Anthropicが2025年5月にリリースした「Claude Code」が、わずか8ヶ月でGitHub CopilotおよびCursorを抜き、開発者に最も使われるAIコーディングツールの首位に立ったことが、The Pragmatic Engineerが実施した約900人規模の調査で明らかになった。

Claude Code、8ヶ月での首位奪取という異例の速度

今回の調査は2026年1月末から2月中旬にかけて実施され、889人のエンジニアが回答した。最も多く使われているツールはClaude Codeで、続いてChatGPTなどのチャットボット、GitHub Copilot、Cursorという順位となっている。

特筆すべきは、Claude Codeが「最も愛されているツール」として46%の支持を集めた点だ。Cursorの19%、GitHub Copilotの9%と比較すると、その圧倒的な差がわかる。リリースからわずか8ヶ月でここまでシェアを伸ばした事例は、過去のAI開発ツール市場では見られなかった現象だ。

AnthropicのClaude Opus・Sonnetモデルはコーディングタスクでの利用が圧倒的に多く、他社モデルの合計を超えるほどの言及数を記録している。

企業規模で真っ二つに分かれるツール選択

一方、ツールの選択は企業規模によって明確に二極化している。

  • スタートアップ(〜10人規模): 75%がClaude Codeを採用
  • 大企業: GitHub Copilotが56%と依然優位

この傾向はエンタープライズ調達の構造を反映している。大企業では既存のMicrosoft 365契約やセキュリティ審査のプロセスを経てツールが決まることが多く、GitHub Copilotが標準として採用され続けるケースが多い。一方でスタートアップや個人開発者は契約の柔軟性が高く、パフォーマンスへの評価を直接反映した選択ができる。

Cursorも健闘しており、前回調査から35%の伸びを記録している。「CursorからClaude Codeへの乗り換え」が話題になりながらも、Cursorの利用者数は着実に増加しており、市場全体のパイが拡大していることがわかる。

AI活用はもはや「常識」の時代

今回の調査でより重要な示唆を与えるのが、AI活用の浸透率だ。

  • 95%が週1回以上AIツールを使用
  • 75%がエンジニアリング業務の半分以上にAIを活用
  • 56%が業務の70%以上をAIと共に遂行

「AIを使うか使わないか」の議論は終わった。今は「どのツールをどう使いこなすか」の競争段階に入っている。

また、70%のエンジニアが2〜4種類のツールを並行して使用しており、単一ツール依存ではなく用途に応じた使い分けが主流になりつつある。

AIエージェント活用はスタッフ以上が牽引

調査では、55%が「AIエージェント」を定期的に利用していると回答した。特に目立つのはシニアエンジニアやスタッフエンジニア以上の層で、63.5%がエージェントを活用しており、通常のエンジニアと比較して有意に高い水準だ。

さらに、エージェントを使用しているエンジニアは、そうでないエンジニアの2倍のAIへの熱量・期待感を示している。エージェント活用が単なるツール利用に留まらず、仕事の進め方そのものを変えているという実感が支持を生んでいる。

日本のIT現場への影響

日本では大企業を中心にMicrosoft 365 Copilotの導入が進んでいる。この調査が示す「大企業=Copilot優位」という構図は、日本市場でも当てはまりやすい。しかし、エンジニア個人レベルの選好と、企業として採用しているツールとのギャップが広がっているとすれば、それ自体がリスクだ。

実務的な観点では、以下の点を確認しておきたい。

  • スタートアップ・開発チーム: Claude Codeが75%採用という事実は採用・育成面でも意味を持つ。チームが使っているツールで採用候補者が育っているなら、そのリテラシーをどう評価・活かすかを考える必要がある
  • 大企業のIT部門: GitHub Copilotがデファクトであっても、開発者が個人的に別ツールを並行利用している実態を把握しておくべき。シャドーIT的な形で社外ツールを利用されるより、使えるツールの選択肢を公式に広げる方が管理上も合理的だ
  • エンジニア個人: 複数ツールの並行利用が主流。Claude Codeだけでなく、Cursor・ChatGPT等の組み合わせで自分のワークフローを確立することが今の現実解

筆者の見解

この調査結果を見て、正直「予想よりも早かった」と感じた。Claude Codeの台頭は確かに急速で、単純な比較機能の話ではなく「エージェントとして自律的に動く」という設計哲学の違いが支持につながっている面が大きい。

MicrosoftのGitHub Copilotについては、大企業での強さはそのまま維持されている。これはMicrosoftの販売力・エンタープライズへの統合力の強さの表れであり、それ自体は正当な競争力だ。問題は、エンジニアの「愛用ツール」としての評価(9%)と「企業採用率」(56%)の乖離が示すように、使い心地の面での信頼回復が遅れている点だ。GitHubというプラットフォームとの統合は本来の強みのはずで、その優位性を体験として形にしていくことができれば、まだ十分に巻き返せる余地はある。

AIエージェント利用率が55%に達し、スタッフエンジニア層で63.5%というデータは、「上位エンジニアほどAIを道具として使いこなしている」ことを示している。エージェントが自分で判断・実行・検証を繰り返すループを回せるか否かが、今後の生産性の分水嶺になっていくはずだ。

「AIを使え」という圧力の話ではなく、「どう仕組みを作るか」が問われる段階に来ている。この調査が示す数字は、その競争がすでに始まっていることの証左だ。


出典: この記事は Claude Code overtakes GitHub Copilot as most-used developer AI tool just 8 months after launch の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。