AI関連企業によるメモリ需要急増が、PC市場に「RAMageddon(ラムゲドン)」と呼ばれる衝撃波をもたらしている。Tom’s Guideのライター、David Crookesが2026年6月1日付で公開した記事では、ゲーム機・スマートフォン・タブレット・PCにまで波及するこの価格危機を前に、賢く安く新PCを手に入れるための5つの方法を詳しく解説している。
RAMageddonとは何か——消費者が「AIの犠牲者」になる構造
AI企業がデータセンター向けに大量のメモリを買い占めた結果、民生用DRAM市場で深刻な供給不足が発生している。Tom’s Guideの記事によれば、この状況は2028年まで解消される見通しがないという。つまり、これから2年以上は「RAMに乗っかったAI税」を払い続けることになる。16GB・32GBといった一般消費者に必要なメモリ容量が、新品では手の届きにくい価格帯に移行しつつあることが背景にある。
Tom’s Guideが提案する5つの対策
1. 危機前の在庫PCを今すぐ探す
David Crookesが「最もコスト効率が高い方法」と位置付けるのが、RAM価格高騰前に製造された既存在庫のプリビルトPCを探すことだ。倉庫に積まれた既存機は旧来の仕入れ価格で構成されており、ゲーミングPC含む高性能機をクライシス以前の価格で入手できる可能性がある。ただし在庫は有限であり、枯渇すれば新構成の高価格機しか選択肢がなくなる。在庫が残っているうちに動くことが肝心とCrookesは強調している。
2. リファービッシュ(整備済み品)を活用する
Apple・Dell・Lenovoなどメーカー直販のリファービッシュ市場は近年急速に整備されており、クリーニング・全機能テスト・正規パーツでの修理を経た端末に保証と返品ポリシーが付いてくる。記事によれば、16GB以上のRAMを搭載した十分なスペックの機種が新品より大幅に安く手に入るケースが多い。外観に多少の傷があるグレードを選べばさらに割引になる場合もある。環境への配慮(電子廃棄物の削減)という観点でも意義がある選択肢だ。
3. 既存PCのCPU・GPUをアップグレードする
RAM以外のコンポーネント交換で延命できる可能性にも注目している。CPUを高コア数の新型に換装すれば、マルチタスクや4K動画編集の処理効率が向上する。GPU交換によってゲームパフォーマンス向上や最新技術への対応も可能だ。Crookesは「PC Part Picker」などのサイトでソケット互換性を確認しBIOSをアップデートするプロセスを紹介しており、ハードルは以前ほど高くないと解説している。ただしこの手法はMac非対応(最近のMacはCPU換装不可)である点に注意が必要だ。
4〜5. その他の選択肢
Crookesの記事では、上記3つに加え、パーツを選んで自作するルートや中古部品の活用についても言及されている。中古市場では「RAMageddon前」の旧世代パーツがまだ流通しており、用途によっては十分な性能を安価に得られる。
日本市場での注目点
- リファービッシュ市場: 日本ではDell・Lenovo・Appleの直販サイトに整備済み品コーナーがあり、国内向け保証もついている。品薄な時期こそ選択肢として真剣に検討する価値がある
- 在庫PCの探し方: 家電量販店の旧モデル在庫やECサイトの型落ち品を狙う手法は国内でも有効。BCNランキングや各店の「在庫限り」表記を追うのが実践的
- 部品調達: 秋葉原系ECや中古パーツ専門店はRAM以外のコンポーネントならまだ割安感がある。GPU市場は別の価格変動要因(マイニングブームの残響)もあるため最新相場の確認が必須
- 円安の影響: 円安局面ではドル建てのRAM価格高騰がさらに増幅される。記事中の価格感をそのまま日本円に置き換えると予算感がずれるため注意が必要
筆者の見解
AI企業の爆食いが一般消費者のPC購入体験を直撃しているという構図は、正直なところ複雑な気持ちにさせる。AIへの期待は大きいが、恩恵を受けるはずのエンドユーザーが「AI税」を余計に払わされる形になっているのは、もったいない話だ。
とはいえ、Tom’s Guideの提案は極めて現実的で実用的だ。特に「在庫切れ前の既存プリビルトを探す」という発想は、日本の消費者には盲点になりやすい。新製品を待つより、今ある良品を今すぐ確保する方が総コストで有利——という逆張りの判断が重要な局面が来ている。
もうひとつ注目したいのは「延命アップグレード」という選択肢だ。AIの波が引いてRAM価格が落ち着いた2028年以降に改めて新品を購入するまでのつなぎとして、CPUやGPUの換装で今のマシンを使い続けるのは理にかなっている。全部入りの新品を今すぐ買うことが正解とは限らない時代だ。
PC環境を整えることは、AI時代を主体的に活用するための基盤でもある。高性能PCを賢く調達して、AIツールを自分のものにする投資として考えれば、今かかるコストにも納得感が出てくるはずだ。
出典: この記事は Want a new PC but hate current prices? Here’s 5 smart ways to build or buy for less の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。