Microsoftは2026年6月、Windows 11 25H2のインストールメディアをビルド26200.8655に静かに更新した。Media Creation Tool(MCT)から作成するUSBメモリやISOファイルに、6月10日のPatch Tuesdayで配信されたセキュリティ修正と品質改善がすべて組み込まれており、クリーンインストール直後に大量のアップデートをダウンロードする手間が省けるようになった。

何が変わったのか

今回の「メディアリフレッシュ」とは、Windowsのインストールメディアそのものに最新の累積アップデートを焼き込む作業だ。従来、MCTで作成したUSBメモリは初期ビルドのまま配布されることが多く、インストール直後にWindows Updateが何GBもの差分を落とし、複数回の再起動を要求するという状況が日常だった。

新しいビルド26200.8655には以下が含まれている:

  • 2026年2月〜6月分のPatch Tuesdayセキュリティ修正(カーネル・ネットワークスタック・グラフィクスサブシステム等の脆弱性対応)
  • Secure Boot証明書の失効更新(KB5036210)——BootkitマルウェアBlackLotusへの対抗措置として、脆弱なブートマネージャーを初期状態からリボークする
  • Intel・AMDプロセッサ向けマイクロコードアップデート(サイドチャネル攻撃対策)
  • File Explorerの表示不具合やマルチモニター時のスタッタリング等の品質修正

ITエンジニア・管理者への実務的な意味

クリーンインストール運用の効率化

PCの初期セットアップを複数台まとめて実施するIT管理者にとって、メディアのベースラインが古いことは「見えないコスト」として蓄積する。1台あたり30〜60分かかっていたWindows Update待ちが、最新メディアを使うことで大幅に短縮できる。

とくに企業のPC入れ替え・オンボーディング作業が集中する時期には、このリフレッシュの恩恵が現れやすい。

Secure Bootの重要性

BlackLotusが示したように、Secure Bootの証明書失効が古いままのメディアからインストールすると、セットアップ完了直後から「保護されていない状態」が生じる。KB5036210の同梱は、この空白時間を潰す意味で正しい判断だ。

Secure Bootを「デフォルトで有効化する方向」に持っていくための地道な施策として評価できる。

メディアの取得方法

Microsoftの公式ダウンロードページからMCTを再ダウンロードするだけで自動的に最新ビルドが作成される。すでにUSBメモリを手元に持っている場合は、作り直しを推奨する。既存メディアのビルド番号は、ブート後のwinverまたはインストールISOのプロパティで確認できる。

実務での活用ポイント

  • 展開用ゴールデンイメージの更新タイミングとして活用: 毎月のPatch Tuesdayの翌週にMCTを再実行し、ゴールデンISOを刷新するサイクルを確立すると、差分更新の手間が最小化できる
  • USB作成後にビルド番号を必ず記録: 複数のUSBが混在する現場では、インストール後にwinverで確認するよりも、ラベルや管理台帳にビルド番号を記しておくほうが確実
  • Secure Boot有効化の社内標準化をこの機会に: 新しいメディアはSecure Boot前提の構成がより整合的になっている。まだSecure Bootをオフにしている端末が残っていれば、棚卸しのきっかけにしたい

筆者の見解

Windowsの細かい動向を毎回追うことの意義が問われる時代になったとはいえ、メディアリフレッシュのような地味な改善は着実にIT現場の生産性に効いてくる。こういう「裏方の丁寧な仕事」こそ、Microsoftが積み上げてきた運用品質の真骨頂だと思っている。

とくにSecure Bootの証明書失効をメディアに同梱する動きは、セキュリティを後付けではなくデフォルトに組み込むという正しい方向性だ。ゼロトラスト的な発想でいえば、「インストール直後が最も無防備な瞬間」を潰していくこのアプローチは評価したい。

欲を言えば、このメディアリフレッシュのタイミングと内容を、もう少し明示的にアナウンスしてほしい。今回も「静かに更新」されており、IT管理者が気づかず古いメディアを使い続けるケースは十分に起こりうる。Microsoftには、こういう地道な改善をもっと堂々と伝える発信力が必要だと感じる。良いものを作っているのだから、正面から伝えてほしい。


出典: この記事は Windows 11 June 2026 Media Refresh: New USB Install Baseline 25H2 (26200.8655) の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。