Engadget の Cheyenne MacDonald 氏が2026年5月31日に報じたところによると、オランダ・ロッテルダムで開催された TwitchCon Rotterdam 2026 において、ライブストリーミングプラットフォームの Twitch が複数の大型機能アップデートを発表した。目玉は横長と縦長を同時に配信できる「デュアルフォーマット」で、2K(1440p)配信の全パートナー・アフィリエイト開放とあわせて翌月(2026年6月)のロールアウトが予告されている。
なぜこの機能が注目されるのか
ライブ配信はもともとデスクトップ視聴を前提とした横長(16:9)フォーマットで設計されてきた。しかし近年、TikTok や Instagram Reels が縦型フォーマットを普及させた結果、スマートフォンでのライブ視聴でも「全画面の縦向き体験」が求められるようになってきた。
これに対応するには従来、配信者が縦向きレイアウトを意識してシーンを設計し直すか、プラットフォーム側が工夫するかのどちらかだった。Twitch が今回採用したアプローチは後者——サーバーサイドトランスコーディングによって、配信者の追加作業や機材負荷を増やさずに縦横両対応を実現するという設計だ。
海外レビューのポイント:Engadget が報じた機能詳細
Engadget の報道によれば、デュアルフォーマットの具体的な動作は以下のとおりだ。
- モバイル視聴者: フルスクリーンの縦向きビューを表示。「クラシックなスプリットビュー」への切り替えも可能
- デスクトップ視聴者: 従来の横向きフォーマットをそのまま維持
- 端末回転時: 縦向きから端末を横にすると自動的にフルスクリーン横向きに切り替わる
また Twitch の公式ブログを引用する形で、「サーバーサイドトランスコーディングのサポートを追加することで、一部システムへの負荷を軽減する」とも報じている。
2K配信と高ビットレート化
同時発表された2K(1440p)配信サポートも注目ポイントだ。ビットレートの上限は 1440p で最大 9 Mbps、1080p で最大 7.5 Mbps に引き上げられる。Twitch の配信品質は従来から他プラットフォームと比較して制限が多いと指摘されてきたため、ゲームストリーマーコミュニティにとっては実質的な品質底上げとなる。
そのほかの発表機能
機能 概要
ミッドストリームサマリー 途中参加した視聴者が素早く状況把握できる要約
チャット GIF Tier 2・Tier 3 サブスクライバー向けの GIF 送信
オートクリップ ハイライトシーンを自動クリップ化
コミュニティクリップ自動字幕 視聴者作成クリップへの自動キャプション付与
ベストクリップリスト Twitch Stories へのシェアを容易にする一覧機能
日本市場での注目点
ロールアウトは「来月(6月)」と予告されているが、地域展開の詳細は現時点で公表されていない。日本では Twitch よりもニコニコ生放送や YouTube Live の利用者が多い傾向にあるが、eスポーツ視聴やゲーム実況では Twitch のプレゼンスは依然として存在する。
費用面では、パートナー・アフィリエイト資格を持つ配信者は追加費用なしでこれらの機能を利用できる見込みだ。ただしデュアルフォーマットへの対応状況は OBS など配信ソフトウェア側のアップデートにも依存する可能性があり、実際の運用前にツールチェーンの確認が必要になりそうだ。
筆者の見解
デュアルフォーマットが技術的に評価できるのは、「変換処理をサーバーサイドに移す」という判断だ。配信者のPCで縦横両エンコードを走らせるのではなく、プラットフォームがインフラで吸収する。これは配信者の参入障壁を下げながら視聴者体験を改善する、筋のいいアーキテクチャ選択だと思う。
縦型コンテンツの台頭はソーシャルメディアが牽引してきたが、ライブストリーミングへの波及は自然な流れだ。ゲーム実況のように元々横長前提のコンテンツでも、スマホ視聴者のUXを損なわずに提供できる仕組みには実用的な価値がある。
2K配信の開放については「もう少し早くてもよかった」という印象は否めないが、ビットレート上限の引き上げとセットになったことで、実際に映像品質の向上が体感できる水準になった。配信者コミュニティへの投資という観点では、今回の発表は Twitch が競合に対して本気で差別化を図ろうとしているシグナルとして受け取れる。実装の完成度と安定性次第だが、方向性は正しい。
出典: この記事は Twitch creators will soon be able to stream in horizontal and vertical formats simultaneously の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。