ソニーは、2016年のWH-1000X発売から数えて10周年を記念する最上位モデル「1000X THE COLLEXION」を発表した。米オーディオ専門メディアeCousticsのW. Jennings記者が詳細を報じており、価格は649ドル。既存のWH-1000XM6より明確に上位に位置付けられたこのモデルは、ANC性能だけでなく素材・設計思想の両面でプレミアム市場への本格参入を宣言するものだ。

なぜ「1000X THE COLLEXION」が注目されるのか

ANCヘッドフォン市場は今や「フラッグシップ戦争」の様相を呈している。ソニー、Bose、Apple、Beats、Sennheiserが数千億円規模の市場を争い、空港ラウンジから都市のカフェまで、ANCヘッドフォンは移動のインフラとなった。もはや「ノイズキャンセリングがある/ない」では差別化できない時代だ。

そうした中、ソニーが「XM6のさらに上」を設定してきた意味は大きい。技術性能だけでなく、素材・装着感・視覚的完成度という、これまで競合ブランドに一歩譲っていた領域を正面から攻めてきた点が本モデルの核心といえる。

スペック詳細:内側も外側も刷新

項目 仕様

ドライバー 40mm 単方向炭素繊維ダイアフラム(新設計)

チップセット V3(新世代)

Bluetooth 6.0(LC3 + LDAC対応)

バッテリー 24時間(ANCオン時)

重量 320g

素材 ステンレス(ヘッドバンド・ヨーク・ボタン・ジャック部)+レザーイヤーカップ

カラー プラチナホワイト / ブラック

価格 649ドル

内部では銅厚基板・低層化構造によって抵抗を低減し、歪みの改善と過渡応答の高速化を図っている。業界初のEdge-AI音楽アップスケーリング技術「DSEE Ultimate」に加え、ミュージック・ゲーミング・シネマの3つの空間オーディオモードを搭載。エンタメ全域をカバーする構成となった。

海外レビューのポイント

eCousticsのW. Jennings記者は、自身がWH-1000XM6を実際にレビューした経験を踏まえてTHE COLLEXIONを評価している。

評価されている点

  • ステンレス仕上げによる「宝飾品になりすぎない」上品なプレミアム感
  • 320gの重量に対してヘッドバンド形状が均等分散設計されており、長時間装着を意識した作り
  • 炭素繊維ドライバーと新V3チップの組み合わせによる、より低歪み・高DSP余裕度の設計
  • マグネット式クロージャーと専用キャリーハンドルを備えた新デザインのケース

気になる点

  • W. Jennings記者は過去のレビューで、同価格帯の代替としてFocal・Master & Dynamic・Bowers & Wilkins・Apple AirPods Maxを挙げており、「ANCではソニーが優位でも、エルゴノミクスとデザイン完成度では競合が先を行く」との見解を示している
  • バッテリー駆動時間はWH-1000XM6を下回る点が言及されている(詳細な比較数値は記事では非開示)

日本市場での注目点

想定価格帯: 649ドルは現在の為替(1ドル≒145円)で約94,000円。Apple AirPods Maxが99,800円、WH-1000XM6が54,000円前後であることを踏まえると、ソニー自社ラインナップでXM6とAirPods Maxの間に位置する価格帯となる。

国内発売時期: 本稿執筆時点(2026年6月)では国内発売日・価格は未発表。ソニーは自社ブランドのため、グローバル発表から比較的早期に国内展開される可能性が高い。ソニーストア・量販店での取り扱い開始を注視したい。

競合比較: 同価格帯ではAirPods Maxが最大の競合となる。純粋なANC性能・コーデック対応ではソニーが依然として優位にある一方、Appleデバイスとの連携・デザイン完成度ではAirPods Maxが強い。Bose QC Ultra HeadphonesはANC重視ユーザーへの有力な対抗軸として引き続き存在感を持つ。

筆者の見解

ソニーが「XM6の真上」に新モデルを設けてきたことは、ANCヘッドフォン市場が単なるノイズキャンセリング競争を超えたことの証左だ。FocalやMaster & Dynamicが素材・装着感で高評価を集め、AirPods Maxがエコシステム統合で圧倒的支持を得る中、ソニーがプレミアム素材と内部刷新を同時に断行してきた姿勢は評価に値する。

eCousticsが指摘するように、WH-1000XM6は音質とANCで最前線にありながら、装着快適性とデザインで減点されてきた歴史がある。THE COLLEXIONがその課題を実際に解消できているかどうかが最大の焦点だ。649ドルという価格は「踏み込む意志があれば払えるが、失敗は許されない」水準であり、国内での詳細なハンズオンレビューが出た段階で判断するのが賢明だろう。

Bluetooth 6.0とLC3コーデック採用は技術的に正しい方向性で、今後のデバイスとの親和性を見越した選択といえる。10周年という節目に「勝負をかけた」ことは伝わるし、ソニーがこの市場で主役であり続けようとしている点は素直に応援したい。実機の評価次第では、ANCヘッドフォンの基準を一段引き上げる存在になりうる。

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出典: この記事は Sony Launches 1000X THE COLLEXION: 10th Anniversary Flagship ANC Headphones at $649 の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。