Xbox Game Studios の責任者クレイグ・ダンカン氏が今週辞任することが、Engadgetおよび業界メディア「The Game Business」が入手した社内メモで明らかになった。2024年10月に就任したばかりのダンカン氏は、わずか約1年半でトップを交代することになる。Xboxゲーム部門では近々大規模なリストラが実施される見通しで、2年足らずで3人目のリーダーを迎えることになりそうだ。

なぜこのニュースが重要か

ダンカン氏の辞任は単なる人事異動ではなく、Microsoftのゲーム部門全体が大きな転換点を迎えていることを示している。ダンカン氏が率いていたスタジオ群——Halo Studios、The Coalition、Playground Games、Rare、Obsidian Entertainment、Ninja Theory、Double Fineという錚々たるラインナップ——は、後任が決まるまでXboxチーフ・コンテンツ・オフィサーのマット・ブーティ氏に直接報告する体制となる。昨年チーフ・オブ・スタッフに就任したルイーズ・オコナー氏も離職するという。

「リセット」を宣言した経営陣

ブーティ氏とXboxのCEOアシャ・シャーマ氏は辞任発表の直前、社員向けに注目のメモを送付した。そこには「収益の減少を受けた事業の『リセット』」という言葉が明記されており、ハードウェアコンポーネントのコスト増加や、ゲームプレイヤーの注意を争う他エンターテイメントとの競争激化を懸念事項として挙げている。さらに「Xboxはここ10年でスタジオを買収しすぎており、それらを競争力のある状態に保つための資金が十分に充てられていなかった」と、経営陣自ら率直に認める内容となっている。

リストラの歴史と今後の見通し

Xboxのリストラは今に始まった話ではない。

  • 2024年1月: ゲーム部門で約1,900人を削減
  • 2025年7月: 全社で9,000人規模の削減(Xbox内でも多数が影響を受け、複数のゲームキャンセルとスタジオ閉鎖を伴った)
  • 2026年6月末以降: Bloombergの報道によれば、Microsoft の今期会計年度終了後に再び大規模なリストラが計画されている

サティア・ナデラCEOは先週のカンファレンスで「25年間のXboxへの投資を経て、今こそこれを持続可能なビジネスに変えていく必要がある」と発言。ゲーム事業を「経済的に成立する形で」イノベーションする難しさを正直に認めた。

日本市場での注目点

XboxはPlayStationやNintendo Switchと比較して日本国内での普及率は低い。しかしXbox Game Studiosが擁するObsidian EntertainmentやPlayground GamesなどのIPは日本のゲームファンにも根強い支持がある。今回の組織再編とリストラによって、これらのスタジオの開発リソースや今後のリリース計画に影響が生じる可能性は否定できない。

Microsoftはゲームを自社ハードだけでなくPC・モバイル・クラウド(Xbox Cloud Gaming)でも展開する戦略をとっており、日本においてもGame Pass経由でタイトルを楽しんでいるユーザーへの影響が注目される。

筆者の見解

XboxはZeniMaxやActivision Blizzardといった大型買収を経て、世界規模のファーストパーティスタジオ群を擁するまでになった。そのポテンシャルを誰もが認めていただけに、「スタジオを適切に支援できていなかった」と自ら認めざるを得ない状況は、率直に言ってもったいない。

「リセット」という言葉は、方向性としては正しいかもしれない。規模の大きさが必ずしも競争力に直結しないという事実を直視し、選択と集中に舵を切るのは遅きに失した感はあるが、今からでも意味はある。MicrosoftにはAzureやM365という盤石な事業基盤がある。Xboxが「ゲームファンのためのMicrosoftブランド」として再び存在感を示すためには、買収した才能をきちんと育てる仕組みと、ヒット作を世に送り出すまでの長期的なコミットメントが不可欠だ。

ナデラCEOが「持続可能なビジネス」を強調したのは現実的な視点だが、ゲームは短期的な採算だけでは計れない文化的事業でもある。財務規律と同時に、クリエイティブへの長期投資という視点も失わないでほしい——そのポテンシャルは間違いなく持っているのだから。


出典: この記事は Xbox Game Studios chief reportedly steps down as layoffs loom の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。