Windows 11の2026年6月プレビュー更新(KB5095093)で、新機能「ポイントインタイムリストア」が追加されたことをPC Watchが報じた。同誌の清水理史氏が実機検証を行い、仕組みと使い方、そして「機能を有効にしても復元ポイントがなかなか作られない」という落とし穴まで詳しくレポートしている。
なぜこの機能が注目か
Windowsには従来から「システムの復元」機能があったが、これはOS本体の設定を戻すだけで、ドキュメントや写真といったユーザーデータは対象外だった。ポイントインタイムリストアは、Windows標準のボリュームシャドウコピー(VSS)を活用し、OSの状態に加えて「ドキュメント」「ピクチャ」などのローカルファイルまで含めてまとめて過去の状態に戻せる点が従来との大きな違いだ。
差分バックアップの仕組みを使うため、丸ごとイメージを書き戻す方式と比べて復元にかかる時間は数分から十数分程度と短い。突然の不具合や誤操作でPCがおかしくなった際に、専用ツールを別途用意しなくても標準機能だけで「昨日の状態」に戻せるようになる意味は大きい。
PC Watchの検証でわかったポイント
清水氏の検証記事によれば、評価できる点と気になる点がはっきり分かれている。
良い点として、KB5095093さえ適用されていれば、ストレージ容量200GB以上の一般的な家庭用PCではほぼ自動的に有効化される。スナップショットは24時間ごとに作成され、最大72時間分保持される仕様で、復元時はWinRE(回復環境)からBitLockerの回復キーを入力するだけで完了する手軽さも評価されている。
一方で気になる点として、有効化しても「使用可能なスナップショットがありません」と表示され続けるケースがあることを清水氏は指摘する。原因はタスクスケジューラーに登録された「PITRTask」の起動条件にあり、PC起動から30分が経過し、さらに2分間PCを操作しない(アイドル)状態が続かないとスナップショットが作成されない。ユーザーが操作を続けている限りいつまでもスナップショットができないという、わかりにくい仕様だ。手動での復元ポイント作成も公式にはサポートされていない。なお清水氏は検証の中で、タスクスケジューラーからPITRTaskを右クリックで手動実行すると、非公式ながら任意のタイミングでスナップショットを取得できることも突き止めている。また、OneDriveと同期しているファイルはスナップショット後の更新分がクラウド側の内容で再同期されるため、ローカルとクラウドの状態がずれる可能性がある点も、バックアップ運用上の注意点として挙げられている。
日本のユーザーが知っておきたいこと
Windows Updateはグローバルでほぼ同時展開されるため、日本国内のWindows 11 Home/Pro利用者にもKB5095093の適用と共に同じ機能が順次提供される。追加コストが発生しない標準機能である点は、消費者にとって歓迎材料だ。一方、組織管理下のPro/Enterprise/Educationでは26H2までは既定で無効のままなので、企業の情報システム部門は自組織のポリシーを確認しておく必要がある。あくまで直近72時間の短期ロールバック用途であり、長期保存や外部ドライブへのバックアップが目的なら、従来通り市販のバックアップソフトやクラウドバックアップとの併用が前提になる。
筆者の見解
地味な機能に見えるが、Windows標準機能だけで「システムとデータをまとめて数分で復元できる」仕組みを持たせたのは筋がいい判断だと思う。サードパーティ製ツールに頼らなくても、多くの家庭用ユーザーが「困ったら戻せる」という安心感を得られるのは道具立てとして王道であり、Microsoftらしい堅実な仕事だ。
ただ、今回清水氏が指摘した「起動から30分待って、さらに2分放置しないと動かない」というトリガー条件は、せっかくの機能の価値を大きく削ってしまっている。一般ユーザーが「有効にしたのに動かない」と感じて機能ごと見限ってしまうリスクは十分にあり、もったいない。トリガー条件を隠すのではなく、設定画面に「あと何分で有効になるか」を表示するだけでも体験は大きく変わるはずだ。VSSやタスクスケジューラーという十分に枯れた技術を組み合わせている以上、UIと状態表示さえ作り込めば、地に足のついた良い機能に化けるポテンシャルは十分にある。
出典: この記事は Windows 11でデータを過去の状態に復元!新機能「ポイントインタイムリストア」の使い方と“動かない”罠の対策 の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。