米The Vergeが6月10日(現地時間)に報じたところによると、Frameworkが開発中のモジュラー設計ノートPC「Framework Laptop 13 Pro」の初回出荷が、当初予定の6月末から約1カ月遅れて7月末へずれ込むことが明らかになった。一部ユニットは8月初旬にまでずれ込む可能性があるという。

遅延の原因:2つの設計問題

Frameworkが事前注文者へ送付したメールによれば、遅延の原因は2点に集約される。

ハプティックトラックパッドの回路基板設計問題 サプライヤーのLite-OnおよびBoréasと共同で開発されたハプティックトラックパッドで、回路基板の電気的グラウンド(接地)に不具合が発見された。繰り返しクリックするとトラックパッドがリセットされる現象が確認されており、内部では既に十数回のファームウェア改訂が行われていた。しかし根本的な解決には基板設計の変更が必要と判断され、新しい回路基板が用意できるまで全出荷を保留している。

独自ディスプレイのファームウェアバグ ディスプレイサプライヤーのCSOTと共同開発したカスタムディスプレイにも、量産立ち上げ段階でバグが発見された。修正ファームウェアの準備はトラックパッドの新基板と同時期に完了する見込みとのこと。

なお、Intel Core Ultra Series 3(Panther Lake)のメインボードや、トラックパッド・ディスプレイを含まないモジュールの出荷は予定通り進む。

出荷スケジュールの整理

バッチ 変更前 変更後

第1バッチ 6月末 7月末〜(一部8月初旬)

第2バッチ(旧7月出荷) 7月 8月

以降のバッチ 8月 8月〜(一部9月初旬)

Frameworkは「8月の最終バッチが9月初旬にずれ込む可能性は残るが、それ以上の遅延連鎖は想定していない」としている。また、キャンセルを希望するユーザーには事前注文の保証金が全額返金される。

なぜFramework Laptop 13 Proは注目されているのか

Frameworkは「ユーザー自身が修理・アップグレードできる権利」を正面から訴えてきたメーカーだ。13 Proは同社初の「Pro」グレード製品として、MacBook Proを意識したプレミアムポジショニングが明確に打ち出されている。The Vergeはこの製品を「LinuxユーザーのためのMacBook Pro」と表現しており、特にLinuxを日常的に使う開発者・エンジニア層から強い関心を集めている。

ハプティックトラックパッドの採用はこれまでのFramework製品にはなかった要素であり、MacBookで培われてきた操作感をLinux環境でも実現しようという意欲的な挑戦だ。今回の遅延はまさに「新しいことをやろうとした結果」とも言える。

また、The Vergeによれば、同誌によるLaptop 13 Proのレビュー公開もこの遅延を受けて7月以降にずれ込むとのことで、6月に新しいPanther Lakeメインボードを入手したユーザーは、13 Pro固有の性能評価を参照できない状況が続くことになる。

日本市場での注目点

Frameworkの製品は日本では公式の正規代理店販売がなく、個人輸入または海外発送対応のリセラー経由での入手が一般的だ。国内での価格は関税・送料込みで15万〜20万円台以上になるケースが多い。

競合として意識されるのはApple MacBook Pro 14インチ(M4)や、ThinkPad X1 Carbon Genシリーズあたりだろう。これらは日本でも正規流通・公式サポートが充実しているのに対し、Framework製品は「自分でメンテできる」「特定のコンポーネントだけ交換できる」という点で異なる価値を提供している。

今後のLinux互換性やドライバー対応状況は、国内の開発者コミュニティでも注目されるポイントになりそうだ。7月以降に公開される各誌のレビューを待ちたい。

筆者の見解

今回の遅延は、Frameworkが「品質を理由に出荷を遅らせる判断ができる企業である」ことを示した点で、むしろポジティブに評価できる側面がある。ハプティックトラックパッドは体験品質に直結するコンポーネントだけに、中途半端な状態で出してしまえば「Frameworkクオリティ」への信頼を大きく損ないかねない。早期の顧客コミュニケーションと全額返金の提示も誠実な対応だと感じる。

ただし、「モジュラー設計で自由に交換できる」を売りにしている企業として、ハプティックトラックパッドという新要素が初期品質問題を引き起こした点には注目しておきたい。複雑な触覚フィードバック機構を自社設計に組み込む難易度は高く、今後のファームウェア安定化までの道のりも気になるところだ。

7月以降に出揃うであろうThe VergeやNotebookCheckなどの本格レビューで、実際の使用感がどう評価されるかを注視したい。


出典: この記事は Framework delays its first Laptop 13 Pro shipments by a month の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。