Microsoftは2026年6月、Windows 11のタスクバーとスタートメニューに対し、5年にわたるユーザーの声に応える形で10の新機能を発表した。画面上部・左右への移動が可能になるタスクバーをはじめ、真の意味での小型化やMSNウィジェットフィードの廃止など、長年の批判点が一気に解消されようとしている。

5年越しの決断:移動できるタスクバーがついに復活

Windows 11最大の不満点のひとつが、タスクバーを画面下部から動かせないという制約だった。Windows 10では当たり前にできていたことが突然できなくなり、マルチモニター環境のエンジニアやパワーユーザーから激しい批判を受け続けてきた。Microsoftのフィードバックハブにはこのリクエストが何年もトップに居座り、Tim SweeneyやElon Muskといった著名人もX上でこの問題を訴えるほどだった。

今回の更新で実現する主な機能:

  • タスクバーを画面の上・左・右に自由に配置できるようになる
  • 配置位置に応じてアイコンの整列オプションも自動調整(上部なら左揃え/中央揃え、左右なら上揃え/中央揃え)
  • 縦置きタスクバー+「結合しない」設定により、開いているウィンドウをすべて個別ラベル付きで表示可能
  • 真の小型タスクバー:従来はアイコンサイズの縮小だけだったが、今回はタスクバー自体の高さも縮小される

設定変更は 設定 → 個人用設定 → タスクバー → タスクバーの動作 から行える。なお、自動非表示、タッチジェスチャー、代替位置での検索ボックスはまだ開発中で、初回ロールアウトには含まれない。

タスクバー移動機能は現在Windows Insider Experimentalチャネルで利用可能で、数週間以内に一般向けにも展開される見込みだ。

段階的提供中:Shared Audio(共有オーディオ)

2026年5月のオプションアップデート「KB5089573(ビルド26200.8524)」を適用済みのPCには、Shared Audio(共有オーディオ)機能がすでに段階的に展開されている。

AppleのAirPodsが対応する「オーディオ共有」に相当する機能で、1台のPCの音声を複数のBluetoothデバイスで同時に再生できるようになる。会議室での映像共有やリモートワーク中のコンテンツ共有など、実用的な場面での活用が見込まれる。

スタートメニューの刷新とMSNウィジェット廃止

スタートメニューも大きく改善される。これまでのWindows 11スタートメニューは旧バージョンのほぼ2倍のサイズを占有し、縦方向の画面領域を大きく圧迫していた。今回の刷新でリサイズ可能かつモジュラー構成の新スタートメニューが導入される予定だ。

さらに、天気ウィジェットにカーソルを合わせるたびに割り込んでくるMSNニュースフィードが廃止される。パーソナライズされていない広告的コンテンツをOS標準UIに組み込む設計はユーザーから強く嫌われており、この廃止は多くの人に歓迎されるだろう。

また、WinUIへの内部移行によるパフォーマンス改善も進められており、OSの動作速度そのものが向上する見込みだ。

実務への影響

14インチ以下のモバイルノートPCユーザーにとって、真の小型タスクバーは縦方向の画面領域を実質的に広げてくれる改善だ。特に資料作成や開発作業など、縦スクロールが多い作業環境で恩恵を感じやすい。

マルチモニター環境の管理者・エンジニアは、縦置きタスクバーを副モニターに配置することで、メインモニターの表示領域を最大化できる。縦型タスクバー+「結合しない」表示の組み合わせは、多数のウィンドウを並行管理する開発者に特に有効だ。

Insider Experimentalを試す前の注意点:Experimentalチャネルは実験的機能を含むため、業務PCへの適用は一般向けロールアウトを待つのが無難だ。数週間以内との見込みなので、急いで試す必要はない。

筆者の見解

率直に言えば、今回発表された機能のほとんどはWindows 11リリース当初から用意されるべきものだった。タスクバーの移動制限は多くのユーザーの作業環境を狭め、5年間「仕様」として維持され続けた。MSNウィジェットフィードも、OSのUIにニュースフィードを割り込ませる設計はユーザーの利便性より別の事情が優先されていた印象が拭えない。

とはいえ、遅くともやり遂げることには意味がある。今回の動きは単なる機能追加ではなく、ユーザーの声を正面から受け止めてOSの基盤から見直す姿勢の表れだと思う。WinUIへのパフォーマンス改善も含め、「きちんと動くOSを作る」という基本に立ち返る方向性は正しい。

Microsoftにはこれだけの技術力とユーザーベースがある。この方向性が継続されることを、応援する立場から期待したい。


出典: この記事は Microsoft is bringing 10 new features to Windows 11’s taskbar and Start menu の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。