ソニーが WH-1000X シリーズ10周年を記念したプレミアムモデル「Sony 1000X The Collexion」を発売した。音響専門メディア SoundGuys が Christian Thomas 氏によるレビューを公開しており、2週間にわたるテスト結果が報告されている。

なぜこの製品が注目か

WH-1000X シリーズは2016年の登場以来、ANC(アクティブノイズキャンセリング)ヘッドフォン市場をけん引してきたソニーの看板ライン。しかし近年、Focal の Bathys、Bowers & Wilkins の Px8、Apple の AirPods Max など $400〜$800 クラスの「ハイエンド ANC」カテゴリが急成長している。本機はそうした競合に正面から挑む、ソニー初の本格的ラグジュアリー ANC ヘッドフォンとして位置づけられる。

海外レビューのポイント(SoundGuys より)

評価された点

SoundGuys のレビューでは、ビルドクオリティが特に高く評価されている。ヘッドバンドはほぼ全金属製に刷新され、イヤーカップ外側にはフェイクレザーが採用。WH-1000XM6 のプラスチック中心の構成から大幅に質感が向上し、高級感が増している。

フォールディングヒンジは廃止され、ステンレス製スイベルジョイントに変更された。折りたたみはできなくなったが、剛性と耐久性は向上。付属ケースはヘッドフォンが平置きになる構造を活かした独特のデザインで、ケーブル収納スペースも備えている。

ANC 性能も高く評価されており、SoundGuys レーティングで 8.6(ユーザー評価 9.5)を記録。Bluetooth 6.0 + LDAC + LC3 対応、12基のマイク搭載など、接続性・機能面の充実ぶりもスコアに反映されている(接続性スコア 9.3/10)。

主なスペックは以下の通り:

項目 スペック

バッテリー 24時間

Bluetooth 6.0

対応コーデック SBC / AAC / LDAC / LC3

重量 320g

マイク数 12基

気になる点

SoundGuys が最も問題視しているのは、バッテリーと価格のバランスだ。WH-1000XM6 の 37 時間に対し、本機は 24 時間と大幅に短縮。$650 という価格(XM6 より約 $200 高)に対してバッテリー性能が後退しているのは受け入れにくい。SoundGuys のバリュースコアは 4.5/10 と厳しい評価で、これがレビュー全体の印象に影を落としている。

また、レビュー要約には「低音過多で中音域が薄い」傾向も指摘されており、フラットな周波数特性を好むリスナーには調整が必要になる可能性がある。加えて、Christian Thomas 氏のレビューでは初期提供ユニットが不具合を起こしたため、ソニーから2台目の提供を受けてテストを継続したと明かされており、品質管理の面でも一抹の懸念が残る。

日本市場での注目点

国内での正式発売・価格は執筆時点で未確認だが、$650 という価格帯は概算で 9〜10 万円前後になると想定される。この価格帯では Apple AirPods Max(実売 8〜9 万円台)や B&W Px8 と直接競合する位置づけだ。

LDAC 対応は日本のハイレゾオーディオ愛好家にとって魅力的な要素だが、バッテリー 24 時間という仕様は長距離フライトや長時間使用ユースケースでは物足りなく感じる人も多いだろう。国内では Sony Store や量販店での試聴機設置に期待したい。

筆者の見解

SoundGuys のレビューを読む限り、「1000X The Collexion」はソニーが「ANC ヘッドフォンにもハイエンド市場がある」と示した意欲作であることは間違いない。Focal や B&W を相手に正面から勝負しにいった姿勢は評価できる。

ただ、$650 でバッテリーが XM6 より 13 時間も短くなるのは、もったいないと率直に感じる。プレミアムな素材感と妥協なき機能を両立できるだけの技術力はソニーにある——それはこれまでの実績が証明している。バリュースコア 4.5 という評価は、「本気でハイエンドを狙うなら機能面でも手を抜くな」というメッセージとして受け取りたい。日本での発売時には、現地価格と実際の音質傾向に改めて注目したい。

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出典: この記事は Sony 1000X The Collexion review: A decade in the making の内容をもとに、筆者の見解を加えて独自に執筆したものです。