LGエレクトロニクスは2026年6月5日、2026年モデルの「LG Micro RGB evo AI」および「LG Mini RGB evo AI」を正式発売したと発表した。LGニュースルームの公式発表によると、Micro RGB evoはCES 2026 Innovation Awardを受賞しており、同社が長年のOLED開発で培ったAI処理技術をLCDプラットフォームに水平展開した戦略モデルと位置づけられている。

なぜこの製品が注目か——MiniLEDの次を狙う「Micro RGB」技術

近年の高級LCD市場はMiniLEDバックライトを軸に進化してきたが、Micro RGB evoはさらに踏み込んだ「Micro RGB」という独自技術を採用する。RGBの各色に独立したLED素子を用い、混色に頼らず純粋なR/G/Bとして発光させることで色純度を高める方式だ。

技術的な肝となるのは、OLEDテレビと同一チップである「α(アルファ)11 AI Processor Gen3」の採用だ。LGは同社の13年以上にわたるOLED開発の知見がこのプロセッサに凝縮されていると説明しており、テクスチャとシャープネスを同時解析する「Dual AI Engine」を搭載する。

TÜV Rheinlandによる「High Purity RGB Spectrum Display」認証、およびIntertekによる「Triple 100 Percent Color Coverage」認証を取得しており、BT.2020・DCI-P3・Adobe RGBという放送・映画・クリエイティブ用途の三大色空間すべてで100%カバレッジを達成している点が特筆される。

スペック概要

項目 Micro RGB evo AI Mini RGB evo AI

バックライト Micro RGB(独自技術) Mini RGB

色空間カバレッジ Triple 100%(BT.2020/DCI-P3/Adobe RGB) Double 100%

プロセッサ α11 AI Processor Gen3 AI処理強化(詳細未公開)

リフレッシュレート Motion Booster 330(最大330Hz) 同左

クラウドゲーミング GeForce NOW(4K/120Hz/HDR) 同左

音声操作 AI Magic Remote(24言語対応) 同左

米国発売価格 75インチ $4,999.99〜100インチ $7,999.99 未公開

海外レビューのポイント

現時点では独立したメディアによる詳細レビューはまだ出揃っておらず、LGニュースルームの公式発表とCES 2026受賞実績が主な情報源となる段階だ。

LGの主張するポイント

  • Intertek認証による三大色空間100%カバレッジは、放送・映画・クリエイティブの三規格を同時に満たす業界最高水準と主張
  • OLEDと同等のプロセッサ採用により、LCD特有の色のにじみや偽色を抑制
  • 最大330HzのMotion Booster 330でゲーム用途にも幅広く対応
  • GeForce NOWとのネイティブ連携で4K/120Hz/HDRのクラウドゲーミングをサポート
  • LG Shieldによるユーザーデータ保護機能も搭載

留意すべき点

  • LCDである以上、OLEDの真の黒表現やローカルディミング性能には構造的な限界がある
  • 「Micro RGB」技術の詳細な構造やパネル製造元はまだ非開示
  • 独立した第三者レビューが揃う前の段階であり、実映像品質の評価はこれから

日本市場での注目点

米国での価格は75インチが$4,999.99(約75万円)、100インチが$7,999.99(約120万円)と、OLED 8Kクラスに匹敵する超高級帯だ。日本での正式な発売時期・価格はまだ発表されていない。

競合となるのはSamsung「Neo QLED 8K」シリーズやソニー「BRAVIA 9」シリーズといった100万円前後の大画面フラグシップ群だ。また最大330HzというリフレッシュレートはPCゲーマー層にも刺さる仕様であり、大型ゲーミングモニター市場との競合も視野に入る。

クリエイティブ用途でBT.2020とDCI-P3の双方に対応できる大画面環境を求めるプロフェッショナルにとっては、LCDならではの焼き付きリスクのなさと合わせて一つの現実的な選択肢となりえる。

筆者の見解

Micro RGB evoが興味深いのは、LGがOLEDで長年積み上げてきた資産——AIプロセッサ、色精度のノウハウ、国際認証機関とのルート——をLCDプラットフォームに体系的に転用している点だ。「OLEDか、MiniLEDか」という従来の二択に第三の選択肢を提示しようとする姿勢は評価できる。

ただし、独立したレビューが出揃う前に結論を急ぐ必要はない。「Triple 100%」という認証は色空間の絶対カバレッジを示すものであり、実際の映像体験における精度・視野角・長期安定性は、実機を使い込んだレビューを見てから判断したいところだ。日本市場での価格が発表された段階で、改めて競合製品との総合比較を行いたい。


出典: この記事は LG Electronics Launches 2026 Micro and Mini RGB evo, Advancing High-Purity Color in Premium LCDs の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。