Microsoftは2026年7月1日より、Microsoft 365の商用ライセンス価格を大幅に引き上げる。値上げ幅はFrontlineプラン(Teams非同梱)で最大43%、Windows Enterprise(デバイス単位)で31%に達するなど、近年最大規模の価格改定となる。既存顧客は次回更新日まで現行価格が維持されるため、今すぐ対応を始める必要がある。
全SKU値上げ一覧
エンタープライズスイート(Teams込み)
プラン 現行価格 新価格(7/1〜) 変化率
Office 365 E1 $10.00 $10.00 0%
Office 365 E3 $23.00 $26.00 +13%
Office 365 E5 $38.00 $41.00 +8%
Microsoft 365 E3 $36.00 $39.00 +8%
Microsoft 365 E5 $57.00 $60.00 +5%
Businessスイート(Teams込み)
プラン 現行価格 新価格 変化率
M365 Business Basic $6.00 $7.00 +16%
M365 Business Standard $12.50 $14.00 +12%
M365 Business Premium $22.00 $22.00 0%
Frontlineスイート(最大値上げゾーン)
プラン 現行価格 新価格 変化率
M365 F1(Teams込み) $2.25 $3.00 +33%
M365 F3(Teams込み) $8.00 $10.00 +25%
M365 F1(Teams非同梱) $1.75 $2.50 +43%
M365 F3(Teams非同梱) $6.93 $8.93 +29%
主なスタンドアロン・アドオン
プラン 現行価格 新価格 変化率
Microsoft 365 Apps $12.00 $14.00 +17%
Windows E3 $6.63 $7.63 +15%
Windows Enterprise(デバイス単位) $5.85 $7.63 +31%
EMS E3 $10.60 $12.00 +13%
EMS E5 $16.40 $18.00 +10%
Microsoft Entra Plan 1 $6.00 $7.00 +16%
Microsoft Entra Plan 2 $9.00 $10.00 +11%
Microsoft Defender Suite $12.00 $12.00 0%
Microsoft Purview Suite $12.00 $12.00 0%
スタンドアロンのTeamsおよびMicrosoft 365 Copilotは今回の値上げ対象外。
値上げと引き換えに追加される機能
Microsoftは今回の価格改定を「価値向上」と位置づけており、2026年6〜8月にかけて既存ティアへ追加機能を順次展開する:
- Microsoft Defender for Office Plan 1 — メール・Teams・SharePointへの脅威対策
- Microsoft Intune Plan 2 — エンドポイント管理強化版
- Microsoft Security Copilot — AIを活用したセキュリティ分析
- Copilot Chat 強化 — 受信トレイ・カレンダー連携の新機能
これらは追加費用なしで提供される。ただし機能の適用対象はプランによって異なるため、自社SKUでの確認が必要だ。
移行・更新スケジュールの対応策
現行顧客は次回更新日まで現行価格が維持される。 この猶予期間をどう使うかが、コスト最適化の最大のポイントだ。
- 更新前倒しで複数年契約を延長できる可能性がある。CSP(クラウドソリューションプロバイダー)パートナーや担当リセラーに今すぐ相談を
- 非営利団体は同率の値上げが適用されるが、60〜75%ディスカウントは維持される
- 政府機関で10%超の値上げとなる場合は、連邦規制に基づき複数年での段階的移行が適用される
日本の IT 現場への影響
日本で特に注意が必要なのは2点だ。
Frontlineプランの大幅増は製造・流通・小売業に直撃する。 現場スタッフ数千〜数万人単位でF1・F3を展開している企業では、33〜43%という値上げ幅が一気にコスト増として顕在化する。円換算では為替レート次第でさらに膨らむ可能性もある。
Windows Enterprise(デバイス単位)の31%増も要警戒。 ユーザー単位ではなくデバイス単位で管理している環境では、デバイス台数×値上げ額が直接コストに跳ねる。今すぐデバイス数とSKUの棚卸しを行うべきだ。
今すぐやること:
- 契約中のSKUと次回更新日を確認する
- FrontlineワーカーのF1/F3台数を棚卸しし、値上げ後のコストを試算する
- CSPパートナーと更新前の多年契約オプションを相談する
- 今回組み込まれる新機能(Defender for Office等)の活用計画を立てる
筆者の見解
今回の値上げで注目すべきは「何が上がり、何が据え置かれたか」だ。スタンドアロンのCopilotとTeamsは対象外、一方でFrontlineのような現場向けプランが最も大きく跳ね上がっている。この非対称な構造は、Microsoftがライセンス体系全体の再設計を意識していることの表れだろう。
Defender for OfficeやIntuneのアップグレードを無償で付与する点は評価できる。セキュリティと管理機能の強化は、プラットフォームとしての価値を高める方向性として正しい。
ただ、「Security CopilotをE3/E5に同梱」というメッセージは、Copilotの価値を実績ではなくライセンス構造で押し込もうとしているように見えなくもない。M365の統合プラットフォームとしての底力は本物だ。それだけに、値上げに見合う実用価値をCopilotが着実に積み上げていくことを期待したい。「この価格で当然」と現場が感じるようになることが、Microsoftには十分できるはずだ。
出典: この記事は Microsoft 365 Price Increase July 2026: Every SKU Listed の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。