Microsoftは、OneDriveのWebアクセスURLを現行の「(テナント名)-my.sharepoint.com」形式から、新たに「onedrive.cloud.microsoft」へと段階移行すると発表した。Microsoft 365 Message Center(参照番号MC1392563)によると、移行は2026年7月上旬から世界規模で開始され、完了は2027年6月末を予定している。個々のテナントがいつ切り替わるかは事前に個別通知されないため、IT管理者は「気づいたら変わっていた」という状況を前提に準備しておく必要がある。
何が変わり、何が変わらないのか
変更されるのはOneDriveのWebブラウザ向けアクセスURLのみだ。ユーザーがブラウザでOneDriveを開くと、これまでの「contoso-my.sharepoint.com」ではなく「onedrive.cloud.microsoft」というアドレスが表示されるようになる。一方、SharePointについては引き続き従来のURL形式が使われる。
重要なのは、Microsoft Graphを含むAPI呼び出しやファイル保存に使われるSharePoint側のURLは一切変更されないという点だ。管理機能(admin.microsoft.com)にも影響はなく、既存のリンクやブックマーク、共有リンクも引き続き機能する。旧URLと新URLは無期限に併存する方針で、個人向け(コンシューマー版)OneDriveはlive.comドメインのままで対象外となる。
なぜcloud.microsoftへ統合するのか
この動きは今回が初めてではない。Teams(teams.microsoft.com)、Outlook(outlook.office.com)、セキュリティ管理(security.microsoft.com)、コンプライアンス(compliance.microsoft.com)など、Microsoft 365の主要サービスはすでに「見ればMicrosoft公式と分かる」ドメイン体系への統一が進んでいる。今回のOneDriveの移行も、この流れの一環にすぎない。Microsoftはこの統一によってユーザーが正規のURLを見分けやすくなり、結果としてフィッシング詐欺のリスク低減につながると説明しているが、実際にどこまで効果があるかは未知数だ。
実務への影響
エンドユーザーから見ればファイルアクセスや共有の使い勝手は何も変わらない。だが管理者にとっては、ネットワーク境界で「特定ドメイン単位」の許可制御を行っている環境ほど、移行開始前に次の2点を確認しておきたい。
- ファイアウォールやネットワークフィルタリングのルールが特定のOneDriveドメインをホワイトリスト方式で許可している場合、
*.cloud.microsoftを許可対象に追加する - プロキシ、特にSSLインスペクションを行っている環境では、新しいドメインを正しく識別・許可できるよう設定を見直す
あわせて、社内マニュアルやFAQに記載されたURL例も更新しておくとよい。影響範囲自体は限定的だが、リスクの所在は「OneDriveそのもの」ではなく「境界防御の設定漏れ」にある点は覚えておきたい。
筆者の見解
このドメイン統合は、もっと早くから徹底してほしかった施策だ。Teams・Outlook・管理コンソール・セキュリティ・コンプライアンスと少しずつcloud.microsoft系に寄せてきた流れの延長線上に、ようやくOneDriveが乗った、という印象を受ける。Microsoft 365はバラバラなサービスの寄せ集めではなく、一つの統合プラットフォームとして設計し直している最中であり、ドメインという地味な部分にまで一貫性を持たせる姿勢は、全体最適を志向する製品作りとして素直に評価したい。
一方で、これは典型的な「ネットワーク層での境界防御」の話でもある。ゼロトラストの観点に立てば、ドメイン単位のホワイトリストに依存し続けること自体、本来はもっと減らしていくべき運用だ。とはいえ現実には多くの企業がまだドメインベースのフィルタリングに頼っているのも事実であり、そこを一気に取り上げるわけにもいかない。今回のように「事前に何を確認すればいいか」を明確に示してくれるのは、禁止で塞ぐのではなく安全に移行できる仕組みを用意するという意味で、正しいやり方だと思う。IT管理者としては、変更を後追いで塞ぐのではなく*.cloud.microsoftのような形で先回りしてルールを設計しておく方が、結局は運用の手間を減らすことにつながる。
出典: この記事は OneDrive is moving to cloud.microsoft: what you need to know の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。