Summer Game Festが幕を閉じた2026年6月10日、Engadgetは「Xboxの現状が深刻だ」と伝えるニュースを報じた。Xbox新CEO・アシャ・シャーマ氏とチーフコンテンツオフィサー(CCO)のマット・ブーティ氏が社員に向けた公開書簡を発表し、シャーマ氏の就任100日を節目として、Xboxが直面する厳しい現実を率直に語った内容だ。
5年で200億ドル投資、それでも売上は半減
Engadgetが伝えた書簡の核心は、驚くべき財務データだ。「Activision Blizzard Kingを除くと、過去5年間でコンテンツ・プラットフォーム・ハードウェア補助に200億ドル(約3兆円)以上を投資したにもかかわらず、年間収益は約5億ドル減少した」と両氏は明言。そのうえで「今後はこの状況を続けることができない」と断言している。
ハードウェア面では「RAMageddon(RAMゲドン)」と呼ばれる部品調達問題の影響も認めており、「プレイヤーが購入したい数だけコンソールを製造できていない」という現状を公式に認めた。次世代コンソールのコードネーム「Project Helix(プロジェクト・ヘリックス)」への取り組みは継続しつつも、ハードウェア事業の新たなビジネスモデルとパートナーシップが必要だと述べている。
スタジオ大量買収のツケ——「手を広げすぎた」
もうひとつの大きな問題は、2010年代後半に進めてきた大量のスタジオ買収だ。書簡の中で両氏は「戦略の変化を実行する中で、自分たちは手を広げすぎてしまった」と率直に認めている。良質なゲームが溢れ、他のエンターテインメントコンテンツとの競争も激化するなかで、「今後の競合相手は(他社ではなく)ユーザーの『注意・関心』だ」という一文が印象的だ。
7月のレイオフが現実味——Bloombergも追跡報道
Engadgetによれば、書簡自体はレイオフを明言していないものの、Bloombergの報道では「相当規模の人員削減が近い」と複数の情報源が証言している。マイクロソフトの会計年度終了(6月30日)後の7月にも始まる可能性があるという。Xboxはすでに2024年・2025年にも数千人規模のレイオフを経験しており、今回で3年連続となる可能性がある。
日本市場での注目点
日本市場において、Xboxは長年PlayStation・任天堂が圧倒的なシェアを持つ市場で奮闘し続けてきた。今回の公開書簡が示すような経営の不安定さは、国内ゲーマーにとって「今後のソフト供給やサービス継続性」への不安材料になりうる。
Xbox Game Pass(現Microsoft Gaming Pass)は日本国内でも提供されており、大型タイトルのPC・コンソール同日配信は引き続き魅力的なサービスだ。ただしスタジオ閉鎖やタイトルキャンセルが続くようであれば、ラインナップの質にも直接的な影響が出かねない。次世代機「Project Helix」の正式発表と日本向けの展開方針が、今後の重要な注目点となるだろう。Xbox Series X/Sは現在も国内で入手可能だが、次世代移行期のサポート継続性についても目を向けておきたい。
筆者の見解
今回の公開書簡を読んで率直に感じるのは「もったいない」という言葉に尽きる。XboxにはGame Passというサブスクリプションの先駆的モデルがあり、Activision Blizzard Kingの買収によって業界屈指のコンテンツIPを持つ状況になったはずだった。その状態で5年間に200億ドルを投じ、売上が逆に下がるというのは、戦略そのものよりも「実行」のどこかに根本的な問題があったと見るべきだろう。
新CEO・シャーマ氏が就任100日で「現実を直視した書簡」を公開したこと自体は、誠実なスタートだと思う。問題の深刻さを社員と共有し、「このままでは続かない」と明言できる姿勢は、前進するための第一歩として評価できる。
ただし、これが本当の転換点になるかは実行次第だ。Engadgetも指摘するとおり、今夏にレイオフが行われても即座の解決策にはならない。数年がかりで積み重なった問題は、解消にも相応の時間がかかる。「Project Helix」でハードウェアのビジネスモデルを刷新し、集中投資によって質の高いオリジナルIPを育てられるか——Xboxが次のフェーズでその実力を発揮できることを、引き続き期待したい。
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出典: この記事は Xbox CEO says current margins ‘cannot continue’ in public letter to staff の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。