Appleは日本時間7月14日未明(現地時間7月13日)、iOS 27・iPadOS 27・macOS 27「Golden Gate」・watchOS 27のパブリックベータ配信を開始した。米Engadgetのウィル・シャンクリン氏が報じたところによると、今回の目玉は開発者向けベータで先行導入されていた新しい「Siri AI」と、アプリ起動やAirDropの体感速度を引き上げるシステム全体の最適化だという。対応デバイスを持つユーザーなら、今日からベータ版を実機にインストールして試せる。

単なる音声コマンドから「会話できるAI」へ

新しいSiriは、決められたコマンドを認識するだけの仕組みから、自然な会話ができるAIアシスタントへと作り替えられた。会話の流れを踏まえた聞き返しに対応し、画面に表示されている内容について質問すると答えてくれるほか、アプリ内で複数ステップの操作を代行することもできるという。対応デバイスの一部では応答音声の表情豊かさも調整可能で、会話履歴を保存する専用の「Siriアプリ」も新設された。

開発者向けベータではウェイトリスト制で提供が絞られていたが、パブリックベータではApple Intelligence対応デバイス全体で利用できる。現時点では英語のみの対応で、EU域内では提供されない。

写真編集・Safari・パスワード管理も強化

写真アプリには、撮影後に構図を調整できる「Spatial Reframing」、画像の外側を生成して境界を広げる「Extend」、精度を高めた「Clean Up」が追加され、画像生成機能「Image Playground」もフォトリアルな高品質生成に対応した。Safariはタブの自動グループ分けと、価格変動・再入荷を監視する「Notify Me」を搭載。パスワードアプリは脆弱なパスワードの検知と自動更新に対応し、ショートカットは自然言語で自動化を組めるようになった。あわせてAirPods向けベータも公開され、カスタムイコライザーやアダプティブオーディオのスライダーが加わっている。

体感できるレベルの高速化

Appleによれば、アプリの起動は最大30%、写真アプリへの新規撮影画像の反映は最大70%、AirDropの転送は最大80%、それぞれ高速化されたという。加えて、昨年の大型デザイン刷新「Liquid Glass」への批判を受け、視認性を改善しつつ効果の強さをスライダーで調整できるようになった。

海外レビューのポイント

シャンクリン氏は、公式の速度改善の数値そのものは検証していないと断ったうえで、「初期の開発者向けベータの段階でも、手元の端末は明らかにキビキビ動くようになったと感じた」と述べ、体感速度の向上には一定の信頼を寄せている。一方で、新Siriが開発者向けベータの時点でウェイトリスト制だったこと、公開後も英語限定・EU除外という慎重なスコープに留まっていることは、Apple Intelligenceの度重なる延期という経緯を踏まえると、品質を確保しながら段階展開しようとする姿勢の表れとも読み取れる。

watchOSでは、よく使うアプリを自動表示する「Dynamic App Grid」や、Smart Stackのウィジェットをワンタップで選べる操作、生理周期トラッキングへの更年期対応が加わった。macOS 27「Golden Gate」では、SpotlightからSiri AIを呼び出して画面内容の分析や文章作成支援を受けられるほか、ツールバーの統一やサイドバーの全面表示などMac向けのデザイン調整も行われている。

日本市場での注目点

パブリックベータは日本からもインストール可能だが、目玉のSiri AIは英語限定のため日本語では使えない。Apple Intelligence自体、日本語対応まで英語版から半年以上のタイムラグがあった前例があるだけに、新Siriの日本語対応も正式リリース(例年9月の新型iPhone発表と同時期が有力)以降、さらに遅れる可能性を織り込んでおきたい。iOS 27自体は無料のソフトウェアアップデートとして提供される見込みで、価格面での懸念はない。

筆者の見解

今回のSiri刷新で注目したいのは、「アプリ内で複数ステップの操作を代行する」という部分だ。従来の音声アシスタントは決まったコマンドで単発の操作を実行するだけで、複雑な作業は結局ユーザー自身が手を動かす必要があった。そこから一歩踏み込み、目的を伝えれば複数の手順をまとめてこなしてくれる方向に舵を切ったことは、AIアシスタント全般にとって正しい進化の方向だと感じている。

ただし、開発者向けベータでウェイトリスト制を敷き、公開後も英語限定・EU除外という慎重なスコープに留めているのは、裏を返せば「まだ手放しで信頼させられる完成度ではない」という判断の表れでもあるはずだ。ここは大目に見ずに正直に見ていきたい部分で、実際に使ったユーザーの声が今後の評価を左右するだろう。日本のユーザーとしては、スペック表を追いかけるより、日本語対応が来た段階で実際に触って自分の作業がどれだけ楽になるかを確かめるのが一番参考になるはずだ。


出典: この記事は Public betas for iOS 27, macOS 27 and more Apple platforms are now available の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。