Microsoft(マイクロソフト)は2025年9月24日、Microsoft 365 Copilotで選べるAIモデルの一覧に、Anthropic(アンソロピック)の「Claude Opus 4.8」を追加したと発表した。対象はCopilot Chat、Excel、PowerPoint、そしてノーコード/ローコードでエージェントを構築するCopilot Studioの4つ。発表したのはCopilot・Agents・Platform担当のEVPであるCharles Lamanna氏だ。
何が変わったのか
Microsoft 365 Copilotはこれまでも、標準搭載モデルに加えて一部の代替モデルを選択できる仕組みを提供してきたが、そこに新たにAnthropicのClaude Opus 4.8が加わった。Microsoftの説明によれば、Claude Opus 4.8は複雑なタスクや長時間にわたる作業での「指示追従性」(指示された内容にどれだけ忠実に従うか)の向上を狙ったモデルで、Copilot Chatでの対話だけでなく、Excelでの数式・分析作業やPowerPointでのプレゼン作成、さらにCopilot Studioで構築するエージェントの基盤モデルとしても利用できるようになる。
商用テナントでは既定で有効化されるロールアウトとなっている点も見逃せない。管理者が何も設定しなければ、ユーザーは自然とClaude Opus 4.8を選択肢として目にすることになる。
地域差に注意——EU/UKは既定で無効
今回の発表で実務上とくに注意したいのが、EU(欧州連合)およびUK(英国)のテナントでは、Claude Opus 4.8が既定で無効化されている点だ。グローバルでは自動的に有効になる機能が特定の地域だけ挙動が異なるのは、Microsoft製品のロールアウトでは珍しくないパターンだが、多国籍組織や日本企業の海外拠点を管理するIT管理者にとっては、テナントごとの設定差分を把握しておく必要がある。
実務への影響
日本企業のIT管理者がまず確認すべきは、自社テナントでこの機能が既定でオンになっているかどうかだ。Copilot管理センターのモデル設定を確認し、必要に応じてポリシーで許可・制限を行う運用が求められる。特にCopilot Studioでエージェントを構築しているチームは、基盤モデルの選択肢が増えることで、要約や定型応答にはコストの低いモデル、複雑な分析やロングコンテキストが必要なタスクにはClaude Opus 4.8、といった使い分けの設計が可能になる。Excel・PowerPointの利用シーンでも、複雑な財務モデルの数式生成や、長い資料構成の一貫性が求められる場面で選択肢として試す価値がある。
筆者の見解
Microsoft 365 CopilotがAnthropicのモデルを選択肢に加えたこと自体は、素直に評価したい動きだ。筆者はかねてから「Copilotだけに閉じるのではなく、もう一つの選択肢を横に並べて併用する」のが現実的な解だと考えてきた。Copilot一本足打法では、高度な分析や創造的なタスクで物足りなさを感じる場面が正直あった。今回のようにMicrosoft自身が複数モデルを併存させる設計に舵を切ったのは、その現実解に近づく動きとして歓迎したい。
一方で、EU/UKだけ既定無効というロールアウトの細かさは、Microsoftらしい丁寧さである半面、グローバルに展開する組織の管理者には「どのテナントで何が有効か」を都度確認する手間を強いる。せっかく良い選択肢を増やしても、管理の複雑さで使われないままになってはもったいない。Microsoft 365は統合してこそ価値が出るプラットフォームなのだから、モデル選択の仕組みも管理者がひと目で全体像を把握できる形に磨き込んでほしい。正面から勝負できる力があるのだから、こういう細部の詰めまでやり切ってほしいところだ。
出典: この記事は Expanding model choice in Microsoft 365 Copilot の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。