Microsoftが「Microsoft Teams Live Events」を2026年6月30日付けで正式廃止することを確認した。社内放送・全社総会・ウェビナーといった大規模配信を担ってきた同機能は「Teams Town Halls」へ切り替えが必要となり、日本企業のIT管理者には早急な対応が求められる。
何が、いつまでに廃止されるのか
Microsoftは段階的なスケジュールを公開している。
日付 変更内容
2026年2月3日(実施済み) 廃止日以降の新規Live Events作成が不可に
2026年6月30日 Teams Live Events 完全廃止
同時期 Microsoft Graph APIの関連エンドポイントも廃止
廃止の対象はTeams Live Eventsの機能本体だけでなく、Graph APIを通じたイベント管理・自動化のエンドポイントも含まれる。社内ツールやPower Automateフローで組み込んでいる場合は特に注意が必要だ。
後継機能「Teams Town Halls」とは
Microsoftが移行先として正式に指定しているのが「Teams Town Halls」(タウンホール)だ。大規模仮想イベント向けに設計されており、以下のような用途に対応する。
- 全社員向け経営アナウンス・CEO講話
- 社内研修・トレーニングセッション
- 顧客向けウェビナー・製品発表
- 定期的な全社ミーティング(All-Hands)
Town HallsはLive Eventsと比較してUI・UXが刷新されており、主催者・参加者双方の操作性が向上している。また、Microsoftはイベント管理自動化向けの代替Graph APIも提供しているため、既存の連携をそのまま移植することもできる。
移行前に確認すべき5つのポイント
移行プロジェクトが「突然急ぎ」になる典型例がこのタイプの廃止だ。早めに以下を棚卸しておきたい。
1. 6月30日以降の予定イベント 組織カレンダーを確認し、Live Events形式で登録されているものをすべて洗い出す。年次総会・四半期報告など定例化しているものを見落としがちなので注意。
2. 社内コミュニケーション施策との統合 広報・人事・経営企画が「Live Eventsを使う」と想定している施策がないか確認。IT部門だけで完結する話ではない。
3. ウェビナープロセスの棚卸し 外部向けウェビナーをLive Eventsで運用していた場合、参加登録フォームや招待メールのテンプレートごと切り替えが必要になる。
4. Graph APIを使った自動化・連携の有無 Power Automate、Logic Apps、カスタムアプリからLive Events APIを呼んでいるフローが存在しないか確認し、代替APIへの移行を計画する。
5. ユーザートレーニング 主催者(司会担当・IT担当者)は Town Hallsの操作を事前に習得しておく必要がある。本番直前の初見操作は禁物。
あわせて確認——SharePoint/OneDriveのスタンドアロンプラン廃止
Teams Live Events以外にも、同時期に重要な変更がある。MicrosoftはSharePoint OnlineとOneDrive for Businessのスタンドアロン(単体)プランを段階的に廃止する予定だ。
- 2026年6月: スタンドアロンプランの新規販売終了
- 2027年1月: 更新(リニューアル)終了
- 2029年12月: 完全廃止
現時点でSharePointまたはOneDriveのスタンドアロンプランのみを契約している組織は、Microsoft 365スイートへの移行計画を早めに立てておくべきだ。なお、Microsoft 365 Business BasicやE1以上のプランにはSharePoint・OneDriveが含まれているため、該当する組織は多くないかもしれないが、念のための確認を推奨する。
日本のIT管理者にとっての影響
日本企業でTeams Live Eventsが使われているシナリオとして多いのは、全社員向けの経営説明会や人事施策の告知イベントだ。こうしたイベントは頻度は低くても重要度が高く、失敗した場合のインパクトも大きい。
Town Hallsへの切り替え自体は技術的にそれほど難易度は高くないが、「どのタイミングで試験運用するか」「承認フローや運用手順書をどう更新するか」といった非技術的な調整の方がむしろ時間がかかる。6月30日まで残り2週間を切った現時点では、今月の大規模イベントを急いで確認し、7月以降に予定されているものはすべてTown Hallsに作り直すのが現実的な対処だ。
筆者の見解
Microsoft 365は、個別機能を点で使うのではなく、プラットフォームとして面で使ったときに価値が最大化する——これは長年変わらぬ持論だ。Town HallsはLive Eventsの単純な後継機能ではなく、TeamsのMeetingやウェビナー機能と整合性の取れた「大規模配信の統合点」として設計されている。この方向性は正しいと思う。
ただ、Microsoftの廃止アナウンスは往々にして、現場が本当に困るタイミングで現実として牙をむく。今回もすでに「2月から新規作成不可」という段階を経ており、気づいていなかった組織は今がラストチャンスだ。Microsoft 365のロードマップを継続的に追うことは「情報追いのための情報追い」になりがちで筆者は推奨しないが、廃止情報だけは例外として押さえておきたい——業務が止まってからでは手遅れになる。
Town Hallsへの移行を機に、「Live Eventsを誰がどのように使っていたか」を組織全体で棚卸しするいい機会でもある。統合プラットフォームとしてのTeamsを正しく活用する足がかりとして活用してほしい。
出典: この記事は Microsoft Teams Live Events Retirement on June 30, 2026 – What You Need to Know の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。