米テクノロジーメディア「Tom’s Guide」のAmanda Caswell氏が、Googleが静かに展開している新しいプライバシー設定「Search Services History」について詳細を報告した。この設定はデフォルトで有効化されており、AI機能を利用する際に送信した画像・音声・動画がアカウント履歴に保存される可能性があるとして、設定の確認を呼びかけている。
Search Services Historyとは何か
Search Services HistoryはGoogleのActivity Controls内に新設された設定だ。AIを活用したGoogleの各種サービスを利用する際に送信したメディアを記録する目的で設計されており、主に以下のコンテンツが対象となる。
- 視覚的入力: Google Lensやビジュアルサーチツールにアップロードした写真
- 音声クリップ: リアルタイム音声インタラクションや音声検索に使用した録音
- リッチメディア: マルチモーダルAI分析のために送信した動画
- AIコンテキスト: 対応AIサービスで共有したその他の個人メディア
Googleはこのデータをサービス改善に活用するとし、個人識別情報を削減するための保護措置も適用されると説明している。ただし、Tom’s GuideのCaswell氏が指摘するように、「こうしたやり取りをそもそも保存されたくない」ユーザーも少なくない。
Tom’s Guide推奨の「20秒の対処法」
Caswell氏の記事では、設定変更の具体的な手順が紹介されている。
- Googleアカウントの設定ページを開く
- 「データとプライバシー」タブに移動し、「アクティビティ管理」を開く
- 「Search Services History」を探す
- 「メディアを保存」というサブオプションを見つける
- これをオフに切り替える
Caswell氏は「この操作は1分以内に完了する」と述べており、AIサービスを日常的に使うユーザーには即座に確認することを勧めている。
「全部オフ」には注意が必要
プライバシー対策としてよく見かける「Web & App Activity(ウェブとアプリのアクティビティ)を完全無効化する」というアドバイスについて、Tom’s Guideは慎重なスタンスを取っている。完全無効化すると以下の機能に影響が出るためだ。
- 検索履歴やオートコンプリートの精度低下
- Googleマップのパーソナライズされたルートショートカットの消失
- スマートフォンのGoogle Discoverが個人に合わせた表示をしなくなる
- アカウント全体の継続的なパーソナライゼーションが止まる
Caswell氏は「Search Services History内のメディア保存トグルだけをオフにするのが最も実用的な妥協点」と評価しており、日常的な利便性を損なわずにプライバシーを守れる手段として推薦している。
日本市場での注目点
Search Services Historyの設定変更はGoogleアカウントを持つ全ユーザーが対象であり、日本のユーザーも例外ではない。Googleのアクティビティ管理画面は日本語化されているため、上記の手順をそのまま日本語UIで実施できる。
Google LensやGemini、音声検索を日常的に使っている人は特に確認しておく価値がある。また企業のIT管理者にとっては、業務端末でのAI機能利用に関するプライバシーポリシー見直しのきっかけとなる事例でもある。
筆者の見解
今回の件で気になるのは、デフォルトが「オン」になっている点だ。AIの精度向上にデータが必要という理屈はわかるが、変更が必要だと気づかないまま使い続けるユーザーが大半を占めるとすれば、「知らないうちに同意させている」構造に近い。設定変更の窓口があること自体は評価できるが、デフォルト選択の設計思想には疑問を感じる。
実用的な観点では、Tom’s Guideの示す「全体をオフにするのではなく、メディア保存だけをオフにする」アプローチは非常に理にかなっている。全部禁止すると利便性が損なわれ、最終的にユーザーが設定を元に戻してしまう——禁止策が逆効果になるパターンそのものだ。必要最小限の設定変更で実用性とプライバシーを両立する、という発想は今後のAIサービス時代の基本リテラシーになっていくだろう。
AI機能が日常に深く浸透するほど、今回のような「静かな設定変更」は増えていく。プライバシー設定を定期的に見直す習慣そのものが、これからの時代に求められるリテラシーになってきている。
出典: この記事は Google just changed a major privacy setting — here’s the switch I turned off immediately の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。