米テクノロジーメディア The Verge は2026年6月11日、分散型SNS「Bluesky」が今年中に「コミュニティ(Communities)」機能を導入すると報じた。Blueskのプロダクトヘッドを務めるAlex Benzer氏が公式スレッドで詳細を明かした内容をもとに、同機能の概要と意味を整理する。
コミュニティ機能の概要
Benzer氏によれば、コミュニティは「同じことに興味を持つ人たちとより深くつながれる小さなスペース」として設計される。ユーザーはコミュニティを作成・参加し、そこに投稿したり更新情報を受け取ったりできる。
各コミュニティには「URLを兼ねるハンドル名」が付与され、そのURLにアクセスするとコミュニティ専用のホームページが表示される仕組みだ。ビルダーが完全にカスタマイズしたページを用意することも可能とされている。プライバシー設定はパブリック/招待制/プライベートの3段階が用意され、コミュニティごとに専用フィードも持つ。
なぜ今「コミュニティ」なのか
注目すべきは、この機能が単なるグループ機能ではなく、Blueskyの基盤技術であるAT Protocol(分散型プロトコル)の上に構築される点だ。Benzer氏は「Atmosphereアプリやツールと組み合わせることで、誰でもコミュニティを自由にカスタマイズし機能を追加できる」と説明している。コミュニティはBluesky本体だけでなくオープンウェブ上にも存在し、サードパーティアプリが介入できる。特定のプラットフォームに囲い込まれない、真の意味での「オープンコミュニティ」を目指している点が技術的な革新性と言える。
この方針はBlueskyCOOのRose Wang氏が先週語った内容とも符合する。Wang氏は「パブリックスクエアから脱却したい」とし、Redditを強くインスパイアとして挙げた。一方、MetaのThreadsも現在コミュニティ機能をテスト中で、Xは4月に独自のコミュニティ機能の廃止を発表している。SNS各社が「大広場から小広場へ」というトレンドを追いかける中、Blueskyはオープンプロトコルという差別化軸で勝負する格好だ。
日本市場での注目点
Blueskyは日本語ユーザーの間でもすでに一定の存在感を持つSNSだ。特に2023〜2024年のX(旧Twitter)離れの流れを受けて、研究者・エンジニア・クリエイター層を中心に利用が広がっている。
コミュニティ機能が加わることで、これまでBlueskyに欠けていた「サブカルチャーや専門分野ごとの深掘り議論の場」が整備される。日本でいえば技術勉強会コミュニティや同人・創作クラスタがこの機能を活用する場面が想定される。
現時点で日本向けの具体的な展開スケジュールは発表されていないが、AT Protocolの特性上、日本語対応サードパーティクライアントでも機能を利用できる可能性が高い。2026年内のリリースを見据え、動向を追う価値がある機能と言えるだろう。
筆者の見解
Blueskyのコミュニティ機能で個人的に興味深いのは、「コミュニティ自体もプロトコル上のオブジェクトとして存在する」という設計思想だ。Redditのサブレディットは完全にRedditの資産だが、AT Protocol上のコミュニティはプラットフォームをまたいで参照・連携できる可能性を持つ。
「プラットフォームが盛衰しても、コミュニティはデータとして残り続ける」——この発想は、これまでSNS移行のたびにコミュニティが消滅してきた歴史を踏まえると、非常に筋がいい方向性に思える。
一方で、機能の複雑化はBlueskyの「シンプルさ」というブランドイメージとのトレードオフでもある。Benzer氏も「コアの機能はシンプルに保つ」と明言しているが、サードパーティによるカスタマイズが増えるにつれ、一般ユーザーには使いこなしが難しくなるリスクもある。オープンなエコシステムの強みを保ちつつ、いかに「誰でも使えるシンプルさ」を維持するか——そのバランスが今後の成否を左右すると見ている。
出典: この記事は Bluesky is getting ‘communities’ の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。