスチャーを追加した。
Startメニューをようやく「リサイズ」できるように
Windows 11では、Windows 10までの可変サイズのライブタイル方式から一新し、固定レイアウトのStartメニューに切り替わった。ピン留めアプリは3行分のグリッドに固定され、フルHD超の大画面や複数ディスプレイ環境でも表示できるアイコン数は変わらないという不満が長く続いていた。
今回のBetaビルドでは、この制約が緩和される。メニューの端をドラッグして表示領域を拡張できるようになり、ピン留めアプリの行数やおすすめ項目の表示件数を増やせる。高解像度モニターや大画面ノートPCを使う利用者ほど恩恵は大きく、よく使うアプリを一望できる棚のような感覚でStartメニューを使えるようになる。
新しいタッチパッドジェスチャーの追加
同時に、Precisionタッチパッド向けのジェスチャーも拡充された。マルチタッチでの操作範囲が広がり、ウィンドウのスナップや仮想デスクトップの切り替えといった操作を、より少ない手数でこなせるようになる。Windows 11は世代を追うごとにタッチパッド操作の作り込みを進めており、今回の追加もその延長線上にある。
いずれの機能も、Betaチャネルという性質上、すべてのInsiderに一斉配信されるわけではなく、段階的なロールアウト(Controlled Feature Rollout)で展開される。同じビルド番号でも、環境によって機能が表示されない場合がある点は留意したい。
実務への影響
Betaチャネルは、Dev/Canaryチャネルに比べて安定版への反映が近い。一般的には数か月以内に一般提供(正式版)へ組み込まれる流れが多く、IT管理者にとっては「今のうちに検証しておくべき変更」として扱う価値がある。
具体的には次の点を押さえておきたい。
- サポート窓口向けの案内更新: Startメニューのレイアウトが可変になることで、これまで「決まった位置にアプリが並ぶ」ことを前提にしていた社内マニュアルやトレーニング資料は、画面キャプチャも含めて見直しが必要になる可能性がある
- Group Policy/Intuneでのレイアウト固定運用への影響確認: Startレイアウトを構成プロファイルで固定管理している組織は、サイズ変更機能との相互作用を検証しておくとよい
- タッチパッド操作前提の研修コンテンツの更新: 新ジェスチャーが標準化されれば、ノートPC利用者向けの操作説明も更新対象になる
WUfB(Windows Update for Business)のリングやInsider Program参加端末を使い、実際の業務端末に展開する前に少数の検証機で挙動を確認しておく、という地道なプロセスが引き続き有効だ。
筆者の見解
Startメニューのリサイズも、タッチパッドジェスチャーの拡充も、AIが絡む派手な機能ではない。だが、こうした地道なユーザー体験の改善こそ、実務で長く使われるOSにとって本質的に効いてくる部分だと考えている。奇をてらわず、利用者から長年上がっていた要望を一つずつ潰していく——これはまさに「王道」のアプローチで、好感が持てる。
一方で、Insiderプログラムの性質上、Betaチャネルであっても「最新ビルドを適用したら一部の環境で不具合が出た」という報告は珍しくない。検証用ではない普段使いの端末にすぐ適用するのではなく、数日〜数週間は挙動を見極めてから展開判断をする、という慎重さも立派なリスク管理だ。地味な機能でも、展開プロセスだけは丁寧に踏むべきだと思う。
Windows全体の細かい機能追加を逐一追いかける意味は薄れてきているというのが筆者の基本的なスタンスだが、こうした「利用者の実際の困りごとに応える」改善は、次の安定版更新に備えて押さえておく価値がある数少ない例だと感じている。
出典: この記事は New Windows 11 Beta Insider builds bring a resizable Start menu and new touchpad gestures の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。