Microsoft Teamsは2026年6月30日、パンデミック期に一世を風靡した会議レイアウト機能「Together Mode(一緒モード)」を正式に廃止する。カスタムシーンや座席割り当て機能も含めて完全削除され、マルチ参加者会議のレイアウトはギャラリービューに一本化される。

Together Modeとは何だったか

Together Modeは2020年7月、新型コロナウイルス禍でリモートワークが急拡大した時期にリリースされた。AIが参加者の頭部と肩を背景から切り抜き、「会議室」「講堂」「カスタムブランド空間」などの共有仮想シーンに合成して表示する機能だ。

当時の印象は強烈だった。「同じ空間にいる感覚」を演出する仮想会議室は、ビデオ疲れが社会問題化しつつある中で心理的な効果を謳い、企業のオールハンズミーティングやイベントでブランデッドシーンとして活用されるケースも多かった。

なぜ今廃止されるのか

MicrosoftはMicrosoft 365 Insider投稿の中で廃止の理由を「会議レイアウトの簡素化、バックエンド複雑性の削減、ビデオ品質・安定性・パフォーマンス向上への開発リソース集中」と説明している。

率直に言えば、Together Modeはリモートワークの新鮮さがあった2020〜2021年に最もフィットした機能だ。ハイブリッドワークが定着した現在、会議での「見た目の演出」よりも「会議の実質的な効率化」が求められるようになっている。AI要約、インタラクティブな会議エージェント、スマートリキャップといった機能開発に注力している現状を踏まえると、Together Modeへのリソース投入を継続する理由がなくなっていたとも読み取れる。

廃止後の代替手段

6月30日以降、Together Modeのトグルはビューメニューから削除される。シーン・座席割り当て機能も同時に消える。

残る主な選択肢は以下の通りだ:

用途 代替手段 注意点

マルチ参加者表示 ギャラリービュー 共有シーンなし、個別タイル表示

特定話者の前面表示 スポットライト シーン合成なし

背景を統一したい 仮想背景(個人設定) 全員が同一シーンには見えない

ブランデッドイベント空間 代替手段なし(要検討) Together Modeでのみ実現可能だった

特に企業のブランデッドシーンを構築していた組織には直接の代替手段がなく、別のアプローチを模索する必要がある。

管理者が今すぐやるべきこと

棚卸し(今すぐ実施)

  • Together Modeを使用しているカスタムシーンの一覧を作成する
  • Together Modeが設定された定期会議・テンプレートを特定する
  • イベント担当者・総務部門にTogether Mode廃止を通知する

ドキュメント更新(6月30日まで)

  • 社内ドキュメント・イベントランブックからTogether Modeの記述を削除する
  • Teams研修資料を更新する
  • 定期会議・Webinarテンプレートの設定を確認・修正する

Together Modeを一度も使っていない組織は特段の対応は不要だ。影響を受けるのは主に、カスタムブランドシーンを作り込んでいた組織や、オールハンズ・大規模社内イベントで活用していた組織に限られる。

日本のIT現場への影響

日本の現場では、Together Modeを本格活用していた組織は多くないというのが実感だ。ビデオ会議の定番レイアウトはギャラリービューのままで、Together Modeはデモや一時的なイベントで試した程度という組織が大半だろう。

注意が必要なのは、オールハンズや社内全社会議でカスタムシーンを作り込んでいた場合だ。こうした組織が6月30日の締め切りを見落とすと、定例の全社会議当日にレイアウトが突然切り替わる混乱が起きる可能性がある。Teamsの管理者は今月中に設定を確認し、関係者への周知を済ませておくことを強く推奨する。

筆者の見解

Together Modeは、パンデミック期の閉塞感の中で「一緒にいる感覚」を演出する試みとして、当時は評価されるべき機能だった。ただ、ハイブリッドワークが当たり前になった今、グラフィカルなシーン合成よりも「会議の中身の効率化」に需要は完全にシフトしている。廃止のタイミングとしては理にかなっている。

その上で注目したいのは、削除されたリソースがどこに向かうかだ。Microsoftが説明するとおり「ビデオ品質・安定性・パフォーマンス」への投資に充てられるのであれば、これは正しい選択だ。Teams会議のビデオ品質や接続安定性はまだ改善の余地があり、派手な機能追加と並行して基盤品質の地道な積み上げを続けることこそが、Teamsをビジネスの基盤として使い続けられる根拠になる。

AI会議アシスタントをはじめとした付加価値機能の充実も歓迎だが、まずは「普通の会議が快適に動く」という土台があってこそだ。Microsoftにはその両輪をしっかり回し続けてほしいと思っている。


出典: この記事は Microsoft Teams Retires Together Mode in June 2026 の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。