Microsoftは6月23日に配信したWindows 11向けプレビュー更新プログラム「KB5095093」について、6月29日付けで追加の修正を適用したと、PC Watchが報じた。修正されたのは、特定のシステムファイルが数十GBから数百GBという規模でストレージを消費し続けるという不具合だ。公式のアナウンスがほとんどないまま静かに直された格好だが、ストレージ容量が限られたPCを使うユーザーにとっては見過ごせない内容だ。

何が起きていたのか

問題の主役は「CapabilityAccessManager.db-wal」というファイル。C:\ProgramData\Microsoft\Windows\CapabilityAccessManager直下に置かれているが、フォルダ自体が隠し属性であるうえ、既定では管理者アカウントでもアクセス権限がない。エクスプローラーでプロパティを見ても「0バイト」と表示されるため、タスクマネージャーやストレージセンサーでは異常の原因を特定できない、いわば見えない大食いの状態になっていた。

ファイル名の「.db-wal」は、SQLiteが更新差分を一時的に書き込む「Write-Ahead Log」であることを示す。本来はメインのデータベースファイルに定期的にチェックポイントされて肥大化しないはずが、その処理がうまく働かず、ログが際限なく積み上がっていたとみられる。CapabilityAccessManagerはカメラやマイク、位置情報といったアプリのアクセス権限履歴を記録するコンポーネントで、日常的に頻繁な書き込みが発生するため、影響が大きくなりやすい。

検証で見えてきたこと

PC Watch編集部が実際に手元の環境で観測したところ、プレビューパッチ適用済みの環境では同ファイルのサイズが2.16MB前後で安定していたのに対し、未適用の環境では観測開始時点の410MBから430MBほどまで増加を続けたという。ネット上ではさらに深刻な、数十GBから数百GB規模の消費事例も報告されており、非表示かつアクセス不可という条件が重なったことで、原因究明の難易度を押し上げていたことがうかがえる。

日本市場での注目点

今回の問題はプレビュー版、いわゆるInsiderプログラムやプレビューチャネル経由の更新に限られており、Windows Updateの通常配信を待つ一般ユーザーには直接影響しない可能性が高い。ただし、プレビュー版の内容は今後の正式な月例更新に取り込まれていく土台であるため、この修正が正式リリースにも反映されるかは引き続き確認が必要だ。SSD容量が256GBや512GBといった比較的小容量の構成が主流の日本向けノートPCやタブレットでは、数十GB単位の消費は無視できないインパクトになる。プレビュー更新を試している場合は、設定アプリの「Windows Update」から最新の状態まで適用されているかを確認しておきたい。

筆者の見解

非公開のシステムフォルダの中でひっそりと不具合が進行し、しかもユーザー側からは原因を特定する手段がほとんどないという今回の状況は、Windowsの品質管理として正直もったいないと感じる。SQLiteのWALファイルがチェックポイントされずに肥大化するという現象自体は、原因さえ特定できれば技術的にそれほど珍しい話ではない。むしろ問題は、影響範囲や修正内容についての公式なアナウンスがほぼないまま静かに直されたことだ。ユーザーが自力でファイルサイズの異常に気づき、ネットで検索して原因にたどり着くしかない状況を作ってしまうのは、本来なら情報開示の面でも正面から勝負できる力を持っているMicrosoftにとって惜しい対応だと思う。プレビューチャネルはまさに不具合を早期に洗い出すための仕組みのはずで、今回のような事例こそ「見つかった不具合とその対処」を明確に告知する材料にしてほしいところだ。ストレージ逼迫は特に低価格帯PCのユーザー体験に直結するだけに、今後も同種の問題が起きた際の情報開示のスピードと透明性に注目していきたい。


出典: この記事は Windows 11プレビューパッチ、すぐ適用すべき。SSDが数十GB消費される不具合解消 の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。