AMDが最新グラフィックスドライバー「Radeon Software 26.6.2」(Adrenalin Edition)において、独自のアップスケーリング技術「FidelityFX Super Resolution(FSR)」が正常に動作しなくなる重大な不具合を公式に認めた。影響は多数のWindows PCユーザーに及んでおり、修正ドライバーの提供まで旧バージョンへのロールバックが推奨される状況だ。
FSRとは何か
FSR(FidelityFX Super Resolution)は、AMDが開発したゲーム向けアップスケーリング技術だ。低解像度でレンダリングした映像を高品質なアルゴリズムで拡大表示することで、描画負荷を抑えながら高フレームレートを実現する。NVIDIAのDLSSに対抗する技術として位置付けられており、AMDのRadeonシリーズだけでなくNVIDIA GeForceやIntel Arcシリーズでも動作するオープンな設計が特徴だ。
FSR 3以降ではフレーム生成技術も統合されており、多くの最新ゲームタイトルで標準機能として組み込まれている。これが使えなくなると、ゲームのパフォーマンスへの影響は直接的かつ深刻だ。
26.6.2ドライバーで何が起きているか
26.6.2へのアップデート後、FSRを有効にしているゲームで映像が乱れる、フレームレートが大幅に低下する、FSR設定が反映されないといった問題が多数報告されている。AMDは問題の存在を把握・確認しており、修正ドライバーのリリースに向けて対応中であると表明した。
影響はRadeonシリーズを搭載したWindows PC全般で広範囲に確認されており、特定のゲームタイトルや構成に限らず多くの環境で再現している点が深刻さを増している。
回避策と対処法
現時点での推奨される対処法は以下の通りだ:
- ドライバーをロールバックする: デバイスマネージャーまたはRadeon Softwareから26.6.1以前に戻す。Radeon Softwareには「以前のドライバーに戻す」機能が標準搭載されており、設定画面から数クリックで完了する
- FSRを一時的に無効化する: ゲーム内設定でFSRをオフにし、ネイティブ解像度でプレイする(パフォーマンスは下がるが動作は安定する)
- 修正版ドライバーの公開を待つ: AMDの公式チャンネル(AMD.com / Adrenalinのリリースノート)でアナウンスを確認する
日本のゲーマー・エンジニアへの影響
国内でもAMD Radeonシリーズを搭載したゲーミングPCは広く普及しており、コストパフォーマンスを重視するユーザーに特に支持されている。FSRはPC版の多くの主要タイトルで組み込まれているため、26.6.2へのアップデート後に「突然ゲームのパフォーマンスが落ちた」と感じているユーザーはこの不具合を疑うべきだろう。
ゲーム開発・映像制作環境でFSRを活用しているプロフェッショナルも影響を受ける可能性がある。修正ドライバーが出るまでは26.6.2への更新は控えることを強く推奨する。エンタープライズ環境やゲームスタジオでAMD GPUを運用している担当者は、展開前のテスト環境での動作確認フローをあらためて見直す機会にしてほしい。
筆者の見解
今回の件で改めて感じるのは、「最新ドライバーが出たらすぐ当てる」がベストとは限らないという事実だ。
Windowsのセキュリティパッチでさえ「数日様子を見る判断も立派なリスク管理」と言われる時代だが、グラフィックスドライバーはさらにその傾向が強い。ゲームや映像制作のような専門用途では、新機能より安定性が優先されることがほとんどだ。
AMDはここ数年でドライバー品質の改善に着実に取り組んできており、Radeonエコシステムへの信頼は少しずつ積み上がっていた。今回の26.6.2の件はその意味で惜しい一歩後退だが、公式に問題を認め修正対応を明言した対応は適切だ。早期の修正ドライバーリリースで信頼を速やかに回復してほしいところだ。
「アップデートは即座に当てるもの」という慣習を見直し、特に業務クリティカルな環境では「検証してから展開」のフローを徹底することが、今回のような事案への最も現実的な備えになる。
出典: この記事は AMD confirms 26.6.2 FSR driver breaks on many Windows PCs の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。