AMD の最新GPU「Radeon RX 9070 GRE」が米国で発売された。Ars Technica のシニアレビュアー Andrew Cunningham 氏が詳細なレビューを公開し、「$549 を費やすには失望させられる製品だ」と評価した。

なぜこの製品が注目か

「GRE」というサフィックスが、XT や Ti と同様に上位グレードを連想させるにもかかわらず、実態は上位モデルから大幅にスペックを削った廉価版というポジショニングが批判を集めている。正規版 RX 9070 がちょうど1年以上前に同じ $549 で発売されており、Cunningham 氏はこの状況を「GPU 版シュリンクフレーション(Shrinkflation)」と呼ぶ。食品業界で内容量を密かに減らして価格を維持する手法と同じ構造だと指摘した。

もともとは中国市場向けに約1年前から発売されていたカードで、今回が米国での正式デビューとなる。

スペック詳細

項目 RX 9070 GRE RX 9070(上位)

シェーダーコア数 3,072基 3,584基

メモリバス幅 192ビット 256ビット

メモリ容量 12GB GDDR6 16GB GDDR6

メモリ帯域幅 432GB/s 650GB/s

TBP 220W 220W

GPU シリコン自体は上位モデルと同じ Navi 48 を採用しているものの、コア数は約85%、メモリ容量は75%、帯域幅にいたっては約66%という数字だ。ハードウェア構成としては、2023年に $449 で発売された旧世代の RX 7700 XT に近い。

海外レビューのポイント

Ars Technica の Andrew Cunningham 氏のレビューによると、以下の通り評価されている。

評価できる点

  • 上位9070シリーズと同じ Navi 48 シリコンを採用しており、RDNA 4 アーキテクチャの最新世代
  • 8ピン電源コネクタを使用(NVIDIA の一部カードで物議を醸した12ピンコネクタではない)
  • 12GB の VRAM は、軽量タイトルや FSR アップスケーリングを前提にした入門4Kなら対応可能

気になる点

  • 同価格 $549 で購入できる正規版 RX 9070 と比較して、あらゆる指標で明確に劣る
  • 12GB VRAM は、負荷の高いタイトルや将来的なゲームでは制限要因になりうる。4K 高設定では 1440p や場合によっては 1080p に妥協が必要な場面も
  • 16GB VRAM を提供することが RX 9070 シリーズが RTX 5070 に対して持つ競争優位のひとつだったが、GRE ではその強みが失われている
  • 「GRE」という名称が上位グレードに見えてしまい、消費者の誤解を招きやすい

Cunningham 氏は「悪い GPU ではないが、同じ金額でより優れたものが手に入る状況で、これほど明確にスペックダウンした製品を購入するのは難しい選択だ」と結論付けている。

日本市場での注目点

国内での正式発売・価格は現時点で未発表だが、いくつかの点を整理しておきたい。

  • 競合比較: 同価格帯の選択肢として NVIDIA RTX 5070 も候補に入る。RTX 5070 も 12GB VRAM という制約はあるが、DLSS 対応という独自の強みを持つ
  • 正規版 RX 9070 との比較: 国内でも同等価格で両モデルが並ぶ場合、在庫があれば正規版 RX 9070 を優先すべきだろう
  • AI 需要による GDDR6 価格高騰: Cunningham 氏も言及しているが、AI ブームに起因するメモリ価格上昇が GPU 市場全体を直撃しており、これが 12GB 構成採用の背景にある可能性がある
  • 長期運用リスク: 12GB VRAM は現状の重量級タイトルには一応対応できるが、2〜3年スパンで使い続けるとなると 16GB モデルより制限に当たる可能性が高い

筆者の見解

Cunningham 氏のレビューが示すとおり、RX 9070 GRE 自体が「使えないカード」というわけではない。問題の核心は「同じ $549 という価格で、明らかに優れた RX 9070 が存在する」という点にある。

購入判断において「道の真ん中を歩く」なら、同価格帯で選択肢があれば当然スペックが高い方を選ぶべきだ。「GRE」という命名が上位グレードに見えてしまう点も、AMD のマーケティング戦略として疑問が残る。XT や Ti が定着した業界慣習に反する名称付けは、消費者の混乱を招くだけで良いことがない。

12GB VRAM という仕様は、現行タイトルであればまだ許容範囲内だ。しかし、長期運用を前提にするなら、今後の重量級タイトルや AI 機能を使うゲームがメモリを圧迫するシナリオも想定しておきたい。日本市場で入手できる状況になったとき、正規版 RX 9070 が選べるのであれば、価格差がわずかでもそちらを選ぶ判断が無難だろう。

GPU 市場全体を見渡すと、AI 需要によるメモリ価格高騰は今後もしばらく続く見込みで、各社がコスト圧縮のためにスペックを削った製品を投入してくる流れは続く可能性がある。今後の GPU 選びでは、価格だけでなくスペック表をしっかり確認する習慣がこれまで以上に重要になりそうだ。

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出典: この記事は Review: AMD’s Radeon RX 9070 GRE is a disappointing way to spend $549 の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。