Microsoftは、Outlook Classic(旧来のデスクトップ版Outlook)を含む全バージョンのOutlookに、Copilotを使った「メール下書き作成」機能を強制的に有効化すると発表した。管理ポータルの告知によれば、対象はOutlook Classic、New Outlook、Web版、モバイル版のすべてで、2026年末までにOutlook Classicへの展開が完了する見込みだ。機能を使いたくないユーザーは、自らオプトアウトするか、有効化後に手動で無効にする必要がある。

Outlook Classicにも年内展開

New Outlookでは既に展開が始まっているか、数週間以内に届く見込み。一方Outlook Classicは、機能追加がほぼ止まりバグ修正中心になっていたにもかかわらず、Copilot搭載のコンポーズボックスが年末までに既定でオンになる。管理者側の作業は不要で、ユーザーは新規メール作成や下書き編集の際、コンポーズボックス内からCopilotを呼び出し、文章の書き直しや拡張ができるようになる。

なお、この新しいCopilot搭載コンポーズ機能はMicrosoft 365 Copilotライセンスを必要とし、通常のMicrosoft 365サブスクリプションより高額だ。そしてMicrosoftの新しい料金ページは、Microsoft 365 Copilotライセンスを新標準として前面に押し出しており、Copilotなしの従来サブスクリプションを見つけにくくしている。既にMicrosoft 365 Copilotへアップグレード済みの組織では、この機能は自動的にオンになる。

なお政府機関向け環境(GCC High・DoD)では、New Outlookが9月からロールアウトされるが、Outlook Classicの強制置き換えは行わず、既定オフ・オプトインのまま管理者がポリシーとレジストリキーで制御できる状態が維持される。同時にMicrosoftは、添付ファイルと紛らわしいと不評だった「Meeting Insights」機能を廃止し、Copilotによる要約に置き換える方針も明らかにしている。

実務への影響

日本企業の多くは、COMアドインやVBAマクロとの互換性、あるいは単に慣れの問題からOutlook Classicを使い続けている。今回の変更は「機能追加」ではなく「既定オン」という形で来るため、IT管理者は年末までにグループポリシーまたはCloud Policyサービスで、Copilotコンポーズ機能の可否をあらかじめ決めておく必要がある。特にMicrosoft 365 Copilotライセンスを持たない組織では機能自体が表示されないはずだが、ライセンス保有ユーザーが混在する環境では、意図せず一部の社員だけに機能が現れる状況も想定される。情報漏洩や誤送信のリスクを避けるためにも、展開前の周知と、必要なら無効化の手順書を準備しておきたい。またNew Outlookへの移行計画がある組織は、この機会にCOMアドインからWebアドインへの移行スケジュールを見直す好機でもある。

筆者の見解

Copilotの企業向け展開はここ数年、機能の中身よりも「どう既定値を動かすか」で語られることが多くなっている。今回も、Outlook Classicの新機能追加をほぼ止めておきながら、Copilotだけは強制的に既定オンにするという判断には違和感がある。しかも料金ページでCopilotライセンスをさりげなく標準扱いにする見せ方は、応援する立場から見ても正直あまり褒められたやり方ではない。ユーザーが自分の意思で選べる余地をきちんと残してこそ、Copilotは「使われる機能」になっていくはずだ。

メールの下書き支援そのものは使いどころが分かりやすく、素直に実用性を評価しやすい機能だと思う。だからこそ、既定オンで押し付けるのではなく、管理者にもエンドユーザーにも透明性のある形で選ばせてほしい。正面から評価されるだけの実力を伸ばせる領域のはずなので、こうした細かい見せ方でユーザーの不信を買うのはもったいない。


出典: この記事は Microsoft to force enable Copilot in Outlook Classic, even though it wants you on New Outlook の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。