Microsoft AzureとOracleは、共同提供するマネージドサービス「Oracle Database@Azure」の対応リージョンを、従来の14拠点から33拠点へと拡大したと発表した。これはハイパースケーラー上で提供されるOracle Databaseサービスとしては最多のリージョン数となる。あわせて、データレイクハウス基盤「Oracle Autonomous AI Lakehouse」の一般提供(GA)開始、Microsoft FabricおよびPower BIとの統合強化など、AIとデータ活用を意識した新機能が複数追加された。
Oracle Database@Azureとは
Oracle Database@Azureは、Oracle Exadataなどオラクル製のデータベース基盤を、Azureのデータセンター内に物理的に設置し、Azureのネイティブサービスとしてシームレスに利用できるようにしたサービスだ。ネットワーク遅延の少なさに加え、課金・契約窓口・サポートがAzure側に一本化されている点が特徴で、既存のOracle Databaseワークロードをクラウドに移行する際の定番の選択肢になりつつある。
主な新機能
今回の発表で特に注目すべきは以下の3点だ。
- リージョン拡大(14→33): 日本を含むアジア太平洋地域でも選択肢が広がり、データ主権やレイテンシ要件を満たしやすくなった
- Oracle Autonomous AI LakehouseのGA: Oracle上のデータをオブジェクトストレージ上のレイクハウス形式で分析可能にし、AIモデルの学習・推論にそのまま活用できる基盤が正式版になった
- Fabric/Power BI統合強化: Oracle Database上のデータをMicrosoft Fabricに直接連携し、Power BIでそのまま可視化・分析できる導線が整備された
実務への影響
日本企業の基幹系システムには、いまだにOracle Databaseが数多く残っている。これらをAzureに移行したいが、Oracle DatabaseのライセンスやRAC構成はそのまま維持したい、という要望は根強く、Oracle Database@Azureはその現実的な落としどころになる。
特に今回のリージョン拡大は大きい。これまで対応リージョンが少なく「使いたくても物理的に選べない」という制約があった企業にとって、選択肢が広がったことは移行計画を具体化する後押しになる。またFabric/Power BI統合の強化により、基幹系のOracleデータをAzure側の分析基盤に持ち込みやすくなった点は、レポーティング業務の効率化に直結する。IT管理者は、既存のOracle Databaseワークロードを棚卸しし、対象リージョンに自社拠点が含まれるかを確認しておくとよい。
筆者の見解
Oracle Database@Azureは、Azureが「自前で全部作る」のではなく、強い他社製品をそのままAzure基盤に取り込んで顧客に選択肢を提供する、という戦略の代表例だと見ている。Azure基盤の信頼性はそのままに、その上で動かす技術やサービスを柔軟に選べるようにするというアプローチは、王道であり正しい判断だと思う。
Oracle Databaseの資産を持つ企業からすれば、無理にリプレースせずAzureの運用基盤・ガバナンスに乗せられるのは大きなメリットだ。派手さはないが、こうした「地味だが顧客の実利に直結する」拡張を着実に積み重ねているところに、Azureのプラットフォームとしての底力を感じる。AI関連の話題が先行しがちな昨今だからこそ、こうした基盤サービスの拡充にも引き続き注目していきたい。
出典: この記事は What’s new with Oracle Database@Azure の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。