海外テクノロジーメディアのEngadgetが、The Informationの報道を引用してMetaの大規模ウェアラブル戦略を伝えている。AIペンダントデバイスの開発テストを今後1年で開始するとともに、2026年中に最大4モデルのスマートグラスを投入し、法人向けサブスクリプション「Wearables for Work」も展開する計画だ。
なぜこの動きが注目されるのか
Metaのウェアラブル戦略が急加速した背景には、2つの切実な事情がある。
ひとつはRay-Ban Meta Smart Glassesの商業的手応え。ファッションブランドとのコラボレーションが奏功し、AI内蔵スマートグラスの一般普及で他社より先行した実績がある。
もうひとつはReality Labs部門の巨額赤字。同部門は2025年だけで190億ドル(約2.9兆円)の損失を計上しており、Engadgetによれば、Mark Zuckerbergは2025年第4四半期の決算説明会で「Reality Labsは今後グラスとウェアラブルに注力する」と方針転換を明言した。この状況でのラインナップ拡張は、退路を断った大勝負とも言える。
開発中の製品ラインアップ
AIペンダント
Metaが2025年に買収したLimitlessの技術を土台にしたクリップ型デバイスだ。Limitlessはその名も「Pendant」というBluetooth内蔵マイクを展開しており、一日中着用することで会話や周囲の音声を常時記録・文字起こし・要約し、検索可能な会話データベースを構築する仕組みを持つ。Engadgetによると、LimitlessのCEO Dan Siroker氏は買収発表時に「すべての人にパーソナルな超知性をもたらす——その核心はAI対応ウェアラブルの開発だ」とコメントしている。今後1年をかけてテストが進められる予定で、製品としての発売時期はまだ確定していない。
新スマートグラス4モデル
The Informationが報じたMetaのウェアラブル担当VP、Alex Himel氏の社内メモによると、以下のロードマップが示されているという。
- Modelo(コードネーム): 2026年6月リリース予定
- Luna: 2026年秋リリース予定
- RBM2 Refresh(Ray-Banモデルの刷新版): 2026年秋リリース予定
- Mojito VIP: 2026年12月リリース予定
さらに将来向けにはArtemis(コードネーム)とSSG(スーパーセンシンググラス)のテストも進行中とされる。いずれもMetaのAIモデルおよび開発中の消費者向けAIエージェント「Hatch」と連携する設計になる見込みだ。
法人向け「Wearables for Work」
ハードウェア販売に加え、法人サブスクリプションサービスも計画に含まれている。少なくとも10社の契約獲得、100台以上を導入する大規模組織への展開を初期目標に掲げているという。Himel氏のメモによると「より多くの人にMetaのAIモデルを使ってもらい、サブスクリプション課金につなげる」ことが目的だ。
日本市場での注目点
現時点でMetaが発表しているのはすべて開発・計画段階の情報であり、新モデルの日本での発売時期・価格は未定だ。ただし、Ray-Ban Meta Smart Glassesの現行モデルはすでに日本でも購入可能で、Amazon.co.jpでも取り扱いがある(実勢価格は3〜5万円台)。
1000万台目標のためMetaは「より多くの国での販売展開」を戦略に組み込んでおり、日本市場への本格展開が近づく可能性はある。現状で競合となりえるRay-Banのデザイン性とAI連携の完成度を上回るスマートグラスは、国内ではまだ出てきていない。
筆者の見解
Metaのウェアラブル戦略は、単一製品で勝負するのではなく「ラインナップの量で市場を覆う」アプローチだ。4モデル同時展開、AIペンダントの追加、法人向けサブスク——方向性としては整合しており、Ray-Ban Metaで築いたブランドの足場を活かした展開と言える。
ただ、ウェアラブルが普及するかどうかの本質は「使い続ける理由」を作れるかどうかだ。スマートウォッチですら、日常のワークフローに溶け込むまでに何年もかかった。常時リスニング型のAIペンダントは、認知負荷を削減するウェアラブルAIとして方向性は面白い——が、実際のAI処理品質とプライバシー設計がどの水準にあるかは、市場に出てみなければわからない。
いずれにせよ、Reality Labsが年間190億ドルを失いながら続ける投資は「ここで勝てなければない」という覚悟の表れだ。消費者がAIウェアラブルを日常に迎え入れるかどうか、今後1〜2年の市場反応を注視したい。
関連製品リンク
Ray-Ban Meta Smart Glasses Wayfarer, Matte Black/Clear to Graphite Green Transition, L
上記はAmazon.co.jpへのリンクです。記事執筆時点の情報であり、価格・在庫は変動する場合があります。
出典: この記事は Meta is reportedly working on an AI pendant and more smart glasses の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。
